保有設備の特徴

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保有する発電設備は164カ所で3,576万kWです。

内訳は、火力が1,781万kW、原子力が977万kW、水力が819万kWとなっています。

火力が一見多く思えますが、老朽化した稼働率の低いもの、もしくは長期停止中のものが多く、関西電力の主力は原子力です。

火力については、老朽化した石油火力が多く、またLNG火力もあるものの、姫路第一火力の5号機と6号機だけがコンバインド・サイクルで、それ以外はすべて効率の低い旧式のLNG火力です。株式会社カンドーによると、石炭火力については、2004年に舞鶴火力が運転開始したのが初めてで、それまで石炭火力を保有していませんでした。当面は、旧式のLNG火力である堺港発電所を高効率のコンバインド・サイクルにリパワリングするのが重要課題です。なお、原子力発電所の型式はPWRです。

送電設備については、架空送電線と地中送電線を合わせて約3.8万kmの回線延長があります。

全社ベースでの地中化率は19%程度です。

配電線については、同じく約41万kmの電線延長があり、全社ベースでの地中化率は2%程度です。

簡易ガス事業

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簡易ガス事業は、一般ガス事業と同様に導管を使用してガスを供給する事業ですが、ガスボンベをただ集めたような簡易なガス発生装置で、70戸以上の不特定多数の顧客に販売する事業です。

大規模なパイプライン・ネットワークやガス製造装置を保有することはありません。顧客の立場で考えれば、一般ガス事業者とそう変わらないでしょう。株式会社カンドーによると、供給対象となる需要家に対しては供給義務を負っています。現在、約1,700業者が存在しますが、顧客はわずかに200万件弱、ガス販売量も5億立方メートル(1立方メートル当たり1万kcal換算)に過ぎません。

原料は主にLPGです。

企画の打ち合わせの時に、ムスッとして話を聞いている人がいる。

話す側からすると、これは結構痴にさわる態度だ。

それに、「この人、ちゃんとわかっているのだろうか」という不安にも駆られる。

広告の仕事ではクライアントを交えた打ち合わせが少なくないが、ムッスリ顔をしていると、それだけではずされることもある。

実際、私は「あの人、大丈夫ですかね」というクライアントのひと言で、はずされた若いライティング・代筆屋を何人も知っている。

クライアントというのは、編集者と違ってライティング制作物を作るにあたってはバカみたいに臆病なところがある。

特にクレームには敏感で、ムスット君をみると取材先で失礼な感じを与えないのだろうか。

そのことで、自分のところにクレームがこないだろうか、と過剰な心配を思い描くのである。

「はい、わかりました」、「はあ、そうですか」と合いの手をいれて、コックリ頷いて安心させるようにしよう。

webライティング式スキルが必要

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webライティング式ドキュメントにおける、マスターパーツの管理。

?画像やイラストレーション等は、チェックを経てマスターパーツとして管理される。

原則としてプリプレスワークを担っている会社や部署が、データベース化を行い管理することを推奨する。

?ただし、商品等の継続性のある画像は広告主自ら管理することも選択肢の一つとなるが、その場合には管理する担当者のデジタルワークに対するwebライティング式スキルが必要となる。

?キービジュアルのように一過性の画像でも、データベース化によってマルチユースを行いやすくなる。

企業やキャンペーンの規模によることだが、広告や販促物は同じ要素を数十から数百アイテムに展開することが一般的だ。

?マスターパーツは作成日やキャンペーン名等のメタデータを入力してデータベースに登録する。

webライティング式研究会によると、再使用する場合はメタデータによって効率良くファイルにアクセスできるようになる。

折り込みwebライティング式ペーパーをまとめてフリーペーパーに新聞の可能性に言及した時に、新聞社が発行するフリーペーパーがいずれは折り込みwebライティング式ペーパーと競合することになると書いたが、実は折り込みwebライティング式ペーパーがまとまってフリーペーパーとなっても同じことだ。

コアとなるコンセプトに基づいて共鳴できる商品やサービスが集まれば、ある目的や価値観を持った人たちに無駄のない情報提供ができる。

例えば、新居を探している人たちは、住宅やマンションといった器を購入するだけではない。

その器の中に入る家具や家電製品も同時期に購入することが多く、さらに引っ越しを業者に依頼することも多い。

こうした関連付けを行って一・つのwebライティング式ペーパーやタブロイド紙を制作すれば、情報の受け手にとっても都合がよいことは明白だ。

この考え方をもっと進めれば、彼らが購入するのは物ばかりではなくその新居での生活そのものであり、夢を思い描いていることに行き着く。

つまり、単純な商品やサービスの情報ではなく価値観にフィットする情報ならば、反応が良くなる可能性が高まるという仮説が成り立つ。

新居をテーマとする記事を加えたタブロイド型のフリーペーパーとして、折り込みwebライティング式ペーパーの価値を向上させることになるのだ。

現在の一般的なフリーペーパーは特定の内容で定期的に発行されることを前提に、あらかじめ想定された枠に広告を入れるというスタイルをとっているケースがほとんどだ。

業務を安定させることがコストを下げることにも繋がるから当然といえばそれまでだが、折り込みwebライティング式ペーパーとしてはこの縛りをもっと緩くすることで可能性が広がっていく。


自動車の燃費規制強化 温暖化防止に向け新基準

河成鎮作 2007/04/17

 ◆15年度、平均で現在の「軽」並みに

 政府が、国内で販売する自動車の燃費を、2015年度までに大幅に改善するようメーカーに義務づけることになりました。地球温暖化の防止につなげることなどが狙いです。今回は新たな燃費の規制について勉強しましょう。

          ◇

 受講生の大学生T子さん「車の燃費はどんどん良くなっているようですけど、国が規制をするとは知りませんでした」

 大手町博士「これまでも国が基準値を示し、メーカーに達成を義務づけてきた。1970年代の石油危機をきっかけに導入された79年の基準が最初じゃ。省エネ法に基づくもので、過去に3回行われておる」

  ■現行の燃費基準は、99年に定められた。二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出削減について定めた「京都議定書」の目標達成が狙いだった。車の重量に応じて区分が分けられ、区分ごとに燃費基準が決められている。各メーカーに達成義務があるが、すべての車で達成する必要はない。区分ごとに、自社が販売した車の平均燃費(販売台数を加味した加重平均)が基準をクリアすればよい。同じ区分であれば、燃費の悪いスポーツカーを売っても別の低燃費車でカバーできる。国は未達成のメーカーに改善を勧告し、改善されない場合は100万円以下の罰金を科す。

 T子さん「なぜ新たな基準を設けるのでしょう」

 経済産業省自動車課長補佐の伊藤慎介さん「現在の基準は、95年度の燃費実績を2010年度までに22・8%改善する内容で、すでに06年度に前倒しでほぼ達成されています。しかし、地球温暖化がますます深刻になり、エネルギー政策の中で石油の消費を抑えることも重要になっています。このため、より厳しい基準を導入することになりました。世界で最高水準の燃費規制となります」

 受講生の会社員M男さん「どのぐらい厳しいのですか」

  ■乗用車の04年度の燃費の実績値は、国内全体の平均で1リットル当たり13・6キロだった。新基準では、これを15年度までに23・5%改善し、1リットル当たり16・8キロにすることを求める。国内を走る自動車の平均燃費を、現在の軽自動車並みにすることになる。また、新基準からガソリン車とディーゼル車の区分をなくす。ディーゼル車はガソリン車より2割ほど燃費が良いとされ、CO2排出量も少ないため、欧州で普及している。国内でもディーゼル車を売れば基準達成がしやすくなる。新基準は、今夏から適用される。

 日本自動車工業会環境統括部長の谷口実さん「すでに各社は、変速機の改良など燃費改善のための多くの技術を取り入れています。大幅に燃費を改善できる新技術はすぐには出てきません。ガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッド車や、燃費の良いディーゼル車を増やせば達成しやすくなりますが、車のコストは高くなります。値段が上がれば、車が売れなくなることも考えられます」

 受講生の主婦K子さん「メーカーはどう対応するのかしら」

 ホンダ環境安全企画室社会環境技術主幹の篠原道雄さん「ハイブリッド車とディーゼル車の販売を増やしていくことになるでしょう。当社は、コストを下げた廉価型の次世代ハイブリッド車を09年にも発売する計画です。また、排ガスを浄化した次世代のディーゼルエンジン車を2年以内に米国で発売する予定で、日本への投入も検討します。燃料電池車の研究も進めています。コスト削減にも最大限の努力をしていくつもりです」

 受講生の会社員A彦さん「新基準は達成できるのですか」

 早稲田大創造理工学術院教授の大聖泰弘さん「コストを抑えることが課題ですが、日本のメーカーは現行の燃費基準を、量産効果を生かして前倒しで達成しています。量産によるコスト削減は日本メーカーのお家芸でもあり、達成は可能でしょう。メーカー同士で、得意分野の車をお互いに供給しあうなどの提携が広がるかも知れません」

 博士「メーカーに燃費向上や車からのCO2の排出削減を求めるのは日本だけではない。世界的な流れになっておる」

 ■欧州連合(EU)は2月、域内で販売する自動車のCO2排出量を、業界全体で12年までに95年比で35%減らすことを義務づける方針を発表。米国でもブッシュ大統領が1月の一般教書演説で、17年までに自動車の燃費を改善し、年間ガソリン消費量を5%節約する目標を掲げた。地球温暖化への危機感が世界的に高まっていることが背景にある。

    

 大聖教授「自動車が出すCO2は、全世界のCO2排出の2割強と言われ、大きな比率を占めます。その排出を抑えることは温暖化の防止に大きな意味を持ちます。今後は、燃費改善で世界をリードする日本メーカーの技術力を海外に普及させ、地球環境に貢献していくことも検討していくべきでしょう」

 博士「地球温暖化を防ぐために燃費を規制するのは歓迎だが、メーカーの努力だけでは十分ではない。自動車のユーザーが、CO2の排出を減らすために何をすればいいか、じっくり考えることも重要だろうな」



欧の次世代ディーゼル技術、尿素水使わず排出ガス低減する技術を公開

河成鎮作 2007/03/20



 次世代のクリーンディーゼルエンジンの排出ガス低減技術で、欧州メーカーが実用化を目指す尿素SCR(選択還元触媒)方式と主に日本メーカーが本命視するNOX吸蔵還元触媒(LNT)方式が競い合っているが、このほどダイムラークライスラー(DC)は尿素水(アドブルー)を使わない試作車と技術を公開した。この技術の中身は昨年、ホンダが発表したものと非常によく似ている。過去、先進環境技術でブランド力を高めてきたダイムラーとホンダ。最終的に両社のソリューションは同じ方向になるのだろうか。(明豊)

 先ごろスイスで開かれたジュネーブ国際自動車ショーで、クリーンディーゼルの技術トレンドで興味深い出展があった。ダイムラーがメルセデスベンツCクラスをベースにした試作車「Vision(ヴィジョン)C220 BLUETEC」。

 クリーンディーゼル技術のブルーテックとしては初の4気筒エンジン。ブルーテックと言うと、尿素水の補給が必要な技術と思われがち。昨年、ダイムラーが米市場で発売したEクラスのブルーテック技術搭載車「E320ブルーテック」は尿素水を使っている。

 しかしヴィジョンC220は、尿素水を排出ガス管中で噴射していない。LNTとSCRを組み合わせ、触媒中で発生するアンモニアを使いNOXを選択還元する仕組み。実はホンダの次世代ディーゼルの手法と近い。

 ホンダは新開発した触媒で、排出ガス中のNOXを吸着しアンモニアに転化する層と、触媒内で生成したアンモニアを吸着して排出ガス中のNOXを窒素に還元する2層構造で浄化する仕組みだ。

 もう一つ興味深いのはDPF(粒子状物質減少装置)。ダイムラーのヴィジョンC220はDPFがエンジンのすぐ下に配置する"直下DPF"。直下DPFは、排ガス低減と燃費の両立には欠かせないとみられるが、エンジン振動が大きくDPFの材質を工夫する必要がある。ホンダも同じ考えのようだ。

 ダイムラーによるとヴィジョンC220は、実用化の時期などを明確にしていないが、2015年に施行予定の次々期の欧排出ガス規制「ユーロ6」に対応させている。米の最新排出ガス規制「Tier2Bin5」は尿素水を使う尿素SCRで対応するが、米国より中・小型車が普及している欧州や日本市場では解が違うかもしれない。

 具体的にはV型6気筒(V6)エンジン以上の大型車は尿素水方式、4気筒などはNOX吸蔵還元触媒方式を中核に据えたもので使い分けてくる可能性もある。独フォルクスワーゲンや同BMWもダイムラーと同じように両にらみだ。

 ホンダは現行の4気筒2200ccディーゼルエンジンをベースにクリーン型の製品化を目指すが「さらにV6エンジンもこの技術で開発する」(福井威夫社長)予定。同社は将来、この技術の外販も想定するが、コスト高を是正するなら当然の流れ。メルセデスはプレミアムブランドとしてコスト高分の価格転嫁力に余裕はあり、ホンダの車種戦略が注目される。



次世代クリーンディーゼル、各社の開発佳境に?排出ガス後処理技術を競う

河成鎮作 2007/03/13



 自動車メーカー各社の次世代クリーンディーゼルエンジン開発が佳境(かきょう)に入っている。とりわけ、世界で最も厳しいとされる09年発効の米国次期排出ガス規制「Tier2Bin5」の対応では、排出ガスの後処理技術をめぐって日系メーカーと欧州メーカーの戦略の違いが鮮明になっている。ただ普及に向けては、いずれの技術もコスト低減が極めて難しい状況にある。(鈴木真央)

 米国の次期規制では、ディーゼル車から排出される窒素酸化物(NOX)など有害物質の量を、ガソリン車並みに浄化しなければならない。 エンジン本体の改良だけで規制をクリアするのは難しい。ポイントは排出ガスの後処理技術。NOX吸蔵還元触媒(LNT)や尿素SCR(選択的触媒還元)などがあり、主に日系乗用車メーカーが本命視するのはLNT。一方、欧州メーカーはダイムラークライスラー(DC)、フォルクスワーゲン(VW)など有力企業が連携して尿素SCRの開発を進める。

 日産自動車や三菱自動車はLNTを採用する方針を明らかにし、トヨタ自動車や富士重工業なども研究している。ホンダは触媒内部でアンモニアを生成し、その還元反応でNOXを窒素に変換する独自の浄化システムを開発したが、LNT同様にプラチナ系触媒を使う。

 問題は「プラチナの量は限られており、半分を装飾用と科学用、残りを自動車用で使っている状況」(浦田隆いすゞ自動車上席執行役員)。需要が増せば価格は「暴騰する」(同)。すでに価格は上昇傾向にある(グラフ)。ホンダの白石基厚専務は尿素SCRに比べて「計算では2ケタのパーセントほど優位になる」とするが、不透明だ。

 またLNTは軽油に含まれる「硫黄分の量によって触媒の劣化を早める」(浦田いすゞ上席執行役員)。加えて硫黄分を還元する際に燃料を消費する。米国は日本に比べ硫黄分の混入量が多く、さらに地域で軽油の質にばらつきがある。

 一方、尿素SCRはNOxに尿素を噴射し、還元反応させて水と窒素に無害化する技術。米国や日本の次期排出ガス規制に対し「商用車ではマスト(必要)」(同)。尿素タンクなどが必要で小型車への搭載は難しいと言われるが「最近は2000―3000ccのエンジンでも議論されている」(伊藤悟ボッシュ常務執行役員)という。

 米国は軽油スタンドが独立しており、併設する形で尿素スタンド網が一気に構築される可能性は高い。ただ世界で、尿素SCRのシステムを全体で手がけるのが独ロバート・ボッシュなどに限られ事実上の寡占状態。「価格は落ちにくい」(浦田上席執行役員)のが正直なところ。

 LNT、尿素SCRともに共存するのは間違いないが、コスト上昇分をすべて新車価格に上乗せするのは難しい。



躍進北米ホンダ(2)次世代クリーンディーゼル先行投入――自社技術揺るがぬ自信。

河成鎮作 2007/02/21

燃費・コスト両面で優位

 二〇〇九年をメドに米国市場で次世代のクリーンディーゼル車を発売すると宣言したホンダ。最も排ガス規制が厳しいといわれる米国であえて先行投入する狙いは何か。研究開発子会社の本田技術研究所でディーゼル開発を統括する長弘憲一上席研究員は「まずエベレスト登頂を目指す。あとは下りていくだけだ」と余裕の表情すら見せる。

ガソリン車並み

 排ガスはガソリン車並み――。昨年五月に次世代クリーンディーゼルの投入方針を表明した後、九月にはその裏付けとなる独自の排ガス浄化技術を発表した。窒素酸化物(NOx)はアンモニアで無害化されるが、ホンダはNOxと排ガスから得られる水素を反応させてアンモニアを生成する独自の触媒を開発した。

 「CVCCの再来」。ある業界関係者はホンダのディーゼルをこう称する。ホンダは一九七二年にCVCCエンジンを開発し、どこも対応不可能とされた厳しい排ガス規制「米マスキー法七五年規制」をクリア。「シビック」に搭載し、一気に米国での足場を築いた。

 今回も一キロメートルあたりNOx排出量を〇・〇四四グラム以下とする世界で最も厳しい米国の「Tier2Bin5」(〇九年完全施行)をいち早く達成。ガソリン車より燃費が二―三割良いディーゼルの利点を存分に発揮できるようになった。

 コスト面でも優位に立つ。独ダイムラークライスラーや独フォルクスワーゲン(VW)など欧州勢は尿素を排ガスに吹き付け浄化する「ブルーテック」と呼ぶ技術を推進するが、ホンダの技術は尿素タンクが必要ない。

 「ハチの巣をつついた状態」(長弘上席研究員)。ホンダの方針が明らかになって以降、ディーゼル技術を巡る動きは活発化した。ダイムラークライスラーとVWは排ガス浄化技術の開発で提携。トヨタ自動車はいすゞ自動車とディーゼルの共同開発で手を組んだ。

 米国が欧州に続くディーゼル車の主戦場となるとの見方も各社に広がり始めている。ダイムラーは〇八年に最新のブルーテック技術を使った「ベンツ」のディーゼル車を投入すると表明。三菱自動車も三菱重工業と共同開発中のクリーンディーゼル車を一〇年に北米で発売する計画だ。

 ホンダの福井威夫社長は「ディーゼル普及のために競争が活発になるのはいいことだ」と歓迎の姿勢を見せるが、「ホンダが世界でリーダーシップを執る」と自社技術への自信は揺るがない。

搭載車種が焦点

 今後の最大の注目点は搭載車種だ。業界ではセダンの「アコード」やミニバンの「オデッセイ」、多目的スポーツ車(SUV)「CR―V」などが候補として取りざたされている。長弘氏は「需要がないところでは意外性のある製品に軍配が上がる」と強調する。

 米調査会社のJ・D・パワーによると米国の〇五年の個人使用のディーゼル比率は三・二%。一五年には一一・六%に伸びると予測するが、浸透するには「提案型のプロダクトアウトの発想が不可欠」と長弘氏はみる。

 ホンダはディーゼル車と同時期に小型のハイブリッド専用車も投入。世界で年間二十万台、このうち北米で十万台を販売する計画だ。中・大型車はディーゼル、小型車はハイブリッドというすみ分けで、ハイブリッドに軸足を置くトヨタやディーゼルを前面に打ち出す欧州勢と一線を画す。

 独自戦略の成否は、ディーゼル車の商品力にかかる。ガソリンエンジンにこだわり続けたホンダが自社開発ディーゼルを欧州で初めて製品化したのは〇四年。後発のホンダが真っ先にエベレストの山頂に駆け上がれば、世界の環境技術の競争の構図は様変わりする。

【表】新車販売に占める個人使用ディーゼル車比率      

(%、J・D・パワー調べ)      

  2005年  2010年(予)  2015年(予)

西欧  49.3  56.2  57.0

東欧  16.9  25.8  32.0

北米  3.2  5.6  11.6

南米  4.3  6.5  12.1

日本  0.2  2.0  7.6

アジア(日本含む)  7.4  13.0  17.4

その他地域  14.2  20.0  24.1

全世界  18.0  22.4  26.1



日産、次世代クリーンディーゼルの排ガス低減技術を欧州と別方式に

河成鎮作 2007/02/05

 日産自動車は、2010年度に投入する次世代クリーンディーゼルの排ガス低減技術について、NOX(窒素酸化物)吸蔵還元触媒方式を採用する計画を明らかにした。欧州メーカーが実用化を目指す尿素SCR(選択還元触媒)よりもシステムが簡素で、コストメリットがあると判断した。まず米国市場向けの大排気量のスポーツ多目的車(SUV)やピックアップトラックに搭載していく。トヨタ自動車もNOX吸蔵触媒の開発を進めているとみられ、日本と欧州で技術戦略の違いが鮮明になってきた。

 日産は従来、NOX吸蔵還元触媒と尿素SCRの両方式で研究開発を続けてきた。03年には米環境保護庁(EPA)の評価で排ガス規制「Tier2Bin5」をクリア。今後は尿素SCRの研究も継続するが、NOX吸蔵還元触媒に開発資源を傾斜する。同社では特に触媒の制御技術で競争力が高いという。

 対応するエンジンの開発は日産が行い、生産は仏ルノーと協力する方向だ。ディーゼル車の販売にあたっては「規制対応による汲々(きゅうきゅう)としたイメージは良くない」(幹部)とし、高級ブランド「インフィニティ」での車種展開も選択肢にする。

 09年に発効する世界で最も厳しい米国の排ガス規制「Tier2Bin5」は、エンジン本体の改良での規制値クリアは難しく、NOXを除去する後処理装置が不可欠。

 尿素水を噴射してアンンモニアを発生させNOXに還元する尿素SCRはすでにトラックで実用化している。ただ、尿素タンクなどが必要で小型車への搭載が難しいほか、尿素水を補給するインフラの整備も課題。

 尿素SCRで開発を進めるドイツのダイムラー・クライスラー、フォルクスワーゲン、アウディの3社は連携し、08年から米市場で「ブルーテック」(クリーンディーゼルの総称)を投入予定。

 後処理装置はNOX吸蔵還元触媒と尿素SCRが2大潮流となっていたが、ホンダが昨年、触媒内部でアンモニアを生成しその還元反応でNOXを窒素に変換する独自の浄化システムを開発。今後、複数の方式で技術の競い合いになりそうだ。



米大統領、一般教書で燃費規制強化?日系メーカーは環境技術提携が加速

河成鎮作 2007/01/25



 米国では従来、欧州などに比べて燃費よりも排ガス規制に重点が置かれていた。ホンダなど日系メーカーは、09年に発効する新排ガス規制に対応する次世代クリーンディーゼル車を投入する計画。一般的にディーゼル車はガソリン車に比べ2割ほど燃費がよいといわれる。ブッシュ大統領が一般教書演説で、ガソリン消費の20%削減を目指すエネルギー政策を打ち出したことで「ディーゼル車の製品開発が加速する可能性もある」(国内メーカー幹部)。06年に続きバイオエタノールの拡大も打ち出され、トヨタ自動車は08年からフレックス・フューエル車(FFV)の投入を予定するなど、日本勢も同分野で先行する米国勢を追撃する構え。

 ただバイオエタノールはアセトアルデヒドを排出し、オゾン層に悪影響を与えるという指摘もあり、カリフォルニア州では規制強化の動きも顕在化している。「健康被害やインフラ整備を慎重に見極めるべきだ」という声もある。

 ただ自動車業界にとって最もやっかいなのは、世界の地域ごとに環境対応の最適解が違うこと。すべての技術に開発投資が必要で、単独での生き残りは難しく、今後提携が加速するのは必至だ。



ホンダ――ディーゼルの排ガス浄化技術、NOxを分解(追跡環境テクノロジー)

河成鎮作 2007/01/15,

逆転の発想NOxを分解

 ホンダは他の自動車メーカーに先駆けて、二〇〇九年に米国で導入される世界で最も厳しい排ガス規制をクリアするディーゼルエンジンの開発に成功した。商用車を持たないホンダはディーゼルエンジンではいわば"最後発"の存在。一気に先行できた背景にあるのは、排ガス中の窒素酸化物(NOx)からアンモニアを作り出し、このアンモニアにNOxを分解させるという発想だ。

 「NOxをどう減らすのか」――。〇九年前後に日米欧で大幅に強化されるディーゼルエンジンの排ガス規制。NOxに関して最も厳しいとされるのが、米国で〇九年に発効する「TierIIbin5」だ。ディーゼル車の主要市場である欧州における現行規制「Euro4」に比べ、NOxを約八割減らすことが求められ、ガソリン車の排ガスとほとんど変わらない。

 エンジンの燃焼室で燃やす燃料と空気が混ざった混合気中に含まれる燃料の比率が低いディーゼルエンジンは、燃費性能が高いことに加え、二酸化炭素(CO2)排出量もガソリンエンジンに比べ二割程度少ない。環境技術が業界の勢力図を簡単に塗り替える傾向が鮮明になっているだけに、自動車メーカーにとっては厳しい規制であっても何としてもクリアしなくてはならないものになっていた。

 NOx同様に低減が求められる粒子状物質(PM)は既に使われている排ガス浄化装置(DPF)で規制をクリアできるという見方が強い。だが、NOxに関しては業界標準となるほどの決定的な技術が見つかっていないのが現状。規制を克服するエンジンを開発するには、NOxの除去技術の確立が不可欠だった。

 ホンダがこの「NOx問題」を解決するために開発したのが、NOxを吸着する下の層とアンモニアを吸着する上の層の二層からなる触媒だ。

 アンモニアはNOxと反応して、無害な窒素と水に分解する効果を持つ。一般には分解のためのアンモニアは外部から取り込む必要があると考えられていたが、ホンダが開発した触媒はNOxからアンモニアを作り出すという、"逆転の発想"を現実にした。

 混合気中に含まれる空気の量が多い通常の燃焼で出てくるNOxは下の層が吸着する。三分に一度、五秒間だけ燃料の比率を上げ、排ガス中に一酸化炭素と水を発生させる。ここから水素を取り出し、NOxと反応させることでアンモニアを得る。アンモニアは上の層にためて、発生したNOxを分解するというのがこの触媒のNOx分解の原理だ。

 発見は技術者が「遊び半分」でディーゼルエンジンの排ガスを様々な触媒に当てていたときのことという。しかしここから生まれた触媒がホンダをディーゼルエンジンで世界の最先端を走る企業に押し上げた。福井威夫社長は「CVCCのように、ディーゼルでもリーダーシップをとる」と、かつてのガソリンエンジンでの成功体験を新型ディーゼルエンジンに重ね合わせる。

 ホンダが新型ディーゼルエンジンの技術を公表した一カ月半後には、トヨタ自動車といすゞ自動車がディーゼルエンジンの開発・生産での提携を発表。デトロイトで開催中の北米自動車ショーでも独ダイムラークライスラーや三菱自動車が新排ガス規制に対応したディーゼル車を市場に投入することを明らかにした。ディーゼルエンジンを巡る自動車業界の動きからはまだまだ目を離せない。(菊池貴之)



次世代ディーゼル車、北米市場に投入――三菱自・三菱重、共同で開発強化。

河成鎮作 2007/01/10

 三菱自動車は九日、二〇一〇年から北米市場に次世代のクリーンディーゼル車を投入すると発表した。三菱重工業と共同で欧州市場向けに開発中の次世代ディーゼルエンジン=完成予想図=を北米市場向けに改良し、中型セダン「ランサー」などに搭載する予定。米国が二〇〇九年に導入する新排ガス規制をにらみ、ディーゼル車の開発を強化する。

 開催中の北米国際自動車ショーで西岡喬会長(三菱重工会長を兼務)が表明した。

 開発するのは排気量二〇〇〇cc級の中型ディーゼルエンジン。応答性に優れるピエゾ式インジェクターのコモンレールシステムなどを活用し、排ガス中の窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の濃度をガソリンエンジン並みに抑制する。一方、燃費効率はガソリン車より二―三割向上させる見通し。

 米国は日本同様、ガソリン車が主体だが、ガソリン価格の高騰や消費者の燃費志向の高まりを背景に、将来は燃料の多様化が見込まれる。日本メーカーではすでにホンダや日産自動車などが米国向けの次世代クリーンディーゼルの開発を表明している。



トヨタ「ハイブリッド」、ホンダ「ディーゼル」投入 米環境戦略 違いくっきり

河成鎮作 2007/01/10

トヨタ自動車は8日、米国で販売する全車種をハイブリッド車にする考えを明らかにした。ホンダは小型車にはハイブリッド、大型車には二酸化炭素(CO2)の排出が少なく低燃費の新型ディーゼル車を投入する方針。日産自動車や三菱自動車もディーゼル普及に前向きで、日系メーカーの米市場での環境戦略の方向性に対する違いが明確になってきた。

 当地で開催中の北米自動車ショーの会場で、トヨタの瀧本正民副社長は将来米国の全車種をハイブリッドにする構想について「いずれそうなるのではないか。さまざまなエンジンに組み合わせることで、CO2の排出をもっと減らしていける」との見解を示した。

 トヨタは米国でプリウス、カムリなどでハイブリッド車を販売。今後コストダウンをさらに図ってハイブリッド車のすそ野を広げていく。充電可能で電気走行距離が長いプラグイン・ハイブリッドについても、軽量電池の開発が前提としながら「有望なシステムであり、ぜひ自前で開発させたい」と意気込む。

 これに対し、ホンダの福井威夫社長は「大型車のハイブリッド化はコスト高。環境対応はディーゼルの方が低価格でできる」と述べ、アコードより大きい車種はディーゼル導入を進めていく考えを示した。ディーゼルはガソリンエンジンよりも、CO2排出量が少なくかつ低燃費で、欧州での普及率は49%に上る。ただし、窒素酸化物(NOx)の排出が比較的多く、排ガス規制が欧州より厳しい米国では乗用車の普及が進んでいない。

 ホンダは、ガソリン車と同水準にNOx排出を抑えたクリーン・ディーゼルを昨年開発、2009年に米市場で販売開始し、「環境にやさしいディーゼル」のイメージ戦略にも取り組む考え。日産は09年にも日本、中国とともに米国でもディーゼル車を投入。三菱自も8日、三菱重工業と共同開発中のディーゼル車を10年にも米市場に投入する方針を明らかにした。

 トヨタは、ディーゼル導入の可能性は否定しないものの、コスト面でハイブリッド車の方が優位との立場。日系メーカーは環境対応でも「顧客にわかりやすい価格と性能を提示できる車」(近藤広一・北米ホンダ社長)を競っており、ビッグスリーの戦略にも影響を与えそうだ。

 ◆北米自動車ショー 中国メーカー売り込み

 【デトロイト=渡辺浩生】開催中の北米国際自動車ショーで、中国の自動車メーカー「湖南長豊汽車」(湖南省)が8日、SUV(スポーツ用多目的車)など5種を発表、北米市場に今後10年以内に進出する考えを明らかにした。同自動車ショーへの中国メーカーの参加は昨年の吉利汽車に続いて2度目。

 同汽車は2010年に年28万8000台の生産を目指す国内10位のメーカーで、三菱自動車が技術供与している。李建新会長は、米国進出について「販売店網の構築が課題」としながらも「価格競争力では強みを発揮できる」と述べた。

 中国の自動車生産台数は06年計700万台に達し、ドイツを抜き米国、日本に次ぐ世界第3位。ただ米国内の排ガスや安全基準は厳しく、ゼネラル・モーターズ(GM)のワゴナー会長は「中国製の品質は年々向上しているが、米国進出は時期尚早」としている。



次世代ディーゼル搭載車を北米でも 三菱自、2010年目標

河成鎮作 2007/01/09

 三菱自動車は八日、三菱重工業と共同開発を進める次世代ディーゼルエンジンを中小型車「新型ランサー」に搭載し、二〇一〇年を目標に北米向けに販売する方針を発表した。窒素酸化物の排出をガソリン車並みに抑え、今年から全面施行される世界で最も厳しい米国の排出ガス規制に対応する。

 三菱自動車などは昨年六月、次世代ディーゼル車を欧州向けに販売すると発表。やや緩やかな欧州の次期排出ガス規制に対応する方針だったが、米国でも次世代ディーゼル車の需要が高まりつつあり、より厳しい規制への対応を目指す。

 ディーゼル車はガソリン車に比べ燃費が二割程度よく、その分二酸化炭素の排出量が少なく地球温暖化抑制に有効とされる。従来は排ガス中に窒素酸化物などが多く含まれ、大気汚染の元凶となっていた。しかし、最近の技術革新で排ガス中の有害物質を大幅に低減。欧州では乗用車の新車の半分以上がディーゼル車となった。

 このため、次世代ディーゼル乗用車はホンダが〇九年までに北米に投入する方針を明らかにしているほか、トヨタ自動車もいすゞ自動車と資本提携して共同開発を進めると発表している。



次世代ディーゼル搭載車 三菱自、北米で販売 2010年めど

河成鎮作 2007/01/09

 三菱自動車は八日、三菱重工業と共同開発を進める次世代ディーゼルエンジンを中小型車「新型ランサー」に搭載し、二〇一〇年を目標に北米向けに販売する方針を発表した。光化学スモッグの原因になりうる窒素酸化物の排出をガソリン車並みに抑え、今年から全面施行される世界で最も厳しい米国の排出ガス規制に対応する。

 三菱自動車などは昨年六月、次世代ディーゼル車を欧州向けに販売すると発表。この時はやや緩やかな欧州の次期排出規制に対応する方針だったが、米国でも次世代ディーゼル車の需要が高まりつつあり、より厳しい規制への対応を目指す。

 ディーゼル車はガソリン車に比べ燃費が二割程度よく、その分二酸化炭素の排出量が少なく地球温暖化抑制に有効とされる。従来は排ガス中に窒素酸化物などが多く含まれ、大気汚染の元凶となっていた。しかし、最近の技術革新で排ガス中の有害物質を大幅に低減。欧州では乗用車の新車の半分以上がディーゼル車となった。

 このため、次世代ディーゼル乗用車はホンダが二〇〇九年までに北米に投入する方針を明らかにしているほか、トヨタ自動車もいすゞ自動車と資本提携して共同開発を進めると発表している。



三菱自と三菱重工、北米の次期排出ガス規制対応したディーゼルエンジン開発へ

河成鎮作 2007/01/09



 三菱自動車は8日、三菱重工業と共同で米国の次期排出ガス規制「Tier2 Bin5」に対応したディーゼルエンジンを開発すると発表した。同日発売した新型「ランサー」に搭載し、2010年の市販化を目指す。

 両社が現在共同開発を進めている欧州の次期排ガス規制に対応したディーゼルエンジンをベースに、排ガスの後処理システムでは微粒子除去装置(DPF)と窒素酸化物(NOx)トラップ触媒を組み合わせる。また軽量のアルミブロックを採用するほか、新たな過給機を搭載する。

 米次期排ガス規制は世界で最も厳しいとされる。日系メーカーではホンダが09年にも、日産自動車は2010年をめどに、同規制をクリアする新型ディーゼルエンジンの投入を表明している。



日産:環境路線再び 自社製ハイブリッド/エコカー競争参入

河成鎮作 2006/12/12, , 毎日新聞 朝刊, 10ページ, , 651文字     書誌情報類似検索印刷イメージを表示



 日産自動車は11日、中期の環境技術戦略「ニッサン・グリーンプログラム2010」を発表した。自社開発のハイブリッド車発売や、日米欧での排ガス規制強化に対応できる新型ディーゼルエンジン投入などが柱で、二酸化炭素(CO2)排出量削減の取り組みを強化する。地球に優しいエコカーの開発ではトヨタ自動車やホンダが先行していたが、経営体力が戻った日産も今後開発レースに復帰し、巻き返しを図る。

 プログラムでは、CO2削減の究極的な目標として、2050年に新車のCO2排出量を00年比で70%削減することを掲げ、それに向けた短期、中期の取り組みではエンジン技術の進化を、長期では電動のエコカーの投入・普及を示した。こうした新開発車両の実用化は、10年度かそれ以降の早い時期に集中させる。

 90年代末に経営危機に陥った日産は、経営再建を優先するため多額の費用を必要とするハイブリッド車の自社開発を一時凍結。トヨタから技術供与を受ける道を選択し、07年初めに米国で、トヨタの技術を導入したハイブリッドの量産車(アルティマ)を発売する。ただこの間も自社での研究は続行。再建を果たして投資余力が戻ったことに加え、日米市場で需要拡大が見込めることから、自社開発にゴーサインを出した。

 ディーゼルエンジン開発は、提携相手の仏ルノーと取り組む。ルノー以外のメーカーとの新たな提携の可能性について、志賀俊之・最高執行責任者(COO)は「プログラムの達成を目指す上で、(提携は)前提にしていない」と、否定的な考えを示した。



日産自動車、ディーゼル車販売/環境規制強化に対応/2010年度/日産自

河成鎮作 2006/12/12

日産自動車、ディーゼル車販売/環境規制強化に対応/2010年度

 日産自動車は11日、ガソリン車に比べ、二酸化炭素(CO2)の排出量が少ないディーゼルエンジンの乗用車を2010年度から国内や北米などで販売すると発表した。ガソリンエンジンと電気モーターで動くハイブリッド車も自主開発し、10年度を目標に北米や国内に投入する。

 米国や欧州では、10年度までに走行中のCO2排出を大幅削減する規制を導入予定。日本も09年に排ガス規制を強化する見通しで、日産は環境対策強化で世界的な環境規制の動きに対応する。自動車各社とも同様の動きを見せており、技術開発競争は一段と激しくなりそうだ。

 ディーゼル車は、資本提携先のフランス・ルノーと一部を共同開発。新開発エンジンを搭載した新型車を07年度前半に欧州で先行販売し、10年度に日本や北米、中国に拡大する。

 ディーゼル車は騒音や馬力不足などを指摘され、国内で抵抗感もあるが、同日記者会見した志賀俊之・最高執行責任者(COO)は、「ディーゼル車は進化しており、市場は広がると確信している」と強調した。

 また、ハイブリッド車や電気自動車に搭載可能なリチウムイオン電池の生

産・販売会社を近く設立する。

 自動車業界では、環境対応が勝ち残りの鍵を握るとされ、トヨタ自動車は11月、いすゞ自動車とディーゼルエンジンの共同開発で合意。ホンダも独自開発に力を入れている。だが、環境技術の開発には巨額の費用がかかり、トヨ

タ・いすゞの提携のように、コスト分担や開発期間短縮を狙った業界再編が促される可能性もある。



日産がハイブリッド車 独自開発 10年度投入へ 中期環境計画

河成鎮作 2006/12/12

日産がハイブリッド車

独自開発 10年度投入へ

中期環境計画

 日産自動車は十一日、二○一○年に向けた中期環境戦略「グリーンプログラム2010」を発表した。電気モーターとエンジンを併用したハイブリッド車について、二○一○年度に独自開発車を国内と北米で発売。また、一○年代の早い時期に新型電気自動車を国内に、新型燃料電池車を国内と北米に投入する。

 トヨタ自動車やホンダに後れを取る環境対応で巻き返しを図る考えだ。

 このほか、二○○○ccクラスの次世代ディーゼル車を○七年度前半に欧州に投入する。一○年度以降、国内、北米、中国に各国の最新排ガス規制をクリアする新型ディーゼル車を発売する。

 また、ガソリンエンジンの効率を高め、三リットルで百キロ走行できる車の開発を進め、一○年に日本に投入する。

環境対策遅れに危機感

 日産自動車が十一日発表した中期環境戦略には、環境分野でトヨタ自動車やホンダに先行され、「何もしていないのではないかと思われていた」(志賀俊之最高執行責任者)との危機感が表れている。

 日産はカルロス・ゴーン社長就任以降、業績の立て直しを優先させてきた。例えばハイブリッド車では「マスマーケット(量販市場)の技術ではない」(同社長)とトヨタとの提携を選択し、独自開発車の実用化に慎重だった。

 しかし、他社から調達する軽自動車を除くと十四カ月連続で前年同月比マイナスが続く国内販売の現状に、内部からは「ハイブリッド車がないと店舗に足も運んでもらえない」との不満も出ていた。志賀氏は「これまでも否定していたわけではない」と弁明するが、イメージダウンを避けるため方針転換に追い込まれたように映る。

 ただ、ハイブリッド車で「後輪駆動車の投入を検討中」(志賀氏)とした以外は、電気自動車やディーゼル車にしても、車種、販売台数など中身には踏み込んでいない。二○一○年代初頭に年百万台のハイブリッド車販売を目指すトヨタ、三年以内に世界で最も厳しい排ガス規制をクリアするディーゼル車を投入するホンダと比べ、具体性やスピード感の乏しい計画となった。環境技術は自動車業界での生き残りを左右する。日産が「時間を買う」ため他社と提携する可能性は残っている。



トヨタ:米排ガス規制クリア ディーゼル中小型車用、次世代エンジン開発

河成鎮作 2006/12/09

 トヨタ自動車は8日、世界で最も厳しい米国の次期排ガス規制(07年適用)をクリアする中小型車向け次世代ディーゼルエンジンの開発に成功したことを明らかにした。09年に日本と欧州が導入する次期排ガス規制にも適合しており、ディーゼル車の普及が進んでいる欧州から導入する方針。ホンダも米国基準をクリアするディーゼルエンジンの開発に既に成功しており、ディーゼルをめぐる各社の競争はより激化しそうだ。

 トヨタは、環境対応技術では他メーカーに先行するハイブリッド車(HV)を中核に据えている。ただ、欧州などでディーゼル車の需要が拡大しているため、ディーゼルエンジンの開発も加速させている。ディーゼルに強いいすゞ自動車と資本・業務提携したのもそのためで、共同開発に向けた協議を進めている。

 新型エンジンは、コモンレールなどを改良して燃焼効率を向上させたほか、粒子状物質(PM)と窒素酸化物(NOx)を低減する触媒「DPNR」の性能を高めた。

 米国市場への投入は新型ピックアップトラックから始める方針。ただ、同トラック向けの大型ディーゼルエンジンの開発にはまだ成功しておらず、開発を急ぐ。中小型車は引き続きHV車の普及に力を入れていく。

 一方、欧州市場では、次期排ガス規制の始まる09年までに、2リットルクラスの新型エンジンを導入する方針だ。ただ、現状では製造費用が高いため、実用化に向けてコスト削減に努める。【中井正裕】



ディーゼル車:排ガス規制強化控え、注目!??日米欧市場

河成鎮作 2006/12/05

 ガソリンエンジンに比べて燃費がよく、二酸化炭素(CO2)の発生量も少ないディーゼルエンジンに注目が集まっている。欧州市場は既に新車販売の5割がディーゼル車で、日本メーカーもディーゼル車の販売に力を入れている。日本市場でも、メルセデスベンツがディーゼル車の販売を今秋から開始した。ただ、来年以降、日米欧の各国・地域で導入される次期排ガス規制が厳しくなるため、規制突破を目指し各社は技術開発にしのぎを削っている。

 ディーゼル車が注目されるのは、燃費がガソリン車より2?3割よく、その分、CO2の発生量も少ないため。また、ガソリン車よりも巨大なトルクが発生することからスポーツ走行もこなすため、運転の楽しさも求める欧州で火がついた。一方、日米で敬遠されてきたのは、大気汚染の問題があるから。粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)の発生量がガソリン車に比べ多く、「公害」の元凶とのイメージが定着してしまったためとみられる。

 そうした中で日本市場に挑んだのがベンツだった。今秋からディーゼル車「E320CDI」の販売を開始したが、実は日本の05年排ガス規制をクリアしていない。販売できるのは、輸入車は規制の適用が2年程度遅くなる「猶予期間」が設けられているからだ。07年9月からは現在の規制が適用され、現状のままでは販売できなくなるため、新たな技術開発で排ガスをよりクリーンにすることが求められている。

 日本メーカーで最初にクリーンディーゼルの開発に成功したと発表したのはホンダだ。NOxを吸着できる触媒を新開発、ガソリン車と同等の排出レベルを達成した。NOxに最も厳しい米国基準もクリアしているといい、米国に09年にもディーゼル車を投入する方針だ。

 ハイブリッド技術でリードするトヨタも、グループ企業のデンソー、豊田自動織機などと次世代ディーゼルの開発に力を入れている。いすゞ自動車と資本提携したのも、1・8リットルクラスのディーゼルエンジンを開発するためだといわれる。三菱自動車も2リットルクラスのディーゼルを欧州向けに開発しており、09年中に開発を終える予定だ。

 次期排ガス規制は米国では07年モデルとして販売される車から適用が始まり、日本では09年、欧州でも09年からの適用が決まった。日米でもディーゼル車への関心は着実に高まっており、ディーゼルをめぐる各社の競争は激化しそうだ。

 

トヨタ、次世代ディーゼル開発 ホンダに先行、08年欧州投入 【名古屋】

河成鎮作 2006/11/30

 トヨタ自動車が日米欧で強化される排ガス規制をクリアした次世代クリーンディーゼルエンジンの開発に成功したことが29日、分かった。08年後半から欧州向けのディーゼル車に搭載する方針だ。国内大手ではホンダが同レベルのディーゼル車を09年に米国に投入する計画を表明しているが、トヨタは日本メーカーの先陣を切って次世代エンジンを投入することでハイブリッド車に比べて出遅れていたディーゼル車の販売拡大を狙う。

 トヨタの新型エンジンは、エンジン内部に燃料を噴射するノズルを改良して燃料を全体に行き渡るようにしたことで燃料の燃焼効率を引き上げたほか、排ガスに含まれる粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)を同時に低減する触媒の改良などにも成功した。

 ただ、「新部品の追加などで現状では割高」(トヨタ幹部)なので、今後、さらに原価低減を進め、08年に次世代ディーゼル車の米国投入を表明した独BMWより早い世界初の実用化を目指す。今回のエンジンは自社開発したが、資本提携したいすゞ自動車とも今後、研究を進める。

 ディーゼル車の次期排出ガス規制は、米国は07年モデルとして発売する車で適用される。日本は09年、欧州は10年からの適用を検討中で、粒子状物質の排出量(上限)は日本では現行の約3割、欧州では2割まで削減するよう求められる。日米欧とも規制をクリアできないと販売できない見込み。新規制値では、NOxで米国が日本のほぼ半分と厳しく、PMは日米欧がほぼ同じレベルだ。

 ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて燃費が優れているものの、排ガスにPMやNOxが多く含まれる。この抑制を目的とした規制強化の動きを受け、自動車各社は技術的対応に迫られ、ダイムラークライスラーなどの独メーカーとホンダが新規制をクリアする次世代型の開発競争を繰り広げていた。

 トヨタは新型エンジンを皮切りに、欧州でのトヨタ単独の販売台数に占めるディーゼル車の割合(05年は40%)を10年までに5割以上に引き上げる方向だ。一方、08年には現行よりも低コストの次世代ハイブリッドシステムも実用化する予定。日米市場へのディーゼル車の本格投入については「ガソリン価格や消費者の需要を見ながら検討する」(トヨタ幹部)としており、日米ではハイブリッド、欧州では次世代クリーンディーゼルと、二正面作戦で環境対応車戦略を進める方針だ。

 ■日米欧の次期排ガス規制における大気汚染物質の上限値

 <日本?09年から適用予定>

 粒子状物質 0.005(0.013?0.014)

 窒素酸化物 0.08 (0.14 ?0.15 )

 一酸化炭素 0.63 (0.63)

 <米国?07年モデルから適用>

 粒子状物質 0.006

 窒素酸化物 0.044

 一酸化炭素 2.62

 <欧州?10年から適用予定>

 粒子状物質 0.005(0.025)

 窒素酸化物 0.2  (0.25 )

 一酸化炭素 0.5  (0.5  )

 (乗用車1キロ走行あたり、単位グラム。カッコ内は現行基準。乗用車の基準・走行モードは各国・地域で異なる。米国は単純比較できず。日本の現行規制では車の総重量で一部基準が異なる。次期規制では走行モードも変わる)



トヨタ、次世代ディーゼル開発成功 08年後半に欧州投入へ

河成鎮作 2006/11/30

 トヨタ自動車が日米欧で強化される排ガス規制をクリアした次世代クリーンディーゼルエンジンの開発に成功したことが29日、分かった。08年後半から欧州向けのディーゼル車に搭載する方針だ。国内大手ではホンダが同レベルのディーゼル車を09年に米国に投入する計画を表明しているが、トヨタは日本メーカーの先陣を切って次世代エンジンを投入することでハイブリッド車に比べて出遅れていたディーゼル車の販売拡大を狙う。

 ただ、「新部品の追加などで現状では割高」(トヨタ幹部)なので、今後、さらに原価低減を進め、08年に次世代ディーゼル車の米国投入を表明した独BMWより早い世界初の実用化を目指す。ディーゼルエンジンに強みを持ついすゞ自動車とも資本提携したが、今回のエンジンは自社開発を目指す。

 ディーゼル車の次期排ガス規制は、米国は07年モデルとして発売する車で適用される。日本は09年、欧州は10年からの適用を検討中で、粒子状物質の排出量(上限)は日本では現行の約3割、欧州では2割まで削減するよう求められる。日米欧とも規制をクリアできないと販売できない見込み。



ディーゼル車、日産、米に2009年投入、大型ピックアップ車で。

河成鎮作 2006/10/30

 日産自動車は二〇〇九年をめどに、米国でディーゼルエンジンを搭載した大型ピックアップトラックを投入する。燃費規制への対応と大型車の競争力向上の観点からディーゼル車が必要と判断した。日本メーカーではホンダも次世代型ディーゼル車の発売を計画しており、欧州で先行するディーゼル車が米国でも環境対応車の一つとして浮上しそうだ。

 日産がディーゼルエンジンを搭載するのは「ヘビーデューティー」と呼ばれる最大サイズのピックアップ車。ディーゼルエンジンの採用で燃費性能と低速域の走行性能を高め、建設業者など業務用を中心に販売する。

 排気量六〇〇〇―七〇〇〇cc級のディーゼルエンジンをグループ外から調達する方針。キャントン工場(ミシシッピ州)で生産し、年数万台の販売を狙う。米市場はガソリン高を受けて小型車への需要シフトが進んでいるが、需要が底堅い大型ピックアップ分野は米国勢がほぼ独占してきた。

 日産の〇六年度上期の米販売台数は前年同期比一〇%減と失速。下期に主力小型車を全面改良するが、大型車は販売低迷が続いているため、巻き返しを狙う。

 米では燃費規制の強化と軽油品質の向上を背景に、欧米勢が中大型のディーゼル車を相次ぎ投入する方針で、ホンダも窒素酸化物(NOx)の排出量を大幅に減らしたディーゼル車を三年以内に発売する計画。政府はバイオエタノール車の普及も促しており、環境対応車の勢力図が変わりつつある。



ホンダ、米のディーゼルエンジン車にAT仕様

河成鎮作 2006/09/28

 ホンダは09年までに米国で発売を予定するディーゼルエンジン車にAT(自動変速機)仕様を設定する。ディーゼルの強いトルクに対応するATを排気量で1クラス上のガソリンエンジン用ATをベースに開発し適用する。現在販売している欧州向けディーゼル車はMT(手動変速機)のみの設定。AT比率が高い米国の市場に合わせたパワートレーンを用意して普及を図り、ホンダが米国で販売する新車全体の燃費向上につなげる。ディーゼルAT車は国内投入も検討する。

 ホンダは03年末に初の自社製ディーゼルエンジン「i―CTDi」(直列4気筒2・2リットル)を「アコード」に搭載し欧州で発売、ディーゼル戦線に本格参戦した。さらに今年、アンモニアを内部生成する独自のNOX(窒素酸化物)触媒を新開発し、米国で09年以降に実施される排出ガス規制にミートするめどをつけた。

 クリーンディーゼルエンジンはまず、09年5月までに米国で市販車に搭載する予定。新開発するV型6気筒3リットルエンジンを米国向けの主力に位置付ける方針で、これに専用のATを組み合わせる。

 ディーゼルエンジンはエンジン本体の理論的な成り立ちとターボの付加により、ガソリンエンジンを大きく上回るトルクを低回転から発生する。このため変速機の負荷が大きい。そこでディーゼル3リットル用にはガソリン3・5リットル用をベースにATを開発し適合させる。ディーゼルの特性である低燃費と、力強い中間加速を両立するATに仕上げホンダディーゼルの商品力を高める。



ホンダ:NOxの排出量1/6、次世代ディーゼルを開発

河成鎮作 2006/09/26

 ホンダは25日、窒素酸化物(NOx)の排出をガソリンエンジンと同レベルにまで抑えた次世代ディーゼルエンジンの開発に成功したと発表した。既存のディーゼルエンジンに比べNOx排出量が6分の1程度で、09年に発効し世界で最も厳しいとされる米国の排ガス規制も満たすという。他社に先駆けた技術開発といい、3年以内に車両に搭載して米国で発売する。

 新エンジンは、2層に分かれた触媒装置に排ガスを通し、触媒の内部でアンモニアを発生させてNOxに吸着させ、無害な窒素に浄化する。触媒を小型化し、乗用車にも搭載することが可能になった。日本市場での発売も検討する。

 軽油が燃料のディーゼル車は、ガソリン車に比べ燃費が2?3割よく、二酸化炭素の排出量も2割ほど少ない。日本では黒煙を吐くイメージが強く乗用車への搭載が進まないが、技術革新で有害物質の排出量も減少している。



ホンダ:新エンジン開発 NOxガソリン並み、次世代ディーゼル

河成鎮作 2006/09/26

 ホンダは25日、窒素酸化物(NOx)の排出をガソリンエンジンと同レベルにまで抑えた次世代ディーゼルエンジンの開発に成功したと発表した。既存のディーゼルエンジンに比べNOx排出量が6分の1程度で、09年発効の世界一厳しいとされる米国の排ガス規制も満たすという。他社に先がけた技術開発といい、3年以内に車両に搭載して米国で発売する。

 新エンジンは、2層に分かれた触媒装置に排ガスを通し、触媒の内部でアンモニアを発生させてNOxに吸着させ、無害な窒素に浄化する。触媒を小型化し、乗用車にも搭載することが可能になった。日本市場での発売も検討する。

 軽油が燃料のディーゼル車は、ガソリン車に比べ燃費が2?3割よく、二酸化炭素の排出量も2割ほど少ない。日本では黒煙を吐くイメージが強く乗用車への搭載が進まないが、技術革新で有害物質の排出量も大幅に減少している。

 欧州では環境に優しいエコカーとして注目され、新車市場で乗用車の約5割をディーゼル車が占めている。

 ホンダは欧州のディーゼル人気が日米に波及する可能性もあると見て、ガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッド車とともに、ディーゼル車の開発、生産体制の強化にも力を注ぐことにした。

 

ホンダ、新型ディーゼルエンジン開発

河成鎮作 2006/09/26

 ホンダは、ガソリン車並みに厳しい窒素酸化物の排出レベルが求められる米国の排出ガス規制をクリアできる新型ディーゼルエンジンを開発した。アンモニアの還元反応を利用し、窒素酸化物を窒素に浄化する技術を組み込んだ。このエンジンを搭載した自動車を3年以内に米国市場に投入する。

 新開発の触媒システムは、エンジンからの排ガスが大気中に排出される前に、触媒内部でアンモニアを生成し、還元反応を利用して窒素酸化物を窒素に浄化する。

 現存のディーゼルエンジン用触媒システムは、アンモニアを生成するために尿素水を添加する。これに対し、ホンダ方式は、排ガス中の水素を化学反応させてアンモニアを生成するため、システムの小型化が可能になるという。



新型ディーゼルエンジン開発

河成鎮作 2006/09/26

 ホンダは、ガソリン車並みに厳しい窒素酸化物の排出レベルが求められる米国の排出ガス規制をクリアできる新型ディーゼルエンジンを開発した。アンモニアの還元反応を利用し、窒素酸化物を窒素に浄化する技術を組み込んだ。このエンジンを搭載した自動車を3年以内に米国市場に投入する。

 新開発の触媒システムは、エンジンからの排ガスが大気中に排出される前に、触媒内部でアンモニアを生成し、還元反応を利用して窒素酸化物を窒素に浄化する。

 現存のディーゼルエンジン用触媒システムは、アンモニアを生成するために尿素水を添加する。これに対し、ホンダ方式は、排ガス中の水素を化学反応させてアンモニアを生成するため、システムの小型化が可能になるという。



日本車、環境対応で攻勢――ホンダ→新型燃料電池車、トヨタ→ハイブリッド車。

河成鎮作 2006/09/25

ホンダ→新型燃料電池車、2008年日米投入

トヨタ→ハイブリッド車、家庭充電開発へ

 ホンダは先端技術を盛り込んだ環境対応車を相次ぎ投入する。発電装置を小型化した燃料電池車を二〇〇八年に日米で発売。世界で最も厳しい排ガス規制に対応したディーゼルエンジン車も三年以内に米国で売り出す。トヨタ自動車もハイブリッド車で燃費性能を高めた新型車を開発する。世界の自動車各社は需要が急増する環境車で激しい競争を展開。ホンダが攻勢に出ることで、環境車開発で日本の二強が先導する構図が鮮明になる。(環境対応車は3面「きょうのことば」参照)

 ホンダが開発した新型燃料電池車「FCXコンセプト」は発電装置の内部構造を抜本的に見直し、装置の容積を現行モデルと比べ二割縮小した。重量も三割軽減。装置を床下に納めやすくなり、室内空間が広がる。

 出力も向上し、一度の水素充てんで走れる距離を三割増の五百七十キロメートルに引き上げて実用性を大幅に高めた。価格などは未定だが、リース販売方式になる見通し。

 燃料電池車は二酸化炭素(CO2)を排出しない「究極の低公害車」といわれる。ただ車両価格が推定一億円以上と高額なため普及にはほど遠い。ホンダは技術水準を高めた新型車でコスト低減を進め、価格の引き下げを狙う。

 新型のクリーンディーゼルエンジンでは排ガスの窒素酸化物(NOx)を大幅に減らす触媒装置を開発した。排ガスを通すとNOx分解に有効なアンモニアができる世界初の技術。排ガスをガソリンエンジン並みにきれいにできる。

 ディーゼル車はCO2排出量がガソリン車より二―三割少なく、欧州では新車販売の五割を占める。〇九年には世界で最も厳しい排ガス規制が米国で発効するが、ホンダは新開発した技術でこれを達成。米国だけでなく、日本、欧州でも販売することを検討する。ハイブリッドに燃料電池、ディーゼルを加えた三つを柱にする。

 トヨタはガソリンエンジンと電動モーターを併用して走るハイブリッド車で、家庭用の電源から充電できる「プラグインハイブリッド車」の開発に着手した。電気モーターによる走行比率を現在より高めて、燃費効率を現行車より二倍程度に向上させる。

 トヨタは先行するハイブリッド技術を軸にすえる。燃料電池車や低排ガスのディーゼルエンジン、エタノール燃料対応車も実用化を進めているが、ハイブリッドは「あらゆる車の動力と組み合わせられる」(渡辺捷昭社長)。燃料電池車やエタノール車を含めた環境対応車すべてにハイブリッド技術を転用し量産効果を出す戦略だ。

 米国はじめ各地で燃費や排ガスに対する規制が強まっているほか、消費者も燃料価格の高騰などで環境性能を重視する流れが強まっている。米ゼネラル・モーターズ(GM)などの不振は環境車で出遅れていることが大きな要因だ。トヨタのハイブリッド専用車「プリウス」だけで累計販売台数は五十万台を超え、環境車への取り組みは業績に直結しつつある。

 自動車業界ではトヨタとホンダが環境技術をけん引する「日本車二強体制」が鮮明になる。海外勢はハイブリッド分野ではGM、独BMW、独ダイムラークライスラーの三社が共同開発に取り組んでいるが、十分な成果は出ていない。燃料電池車もGMの商業化計画は一一年だ。国内勢でも日産自動車や三菱自動車などは製品化で遅れをとる。



ディーゼル、米排ガス規制クリア――ホンダ、次世代技術を公開。

河成鎮作 2006/09/25

 ホンダはガソリンエンジン並みのクリーン度を持つディーゼルエンジンや新型燃料電池車などの次世代技術を公開した。新型ディーゼルには排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去する新型触媒を採用し、世界で最も厳しい米排ガス規制(二〇〇九年発効予定)をクリアした。燃料電池車では発電装置の大幅な小型化と性能向上を実現、〇八年に新型車を発売することも明らかにした。

 新型ディーゼルで新たに開発した触媒システムはいったんNOxを吸着させ、排ガス中から得られる水素と反応させてアンモニアに転化。そのアンモニアをNOxと反応させて無害の窒素に浄化する仕組みだ。アンモニアを生成する層と、窒素に浄化する層の二層構造となっている。

 NOx浄化にはアンモニアを使うのが最も有効。トラックでは尿素水を排ガスに噴霧する技術が使われているが、ホンダは尿素水を使わずに触媒内でアンモニアを発生させる簡便な仕組みのため、乗用車により適した仕組みという。世界で最も厳しい米排ガス規制「Tier2Bin5」をクリアした。触媒の材料は未公表。

 新型ディーゼルは五月に福井威夫社長が三年以内の投入を表明していた。排ガス低減技術の内容が明らかになったのは初めてで、実際のエンジンを搭載した実験車も公開した。まず、米国で販売を始める。福井社長は「ディーゼル車でリーダーシップをとる」と意気込みを語った。

 次世代の燃料電池車「FCXコンセプト」に関しては、スタック(発電装置)の小型化技術と実車を公開。現在のスタックは発電時に生成される水を横方向に流す仕組みのため、装置が大きい。新技術では重力を利用して垂直に水を流す方式を採用、スタックの小型化につなげた。

 容積は現行比で二〇%削減。重量も三〇%軽くした。駆動モーターの最高出力は九十五キロワットと、現行技術より十五キロワット向上。〇八年に日本と米国でリース方式で限定販売する計画だ。

 このほか、一〇〇%のエタノールを燃料に使う「FFV」と呼ぶエタノール車や低燃費と高出力を両立させた新型の「VTECエンジン」を公開した。FFVは年内にブラジルに投入する計画だ。



世界一シビア ホンダのディーゼルエンジン、米2007年規制クリア

河成鎮作 2006/09/25

 ホンダは24日、世界で最も厳しいものとなるアメリカの新排ガス規制(2007年開始予定)を初めてクリアしたディーゼルエンジンを開発したと発表した。排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)をガソリン車並みに低減できる。09年までにアメリカでSUV(スポーツ用多目的車)などに搭載する方針だ。

 アメリカの新規制は1マイル(約1・6キロ・メートル)当たりのNOx排出量を0・07グラム以下と定めている。ホンダは独自の2層構造の触媒を用い、NOxを無害な窒素に還元するのに成功した。

 NOxを無害化する技術には主に2方式ある。ホンダのような触媒を使う方式は、もう一つの尿素水を使う方式と違ってタンクが不要なため、エンジンを軽量化できるメリットもある。



ホンダ・新ディーゼル車 有害物質の排出低減に成功 日米で販売へ

河成鎮作 2006/09/25

 自動車メーカーの「ホンダ」は、燃費が良いものの有害物質の排出を抑えることが課題になっていたディーゼル車について、世界で初めて、排気ガスに含まれる有害物質の量をガソリン車と同じ水準まで減らした車の開発に成功し、アメリカや日本で販売することになりました。

 ホンダが開発したディーゼル車は、排気ガスに含まれ大気汚染の原因になる有害な窒素酸化物をアンモニアと化学反応させることで、従来の6分の1まで減らしたもので、有害物質の量をガソリン車と同じ水準に抑えるよう求めるアメリカの排気ガス規制に世界で初めて適合できたということです。

 ホンダはこのディーゼル車を3年以内にアメリカ市場に投入し、その後、日本でも販売する計画です。

 ガソリン価格の高騰を受けて、アメリカなどでは燃費の良い日本メーカーの「ハイブリッド車」に人気が集まっていますが、ホンダでは新しいディーゼル車をバイブリッド車と並ぶ環境対策車と位置付けています。

 また、ホンダでは、次世代の車として注目される水素ガスを燃料にした「燃料電池車」についても、軽量化を進めた結果、走行距離を従来より30%と大幅に伸ばしたということで、この燃料電池車を平成20年に日本とアメリカで限定的に発売する予定です。

 ホンダの福井威夫(フクイタケオ)社長は、「新しいディーゼル車は燃費も良く走行性もすばらしいので日本でも受け入れられると思うが、地球環境を考えると、二酸化炭素を出さない燃料電池車の実用化がより重要だ」と話しています。



NOχ排出減 新型ディーゼル/走行距離を延長 燃料電池車*ホンダが開発*米などで販売へ

河成鎮作 2006/09/25

 ホンダは二十四日、窒素酸化物(NOχ)の排出を大幅に抑えた新型ディーゼルエンジンと、走行距離を伸ばした燃料電池車を開発した、と発表した。新型ディーゼルエンジンを搭載した自動車を今後三年以内に米国で発売、燃料電池車も公用車向けなどで二○○八年中に日米で販売する。

 新型ディーゼルエンジンは、エンジン内でつくられるアンモニアと、窒素酸化物を新開発の触媒を使い、化学反応させ無害な窒素と水に変える。

 同社の従来ディーゼルエンジンに比べ窒素酸化物の排出を約五分の一に抑え、世界で最も厳しいとされる米国の排ガス規制レベルもクリアできるとしている。

 燃料電池車は「スタック」と呼ばれる、水素から電気を発生させる部品の小型化に成功。走行距離も○五年に開発したモデルに比べて百四十キロ伸び、五百七十キロになっている。

 地球温暖化やガソリン価格の高騰を受けて、軽油で走るディーゼルエンジン車は欧州で普及。ただ、日本では排ガスが多いとのイメージが強く、普通乗用車の販売は少ない。燃料電池も開発費が多くかかることから、価格が高い。

 福井威夫社長は「商品化にはまだ時間が必要と考えているが、ホンダならではの革新的な発想から生まれた技術をさらに熟成させたい」と話している。



新型ディーゼル開発/燃料電池車も改良/ホンダ

河成鎮作 2006/09/25

 ホンダは二十四日、窒素酸化物(NOx)の排出を大幅に抑えた新型ディーゼルエンジンと、走行距離を伸ばした燃料電池車を開発した、と発表した。新型ディーゼルエンジンを搭載した自動車を今後三年以内に米国で発売、燃料電池車も公用車向けなどで二〇〇八年中に日米で販売する。

 新型ディーゼルエンジンは、エンジン内でつくられるアンモニアと、窒素酸化物を新開発の触媒を使い、化学反応させ無害な窒素と水に変える。同社の従来ディーゼルエンジンに比べ窒素酸化物の排出を約五分の一に抑え、米国の排ガス規制レベルもクリアできるとしている。燃料電池車は「スタック」と呼ばれる、水素から電気を発生させる部品の小型化に成功。走行距離も〇五年モデルに比べ百四十キロ伸びた。



NOx排出を大幅削減、ホンダが新型ディーゼル車を開発 距離アップの電池車も

河成鎮作 2006/09/25

NOx排出を大幅削減、ホンダが新型ディーゼル車を開発

距離アップの電池車も

 ホンダは二十四日、窒素酸化物(NOx)の排出を大幅に抑えた新型ディーゼルエンジンと、走行距離を伸ばした燃料電池車を開発した、と発表した。新型ディーゼルエンジンを搭載した自動車を今後三年以内に米国で発売、燃料電池車も公用車向けなどで二○○八年中に日米で販売する。

 新型ディーゼルエンジンは、エンジン内でつくられるアンモニアと、窒素酸化物を新開発の触媒を使い、化学反応させ無害な窒素と水に変える。

 同社の従来ディーゼルエンジンに比べ窒素酸化物の排出を約五分の一に抑え、世界で最も厳しいとされる米国の排ガス規制レベルもクリアできるとしている。

 燃料電池車は「スタック」と呼ばれる、水素から電気を発生させる部品の小型化に成功。走行距離も○五年に開発したモデルに比べて百四十キロ伸び、五百七十キロになっている。

 地球温暖化やガソリン価格の高騰から、軽油で走るディーゼルエンジン車は欧州で普及。ただ、日本では排ガスが多いとのイメージが強く、普通乗用車の販売は少ない。燃料電池も開発費が多くかかることから、価格が高い。



次世代ディーゼル 新型触媒でNOx大幅減 ホンダ

河成鎮作 2006/09/25

 ホンダは、窒素酸化物(NOx)の排出をガソリン車並みに大幅に低減した乗用車用の新世代ディーゼルエンジンを開発したと二十四日、発表した。ホンダはこのエンジンを搭載した乗用車を三年以内に米国で発売し、その後、日本や欧州での展開を検討する。

 新開発の触媒を使い、エンジン内で生成されるアンモニアとNOxを化学反応させ、無害な窒素に浄化させる仕組み。NOxや粒子状物質(PM)を来年から全面施行される世界で最も厳しい米国規制にも対応できるようにした。新エンジンは軽量化も進み、触媒の小型化で従来より小さな車に積むことができる。

 ディーゼルエンジンは二酸化炭素(CO2)の排出が少なく、地球温暖化の抑制効果が期待される半面、NOxなどが多いため日本で発売される乗用車からほぼ姿を消している。しかし、欧州では有害物質を低減させ、振動や音を大幅に抑えたディーゼル車が数多く出回っている。

 ホンダはこのほか、新開発した小型で高効率の燃料電池を積んだ新型燃料電池車を二〇〇八年に日本と米国でリース販売すると発表。これまでの燃料電池は大型で車高の高い多目的レジャー車などにしか積めなかったが、小型化により普通の乗用車にも積める。



ホンダ 新ディーゼル開発 NOx排出 大幅低減 3年内に米で発売

河成鎮作 2006/09/25

 ホンダは二十四日、窒素酸化物(NOx)の排出をガソリン車並みに大幅に低減した乗用車用の新世代ディーゼルエンジンを開発したと発表した。ホンダはこのエンジンを搭載した乗用車を三年以内に米国で発売し、その後、日本や欧州での展開を検討する。

 新開発の触媒を使い、エンジン内で生成されるアンモニアとNOxを化学反応させ、無害な窒素に浄化させる仕組み。NOxや粒子状物質(PM)を来年から全面施行される世界で最も厳しい米国規制にも対応できるようにした。新エンジンは軽量化も進み、触媒の小型化で従来より小さな車に積むことができる。

 ディーゼルエンジンは二酸化炭素(CO2)の排出が少なく、地球温暖化の抑制効果が期待される半面、NOxなどが多いため日本で発売される乗用車からほぼ姿を消している。しかし、欧州では有害物質を低減させ、振動や音を大幅に抑えたディーゼル車が数多く出回っている。

 ホンダはこのほか、新開発した小型で高効率の燃料電池を積んだ新型燃料電池車を二〇〇八年に日本と米国でリース販売すると発表した。これまでの燃料電池は大型で車高の高い多目的レジャー車などにしか積めなかったが、小型化により普通の乗用車にも積める。

 一方、サトウキビなどの植物を原料にしたバイオエタノール燃料とガソリンの混合率を自動的に判断する新システムも開発。エタノールの混合率20?100%で対応できる。ホンダの小型乗用車に搭載し、今年中にエタノール車の普及したブラジルで販売を始める。



新型デイーゼル開発 ホンダ、NOx排出量削減

河成鎮作 2006/09/25

新型デイーゼル開発

ホンダ、NOx排出量削減

 ホンダは二十四日、窒素酸化物(NOx)の排出を大幅に抑えた新型ディーゼルエンジンと、走行距離を伸ばした燃料電池車を開発した、と発表した。新型ディーゼルエンジンを搭載した自動車を今後三年以内に米国で発売、燃料電池車も公用車向けなどで二〇〇八年中に日米で販売する。

 新型ディーゼルエンジンは、エンジン内でつくられるアンモニアと、窒素酸化物を新開発の触媒を使い、化学反応させ無害な窒素と水に変える。

 同社の従来ディーゼルエンジンに比べ窒素酸化物の排出を約五分の一に抑え、世界で最も厳しいとされる米国の排ガス規制レベルもクリアできるとしている。

 燃料電池車は「スタック」と呼ばれる、水素から電気を発生させる部品の小型化に成功。走行距離も〇五年に開発したモデルに比べて百四十キロ伸び、五百七十キロになっている。

 地球温暖化やガソリン価格の高騰から、軽油で走るディーゼルエンジン車は欧州で普及。ただ、日本では排ガスが多いとのイメージが強く、普通乗用車の販売は少ない。燃料電池も開発費が多くかかることから、価格が高い。



ホンダ、ベール脱いだ次世代ディーゼル?独自のNOx触媒開発

河成鎮作 2006/09/25

 ホンダの次世代ディーゼルエンジンがベールを脱いだ。ガソリンと同等の排出ガスレベルを目指す究極のディーゼルエンジン車を09年までに米国市場へ投入、国内向け車種への搭載も視野に入れる。欧州勢などが採用する尿素水SCR(選択還元型NOx触媒)にあえて背を向け、独自方式を採用した。かつて米マスキー法対応ではCVCCエンジンを開発し業界をアッと言わせた同社。「ディーゼルエンジンの進化でも、リーダーシップをとる」(福井威夫社長)構えだ。

 欧州規制の「ユーロ4」対応の量産車と、新開発した次世代エンジン車。排出ガス測定台に並んだ2台の「シビック」の窒素酸化物(NOx)排出量が、グラフで示される。エンジンが始動し速度が上がると、ユーロ4対応車のNOx排出量を示す折れ線グラフは激しく跳ね上がったが、次世代車のグラフは底辺に張り付いたままほとんど動かない。

 新エンジンは、世界でもっとも厳しい規制となる米国の「Tier2Bin5」(2010年施行)レベルを達成。日本のポスト新長期規制の基準も大幅に下回る。それを実現したのが独自のNOx触媒だ。NOxと唯一反応するアンモニアを尿素水から供給するのが従来の尿素水SCR方式だが、ホンダでは触媒層の中でアンモニアを生成する方式を実現した。

 同方式ではまず排出ガス中のNOxを触媒層に吸着。その後に燃焼状態の空燃比を瞬間的に濃くし酸素を無くした上で、排出ガス中の水素とNOxを反応させアンモニアを生成する仕組みだ。そのアンモニアがさらにNOxと反応し、無害な窒素に分解される。

 貴金属の使用量はガソリン車と同レベルで、低コスト化できるのが利点。加えて尿素水タンクや噴射装置などが必要な尿素SCRよりもシステムを大幅に小型化できる。

 排出ガス性能については完成の域に達した。ただ燃費については、現時点でベースとなるエンジンと比べて4%程度悪化している。「まだまだ改善の余地はある」(大野弘志主任研究員)と最終段階を迎えて開発のピッチは上がる。



ディーゼル車、ガソリン高など普及に追い風、イメージ改善が課題。

河成鎮作 2006/08/29

 ディーゼル車の存在感が高まっているのはガソリン高、環境規制、技術革新という三つの条件が整いつつあるからだ。日本で排ガスが多いとの従来のイメージを克服すれば、販売台数が伸びそうだ。

 原油高で日本のガソリン価格は一リットルあたり百四十円を超えた。ディーゼル車はガソリンより二十―三十円安い軽油が燃料。軽油の価格も上がっているが、一リットルあたりの走行距離はディーゼルの方が長い。

 欧州では二〇〇八年(日本車は〇九年)までに新車の二酸化炭素(CO2)排出量を一九九五年比で平均二五%減らす必要がある。各社はCO2排出量が二―三割少ないディーゼル車拡充が不可欠とみており、今後、規制が強化される日本でも同様の動きが広がる公算が大きい。

 技術面では粒子状物質(PM)を減らすDPF(排ガス浄化装置)や、燃焼効率を高めて有害物質を大幅に減らす燃料噴射装置「コモンレール」の開発が進んだ。走行性能ではガソリン車を上回る部分も出てきている。

 欧州ではディーゼル車がCO2排出量が少ない車種として、ハイブリッド車以上に定着している。技術革新で排ガス問題を克服しつつあるディーゼル車は、日本市場でもハイブリッドのライバルに育つ可能性がある。今後はハイブリッド車との間で、価格メリットや燃費性能などをめぐる競争が激しくなりそうだ。

【表】各自動車メーカーのディーゼル乗用車戦略  

トヨタ自動車  欧州でディーゼル車の販売比率を早期に5割に上げる

次世代型クリーンディーゼルを開発中  

ホンダ  欧州で今年中にディーゼル車比率3割超を達成

3年以内に次世代クリーンディーゼル車を日欧米で投入  

日産自動車  09年にも北米向け大型車でディーゼル導入

三菱自動車  三菱重工業とディーゼルエンジンを09年度中に開発

富士重工業  07年末にディーゼル乗用車を欧州で導入予定



ディーゼル車、欧州勢、日本で攻勢へ、ハイブリッドに対抗、ダイムラー、高級車投入。

河成鎮作 2006/08/29

 欧州自動車大手がディーゼル乗用車で日本市場に攻勢をかける。独ダイムラークライスラーは二十八日、メルセデス・ベンツにディーゼルエンジンを搭載して発売。独フォルクスワーゲン(VW)なども発売を検討する。日本では排ガス問題で「負のイメージ」が強いが、燃費が良く、排ガス浄化技術が進歩し、欧州では市場の約五割をディーゼル車が占める。日本でも需要が見込めるとみて、日本勢が注力するハイブリッド車に対抗する。

 ダイムラーの日本でのディーゼル車販売は二〇〇二年に撤退して以来となる。ダイムラー・クライスラー日本(東京・港)が発売したディーゼル車「E320CDI」はセダンとワゴンの二車種。搭載している排気量三〇〇〇ccのV型六気筒エンジンには最新の燃料噴射装置を採用、同型ガソリンエンジンより燃費効率を約三割高めた。

 ディーゼル車は窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の排出が問題となっている。ダイムラーは排ガス浄化の触媒やDPF(排ガス浄化装置)を標準装備し、国内の排ガス規制をクリア。騒音が大きいとの指摘もあったが、日本向けにエンジンなどに吸音材を設置し静粛性を高めた。

 価格はセダンが八百四十万円で、ワゴンが八百七十七万八千円。同クラスのガソリンエンジン車より七十万―九十万円割高になる。販売目標は公表していないが、ハンス・テンペル社長は「好調なら最上位車種へのディーゼル導入も検討する」という。

 VWは来年にも主力の「ゴルフ」などにディーゼルを搭載する計画。仏プジョーシトロエングループ(PSA)も「ダイムラーの状況などを見ながら、導入時期を決める」としている。ユーロ高が進み、日本では値上げを迫られるが、得意のディーゼル車投入で日本車との違いを打ち出す考え。

 日本メーカーでも、ホンダが三年以内にガソリン車並みのクリーン度をもつディーゼルエンジンを開発すると表明、日米欧での投入を計画し、ディーゼル車戦略を再構築している。

 ただ日本は低燃費車としては電気モーターを併用するハイブリッド車が普及。ハイブリッド車の車種拡充を急ぐトヨタ自動車は今秋発売の高級ブランド「レクサス」の最上級車「LS」でも来春、ハイブリッド仕様車を追加する。欧州メーカーのディーゼル車の実力は、まず高級車市場で試されることになる。



米、石油逼迫懸念が拡大――BP事故、送油インフラに弱さ、製油所の増産も限界。

河成鎮作 2006/08/09

英石油大手BPのアラスカ油田操業停止をきっかけに、世界の原油先物相場が急上昇した。BPの減産量は米消費量の約三%相当だが、石油製品の需給逼迫(ひっぱく)懸念を増幅し、相場を動かした。緊迫する中東情勢に加え、パイプラインや製油所など米国のエネルギー供給インフラの弱さが原油価格の高騰要因。米国でガソリン消費量は最高水準で推移しており、小規模な供給トラブルも相場を動かしかねない。(1面参照)

 ■過去4番目の水準

 BPは七日、アラスカ州ノーススロープの油田から原油を送るパイプラインが老朽化し油が漏れたため、十六マイル分を交換すると発表した。減産は日量四十万バレル。発表を受けて七日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物相場は急反発した。

 八月下旬からのハリケーン襲来シーズンを前に、米国では石油製品に対する需給逼迫懸念から相場先高観が強まっていただけに、BP事故が原油買いの引き金となった。

 ボドマン米エネルギー長官は八日、記者団に対し「BPからの連絡では完全復旧には数カ月かかる」と述べる一方、減産分は輸入などで補えるため影響は軽微との見方を示した。

 しかし需要面では、行楽期に入って米国内のガソリン消費量が急増し、七月末には日量九百六十三万バレルと過去四番目の高水準を記録している。一方の供給面は中東情勢に加え、パイプラインや製油所など米国内の供給インフラの弱さから常に懸念がつきまとう。

 昨年九月に大型ハリケーン「カトリーナ」が南部を直撃した際はメキシコ湾周辺の製油所と東海岸を結ぶ最大のパイプラインが寸断された。今回の事故でもノーススロープからの原油出荷は約半分が止まる。国内輸送の大半をパイプラインに頼る米国の供給体制のもろさが浮かび上がった。

 ■備えは不十分

 製油所の事故も後を絶たない。六月にはベネズエラ国営PDVSAの子会社シトゴー石油のルイジアナ州製油所で原油漏れが起きた。昨年のハリケーン直撃では二十カ所の大型製油所が損傷し、全米の精製容量の約三割が失われたが、専門的な人材の不足や資材高騰で復旧作業は遅れがち。米エネルギー情報局によると、製油所稼働率は五月末から九割を上回り、今後のハリケーン来襲で被害が出た場合、増産の余裕がないのが現状だ。

 BPによるアラスカのパイプライン漏出事故は三月に続いて今年二度目。トラブルが相次いでおり、米下院の民主党議員は七日、今回のBPの漏出事故の原因を究明する公聴会を開くよう求めた。「巨額の利益を上げながらパイプラインの維持を怠った」など厳しい意見も出ている。

 ■製油所新設後押し

 石油メジャーは投資の重点を利益が上がりやすい油田開発に置く傾向が強く、一―二年前までは利益が上がらなかった製油所の強化には二の足を踏んでいた。環境規制の強化などもあり、製油所の新増設はこの三十年間止まったままだ。

 石油製品供給のあい路を解決しようと、米下院は昨年十月、製油所の新設について当局による審査を簡素化する法案を可決したが、ハリケーン来襲など不測の事態に対応する体制づくりは大きく遅れている。



ベネズエラ石油子会社、米で給油所14%縮小、政治的決断との見方も。

河成鎮作 2006/07/13

ベネズエラ国営石油会社の米子会社シトゴ・ペトロリアムは十二日までに、米国内に展開する自社ブランドの約一万三千百カ所の給油所を二〇〇七年三月までに一四%縮小すると発表した。販売網の再編による経営効率化が狙いと説明している。反米を掲げるチャベス・ベネズエラ大統領による「政治的な決断」との見方も広がっている。

 今回、縮小の対象となるのはアイオワやカンザスなど計十四州にある約千八百カ所の給油所。同社は現在、ルイジアナ、テキサスなどに所有する三カ所の製油所から、日量七十五万バレルのガソリンを供給しているが、不足する同十三万バレル分を市場で購入しているのが現状だ。

 ロドリゲス会長兼最高経営責任者(CEO)は「現在のガソリン販売量は自社の生産能力を超過しており、顧客に提供するサービスの質の低下を招きかねない」と理由を説明した。対象となる給油所は、ガソリン調達先、看板などブランドを他の石油会社に切り替えるとみられ、利用者には大きな影響はない見通し。

 ベネズエラの原油輸出量は世界第五位で、約半分は米国向け。チャベス大統領は反米姿勢を強めており、今回の縮小計画も「ベネズエラ国民より米国民を優先する契約はすべて破棄する」との大統領の意向が強く反映されたという見方が強い。



ブラジル、中南米の油田開発連携強化 ベネズエラと合弁設立

河成鎮作 2005/10/01

 ブラジルとベネズエラが、中南米地域の油田開発で連携を強化している。両国で油田を共同開発する合弁会社を設立し、米国からの経済的自立を目指す。

 ブルームバーグによると、ブラジル国営石油会社、ブラジル石油公社(ペトロブラス)とベネズエラの国営ベネズエラ石油(PDVSA)は9月29日、原油と天然ガス、石油精製事業を進めることで合意した。

 折半出資で25億ドル(約2825億円)をかけ、ブラジル北東部ペルナンブコ州に製油所を建設するのをはじめ、ベネズエラ沖の海底ガス田開発に22億ドル(約2486億円)を投資。ブラジル側が得意とする探鉱技術、ベネズエラ側が開発技術を供与し相乗効果を狙う。

 ブラジルとベネズエラはそれぞれ、米国からの政治的干渉を減らすため、経済の自立政策を進めており、今回の国営石油会社の合弁事業もこの一環だ。

 ベネズエラのチャベス大統領は2003年に中南米諸国の国営石油会社を統括するペトロアメリカの創設を提唱。今年に入り、PDVSA傘下の米製油・石油製品販売会社、シトゴ・ペトロリアムの売却を検討していた。



[海外潮流]米で重要性増すベネズエラからの石油供給

河成鎮作 2005/09/08

◇日本エネルギー経済研究所・杉野綾子

 米国メキシコ湾を襲ったハリケーン「カトリーナ」により、米国石油産業に深刻な被害が出ている。全米の原油生産能力の25%、天然ガス生産能力の15%が失われ、製油所は9カ所(全米の精製能力の11%)が停止、さらに石油の最大の需要地である北東部へ石油製品を輸送するパイプラインが操業停止におちいった。

 すでに部分的に操業が再開され、国際エネルギー機関(IEA)による加盟26カ国の備蓄放出決定もあり、深刻な燃料不足は改善に向かっているが、完全な復旧には数週間を要すると見られ、冬場の需要期を前に需給ひっ迫が懸念される。

 ハリケーン被害に加えて供給の面で懸念されるのが、米国の原油・石油製品輸入の15%を供給するベネズエラとの関係悪化である。チャベス現大統領は石油産業から外資を閉め出す政策をとっており、外国石油企業に対する税率の一方的変更と追徴課税が相次いでいる。02年末には大統領の辞任を求めるゼネストが発生、原油生産・精製が2カ月にわたって停止し、米国の石油供給及び国際石油価格に対し深刻な影響を及ぼした。最近では輸出先多角化を図って南米・カリブ諸国との貿易同盟を構想したり、中国との間で中国企業への権益付与と石油供給契約から成る協力協定を締結するなど、米政府・議会を刺激する結果となっている。

 チャベス大統領の側には対米関係改善に向けた努力も見られる。「カトリーナ」救援活動のため、兵士2千人と消防士やボランティアの派遣、国営石油会社PDVSAの在米子会社シトゴを通じた100万ドルの義援金及びシトゴの石油製品生産量66万バレル/日の10%を低所得層や病院、学校などに供給すると申し出た。

 しかし折悪しく米国の宗教指導者によるチャベス大統領暗殺計画が露呈し、新たな紛争の火種となっている。冒頭のハリケーンの影響で米国にとってベネズエラからの石油供給の重要性は例年以上に高まることが予想され、両国関係の今後の展開には注視を要する。



上昇軌道に乗る 米国・ライオンデル(中)オランダとPO計画復活

河成鎮作 2000/11/13

 米ライオンデル・ケミカルでは、TDI事業(年産能力二十三万四千トン)の売却を検討中だ。ポリオール事業を売却した以上、イソシアネートも以前にようには戦略的ではなくなっているからだ。

 九九年に同社は、ADI事業を同業社のクレアノバに売却しようとした。しかし趣意書に署名した直後に、これを取り消している。当時、同社はADI事業を、はるかに規模の大きなTDI事業とは切り離して売却する計画だった。理由は、ADIはポリウレタンコーティング用の製品としては、もはやTDIにフィットしなくなったからで、TDIの主な市場は他の製品だからだ。ポリオール事業の売却によってADI、TDIは、ともにポートフォリオからはみ出してしまったのである。「この間にTDIは、全くADIと同じになってしまい、ADIをそれだけで販売するわけにはいかなくなった。両製品は同じようなポジションにあるので、TDIを売却すれば、ADIも恐らくそれにならうことになるだろう」としている。

 さらにライオンデルの問題点としては、ライオンデル・シトゴ・リファイニングにおける五八・七五%の持ち分がある。ベネズエラ国有石油会社であり、シトゴのオーナー企業であるペトロレオス・デ・ベネズエラ(PDVSA)は、二十五年契約で同JVに対して同国産の重質原油を精製用に供給することになっており、シトゴは自社のガソリンスタンドで販売する。

 ライオンデルは現在、PDVSAとの間で、このJVの将来について再交渉中だとしている。交渉内容は、供給契約を含めたパートナーシップの改定から、JVをPDVSA側が買い取ることまでと広範囲だ。「この事業がライオンデルにとって戦略的に極めて重要とはいえないことは分かってもらえると思う。しかし当社にとって非常に価値はあるので、この価値を現時点でどう評価するかが問題だ」としている。

 現在、ライオンデル・ケミカルは課題の一部を解決し、酸化プロピレンに力を注いでいるところだ。最近、オランダのロッテルダムに酸化プロピレン/スチレンプラントを建設する計画を復活させた。このプラントは社内では「PO11」と呼ばれている。

 当初PO11は、アーコのプロジェクトとして二〇〇〇年の完成予定だった。ところがライオンデルはアーコ買収後、直ちにこれをキャンセルした。理由はスチレンの供給過剰、アジアの経済危機、それに自社のバランスシートへの懸念だ。同社はこのほかに、PO11に近接して建設するブタンジオールのプラント計画も遅らせた。

 去る六月、PO11を二〇〇三年初めに完成させることで、ABBルーマスとの間でエンジニアリング・調達・建設契約に署名した。年産能力は、酸化プロピレンが二十八万三千トン、スチレンが六十三万五千トン。この設備を共有することでバイエルとJVを設立する意向で、両社は両製品の生産を均等にシェアする計画だ。

 このプロジェクトの詳細、とくに立地については両社間の意見は一致していない。バイエルは、ベルギーのアントワープを希望している。そこに総合化学コンプレックスを持っているからだ。一方、ライオンデルは、アーコが多額の資金をすでに支出しロッテルダムにプラントを建設中で、今さらプラントを移設すると費用も時間もかかるというのがライオンデルの意見だ。バイエルがロッテルダムに参画する場合は、ライオンデルの投資額に見合う同額の資金を提供する必要があり、具体的にはライオンデルが進めているプロジェクトに基本的に資金を出して持ち分を買うことになるだろう。

 ライオンデルによると、PO11は世界で最もコストの低い酸化プロピレン/スチレンプラントだとしている。自社のテキサス州チャンネルビューの年産二十二万七千トンプラントはもとより、シェル・ケミカルズとBASFとのJVであるバーセルの同二十四万九千トンプラント(九九年にオランダで始動)のコストも下回るとしている。「バーセルのプラントは、当社が十年以上前に建設したものよりもコストが一〇%は高い。わが社は新規プラントで、資本コストベースでBASFやシェルに比べて二〇%は優位になろう」とスミス社長は述べている。

 酸化プロピレン事業は、ライオンデルを将来的に成長させる推進力である。成長率は魅力的であって、しかも大手企業はダウ、バーセル、ライオンデルの三社だけと、業界の集約化がかなり進んでいるという。

 ライオンデルとバイエルとの新たな提携で、事業規模は拡大する可能性がある。バイエルはポリオール事業を急拡大したいので、今後プラントで同社と協力していく意向だ。

 ライオンデルはポリオールについて、ウレタン以外の用途を積極的に開発しており、プロピレングリコールをベースとした不凍液、解凍剤展開を推進している。酸化エチレンを原料とする製品よりも環境に優しいとみられているからだ。さらにオランダ・ロッテルダム近郊のボトレクに、年産十二万五千トンの酸化プロピレンを原料とするブタンジオールのプラントを建設する計画を発表している。完成は二〇〇一年の予定で、原料はいずれPO11から供給する。

 ブタンジオールメーカー、とりわけブタンを原料とする製法を採用しているメーカーと同様に、ライオンデルはコストが最も低い製法を採用しているとしている。ブタンジオールメーカーのなかには、アセチレンを原料とするレッペ法が、一貫生産体制をとっていれば低コストだとしている企業もある。スミス社長は「現在の最新技術としてはn?ブタン法だ。これを試行している企業もあるし、うまくいっていないところもあり、まだ設備を建設していないところもある。n?ブタン法が効率的だというには時期尚早だと思う」と述べている。

 これとは対照的に「チャンネルビューの酸化プロピレンからブタンジオールを製造するラインは、これまで長年にわたって操業してきている。わが社はこの技術を熟知しているし、その運転方法も承知している。過去九年の操業でノウハウも持っているので、これをより大規模な設備で採用している。この結果、当社の資本コストと運転コストは低下している」という。



超メジャー誕生加速する石油再編(上)競争相手は産油国――生き残りへ規模で対抗。

河成鎮作 1998/12/03

 史上最大のM&A(企業の合併・買収)によって巨大石油会社エクソン・モービルが来年半ばにも誕生する。メジャー(国際石油資本)同士が合併する超メジャーの出現の背景には、サウジアラムコなど産油国の国営石油会社も巻き込んだ世界的な大競争時代の到来がある。しかも、原油が一バーレル一〇ドル前後まで下がった経営環境下での厳しいかじ取りが控える。メジャー再編の大波は日本の石油産業にも押し寄せ、生き残りをかけた合従連衡の動きが加速しそうだ。

 「企業は大きければいいという考えは好きではなかった。しかし、今回の買収は経営資源の観点から明らかにメリットがある」。一日、ニューヨークで記者会見したエクソンのレイモンド会長は、"心変わり"の理由をこう説明した。

 エクソンのモービル買収という情報が駆け巡った先週、驚きを隠さない関係者は多かった。九七年決算でエクソンの売上高は千三百七十二億ドル。メジャー一位の英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルに三百四十四億ドル及ばないが、純利益は八十四億六千万ドルでシェル(七十七億五千三百万ドル)を上回る。「これ以上大きくなる理由はない」との声も聞かれた。

 だが、"巨人"にも悩みはあった。原油・天然ガスの可採埋蔵量が伸び悩んでいた点だ。新たに開発・取得した油田・ガス田の可採埋蔵量を操業中の油田・ガス田の生産量で割った値は五年間平均で一〇二%。掘り出したのと同程度の埋蔵量しか追加できていない。

 一方、モービルは豪州の石油会社買収などで埋蔵量を着実に増やし、九六、九七年に追加した埋蔵量は生産量の一三〇%以上。エクソンはモービル買収で埋蔵量を一気に増やすうえ、巨大資本を元にコストの高い油田開発にも乗り出せる。

 クリーンエネルギーとして注目される液化天然ガス(LNG)の技術で、モービルが優れていることもエクソンにとって利点だ。一方、モービルもインドネシアでのLNGプロジェクトの寿命が近付いていただけに、エクソンと組むことで新規案件に乗り出せる。

 「サウジ要因」も見え隠れする。モービルは、鉱区の対外開放を示唆している世界最大の産油国サウジアラビアで輸出用の製油所合弁を手掛けるなど、米メジャーの中で最も同国と関係が緊密とされる。エクソンがモービルの人脈に期待するところは大きい。

 両社が巨大化の道を選択したことは競争条件の変化を物語る。モービルのノト会長は会見で「私企業より埋蔵量がはるかに多い国営石油会社まで下流(精製・製品販売)部門に進出してきた」と強調した。

 サウジの国営石油会社サウジアラムコは今年、シェル、米テキサコと米国東部の下流部門を統合し、競争力強化に着手。ベネズエラの国営PDVSAの傘下にある米シトゴは昨年、米国でのガソリン販売シェアを四位まで引き上げた。また、産油国の国営石油会社は国境を超えて油田・ガス田の開発・生産など上流への進出も急いでいる。

 国家をバックにした勢力と競うにはどうするか。

 エクソンとモービルの買収交渉の発端は、日本市場での事業統合計画だったとの説もあるが、世界全体の新たな競争の構図を視野に、一気に本体同士の統合へと突き進んだといえる。

 「あらしの中のスーパータンカー」と経営判断の遅さを皮肉られるシェルも今回だけは違った。テキサコと進めていた欧州での下流部門統合計画を急きょ取りやめた。「買収のニュースを聞き、統合では不十分と見た両社が新たな合併先を探し始めた」というのが市場の大方の見方だ。メジャー再編の第二幕も近い。



新日鉄、ベネズエラから石油コークスを初輸入

河成鎮作 1996/07/08

新日本製鉄はこのほど初めてベネズエラから石油コークス(ペトコ)を輸入した。サプライヤーはティッセン・シトゴ社で、数量は五万七千トン、大分製鉄所のPCI用として契約したが、このほかにもう一隻分(約五万七千トン)契約している。同社はペトコを年間百万トン近く購入しているが、米国産のペトコが高騰しているため、他ソースからの輸入を検討していたもので、ベネズエラから日本への輸入は初めて。扱い商社は日鉄商事。

石油コークスは石油の精製工程の最後の残った成分で、石炭の代替として使用されている。灰分は石炭が一0%前後であるのに対して三%どころと低いことからPCI(高炉の微粉炭吹き込み)用石炭の代替として使用されており、年間四百万トンていど輸入されている。

そのほとんどは米国から輸入されているが、価格が乱高下するのが特徴で、石炭価格との比較で数量も増減している。新日鉄ではPCI吹き込み量を平均百五十キロどころまで引き上げる計画を実施中で、石油コークスの購入量も百万トンどころまで増加している。

ところがここ1年前ぐらいから米国産ペトコの価格が高騰しており、新日鉄では米国以外の第二のソースを物色していたもので、このほどベネズエラから初めて輸入したもの。

サプライヤーはティッセン・シトゴ社で、数量は二隻分で合計十一万トン、まず5月に大分に一隻入着したが、もう一隻は時期、入港先は未定。

契約したベネズエラ産ペトコの詳細は明らかにされていないが、高サルファー(四?五%)低アッシュ(三%)で十分競争力があるため契約したもの。



米国化学工業 ビジネスチャンス広がる(下)、メキシコの回復を期待

河成鎮作 1995/10/17

 ラテンアメリカの経済は全体として改善しているので、これが米国の化学メーカーに対して新たな利益のあがるビジネスチャンスを提供している。プローブ・エコノミックスのピーターソン社長は「チリ経済はうまくいっているし、アルゼンチンもポテンシャルは大きい。現在のところチリは中南米でもっとも経済が力強いし、アルゼンチンも回復しつつあるようだ」と語っている。

 加えて、ペルーは世界でもっとも成長している国の一つである。九四年の経済成長率は一二・九%と世界最高であった。九五年の目標は八%である。鉱業と漁業を主体とする同国の将来見通しを勘案して、アサルコは、この春にサザン・ペルー・コッパーの出資比率を五三%から六三%へ引き上げている。アサルコのスペシャリティ・ケミカル事業のエンソーネ・OMIについて、同社スポークスマンは「現時点ではペルーへの化学での投資は計画していない」と述べている。

 ベネズエラも大きく伸びている。同国は現時点で米国の石油企業を、投資をしてくれる企業として主たるターゲットにしている。最近、国有石油独占企業であるペトロレス・デ・ベネズエラS・A(PDVSA)は投資誘致の一連の″ロードショウ″を米国で行った。モービルは以前ベネズエラと提携関係があり、大規模な化学部門を持っているが、同社は石油の探鉱と生産で主要な役割を果たすものと期待されている。

 PDVSAは、このほか米国で石化会社ないし石化設備の買収を検討中であると同社は述べている。現在、PDVSAとライオンデル・ペトロケミカルの両社は一一対八九でライオンデル・シトゴ・リファイニング(LCR)をヒューストンで経営している。九六年後半にコーカーと蒸留設備増設という次期の大型アップグレード工事が完了して始動すると、PDVSAはLCRに対する出資比率を約四〇%に引き上げ、オプションは五〇%とすることになっている。LCRは燃料製造とは別に、芳香族と潤滑油(日産六千バレル)を生産している。年間ベースでは同社はベンゼン(五千万ガロン)、トルエン(三千七百万ガロン)、パラキシレン(四億ポンド)、オルソキシレン(二億七千万ポンド)生産している。

 チリ、アルゼンチン、ペルーそれにベネズエラは前向きに見直されているが、メキシコも注目を集めつつある。しかし、短期見通しは暗い。メキシコ経済は下降しており、今年はマイナス四%の見込みである。昨年のペソ切り下げ以降、米国の対メキシコ化学工業投資は以前の力強さを回復していない。しかしながら、数年後には持ち直す見込みだとCMAのレンツ理事は述べている。

 長期見通しについては他のアナリストも同意見であり、メキシコは過去の誤りを繰り返すことは避けるよう努力していると強調している。エコノミック・インサイトのディクソン社長は「十二月二十日のペソ切り下げによって発生したメキシコでのメルトダウンによって米国の対メキシコ輸出は減少し、多くの投資が遅延しているが、対メキシコ投資の長期的魅力が失われたわけではない。メキシコの化学工業は小規模過ぎて内需を賄ない切れず、したがって輸入に依存するよりも、これらのニーズを充足するため外国の直接投資を誘致している。というのは輸入は経常収支の赤字を増やすことになり、事実メキシコで生じたのは著しい赤字の増大であった」と語っている。

 しかしながら、少なくとも米国のある大手化学企業はペソ切り下げの影響は受けなかった。デュポンのハイン国際貿易投資担当取締役は「ペソ危機が当社のメキシコでの事業にほとんど影響を及ぼさなかったことに驚いた。事実、当社でもっとも成長している市場の一部はラテンアメリカである」と語っている。

 CMAによると、メキシコは米国の化学品輸出市場として第三位である。九四年実績で四十三億ドルで、米国の化学品輸出の八・四%を占めている。八三年から八四年の期間についてみると、輸出は年率一三・七%で伸びた。ちなみに米国の全世界向け輸出の伸び率は九%であった。

 国有ペトロレオス・メキシカノスSA(PEMEX)はさらなる急成長を図るため、六十一に及ぶ石化二次加工企業をスピンオフし、民営化しようとしている。バンカーズ・トラストのケミカルアナリストのレヴィ氏によると、このPEMEXの動きは「メキシコの石油化学セクターの強化を図ることになり、国内生産を増大、米国からの輸入を減らし、究極的には世界の他の地域への輸出を増やすことになる」としている。

 メキシコへの投資を希望する米国企業について、ケンパー証券のケミカルアナリストであるガーデマン氏は、いくつかの戦略の概要を示して、「NAFTA加盟諸国の可処分所得増大がプラスになる製品メーカーへの製品提供を準備すべきだ」としている。

 これとは対照的に、S・G・ウォーバーグのケミカルアナリストであるラーマン氏は「米国で生産し輸出することを重視すべきであって、外国で生産すべきではない」と語っている。その中間の考え方をするのが、ジェミニ・コンサルティングのコンサルタントであるケレット氏で、同氏は「基本戦略は同じだろう。化学企業が成功するには市場重視とコスト競争力が必要だろう」と語っている。

 一方、米国化学業界はその企業努力の多くを東に振り向けているところだ。A・T・キアニーのエクスタット副社長は「米国の化学業界は現在、本当のところ西半球への新規投資はそれほど重視していない。むしろ、新規投資のほとんどはアジア太平洋地域で実施している」と語っている。

 

米国の大気浄化法、水素増設に拍車(オーバーシーズレポート)

河成鎮作 1995/08/10

 米国では大気浄化法による石油製品の水添脱硫によってとくに精製業界では水素不足となっているが、これが工業用ガスの生産と物流の設備拡張の推進力となっている。

 最新の動きとしては、エア・プロダクツ&ケミカルズは同社のパサデナ・コンプレックスで、この種では最大規模かどうか議論されている日産8000万ノルマル立方フィートの水素プラントの着工式を行った。所要資金は4000万ドル。

 このメタン・スチーム改質プラントの設計、エンジニアリング、そして建設はドイツのアンネスマンの関係会社であるエア・プロダクツ、キネティックス・テクノロジー・インターナショナル(KTI)の両社が担当し、完成は96年秋を予定している。

 生産量のおよそ半分の日量4000万ノルマル立方フィートはパイプラインによって近接しているライオンデル・シトゴ・リファイニング(LCR)の製油所に供給されることになっており、残りの4000万ノルマル立方フィートは、水素パイプラインによってヒューストン運河沿岸に立地している化学の精製企業に供給されることが決まっている。

 ライオンデル・シトゴは昨年9月に9億5700万ドルの資金を投じて製油所のアップグレードを行う着工式を行っている。これはペトロレオス・デ・ベネズエラSA(PDVSA)の子会社のラゴヴェンから25年契約によって日量20万バレルのベネズエラ産石油を処理するもの。

 このLCRプロジェクトは高硫黄原油を分解するだけでなく、大気浄化法で義務づけられているリフォーミュレートガソリンと低硫黄ディーゼル燃料を生産するのに水素が必要である。完成は97年初めの予定。

 昨年10月、LCRはエアー・プロダクツに対して15年契約で、日量4000万ノルマル立方フィートの水素をこの大型プロジェクトに供給することにしている。この製油所はこのほかプラクスエア・システムを経由してチャンネルビューの石油化学事業からも水素の供給を受けることにしている。

 コンサルタント企業であるケム・システムズによる先の調査によると、今年までに米国の大気浄化法によって、この目的のための追加的水素生産量は日量4億から6億ノルマル立方フィートになると推定していた。

 例えば、新たに合成ガスを原料とする水素が硫黄と芳香族スペックに対応するためにディーゼル燃料の水素処理に必要となるわけである。そればかりではない。合成ガス水素需要はリフォーメート(改質ガソリン)の生産カットバックによっても加速される見込みである。

 エア・プロダクツの新プロジェクトは水素専用パイプラインの増設と連動することになっているが、スチーム改質技術、関連エンジニアリング、および建設を行うKTIとの共同事業となっている。

 このKTIは精製業界向けの水素設備の最高のサプライヤーとして評価されており、すでに全世界で165基を建設ずみである。エアー・プロダクツは水素圧力スウィング吸着(PSA)浄化・制御システムとプロジェクト全体の管理を行うことにしている。

 副産品のスチームは1時間当たり20万ポンド程度生じるが、このスチームは同社の化学コンプレックスに供給され、既存の効率の悪いボイラーへの需要は減ることになる。(CMR 7月17日)







ベネズエラ特集――産業の生命線石油、供給安定へ着々と態勢。

河成鎮作 1990/04/河成鎮作 19



 石油産業はベネズエラ経済の生命線だ。全輸出額の約八一%(八八年)、一年間の経常収入の約四八%(同)を石油から得ている。ベネズエラの国民一人あたりの国民総生産(GNP)額は三千百七十ドル(八八年)。中南米諸国中一位を誇る。八〇年代に入って、石油の国際市場価格の低迷とともにその額も減り続けているが、それでもなお一位の座にいるのは同国の潜在成長力の高さを示している。

 石油産業はベネズエラ石油公社(PDVSA)が一元的に取り仕切っている。米石油専門誌PIW(八九年十二月)によれば、PDVSAは世界上位二十社のうちエクソン社に次ぐ四位。八三年以降、欧米市場向けの供給を安定させるため、海外各地で石油精製、流通システムづくりに乗り出している。

 その象徴的な動きが米国大手石油販売会社シトゴ石油(本社オクラホマ州)の買収だ。八六年には六億七千五百万ドルで同社の株式五〇%を取得、すでに取得ずみの五〇%(四億ドル相当)と合わせて一〇〇%の株式所有を果たした。PDVSA側は「あくまでも防衛手段」(ノルベルト・スポーン国際広報顧問)と説明しているが、同公社は今や国内外で日量二百七十万バーレルの精製能力を持ち、年間純利益は十億ドルもの規模。同業他社からみれば、その行動は必ずしも防衛行為だけとは映らない。こうした「金の卵」を産む公社を持つベネズエラに対して、債権銀行団からは「ベネズエラは本当に債務国なのか」といった声も上がるほどだ。

 PDVSAは事業の拡大に伴い新たな悩みも抱えるようになった。二百人程度ですべてを切り盛りする当初計画が、今や四万七千人近い従業員を抱え、第二の役所とも呼べる組織に肥大化してしまったからだ。

 政府は川下部門に外資参入を促すなど、同公社の経営効率化を図る一方、国内産業を石油依存の体質から脱却させることに重点を置き始めている。アルミ、鉄鋼、鉱工業の輸出力強化は産業の多角化の一環だ。ただ、こうした政策も「石油価格が再び上昇したらそれまで」と、冷ややかにみる向きもある。国民はもうかる石油産業を削ってまで多角化に励む道を選択するわけがないというわけだが、政府はいかにしてこうした国民意識を変えていくか、手腕の問われるところだ。



シトゴ・ペトロリアム社、原油買い取り価格を50セント引き下げ

河成鎮作 1990/04/18

ベネズエラ・ペトロレオス社の子会社であるシトゴ・ペトロリアム社は16日、原油買い取り価格を一バーレル当たり50セント引き下げ、即日実施すると発表した。他社に追随したもので、主な油種の新価格は次の通り(単位1バーレル当たりドル)。

 ▽ウエストテキサス・インタミデイエート=16.50▽ウエストテキサス・サワー=14.50▽ライト・ルイジアナ・スイート=16.75



ベネズエラPdVSA社、米国の石油企業を買収

河成鎮作 1989/12/07

 ベネズエラ国営石油会社PdVSAは先にユニオン・オイル社に50%出資を果たしたのに続き、米シトゴ・ベトロレアム社(オクラホマ州タルサ)の50%を取得した。

 シトゴはサウスランド社に属し、7700店舗からなるサービス・ステーション(SS)網を展開、米ガソリン市場で4%(全米第9位)、航空燃料で6%、潤滑油で5%のシェアを持つ。88年の売り上げは41億1000万ドル、利益は1億6600万ドルだった。買収金額は6億7500万ドルといわれる。(VWD)


OPECのマイカー族搾取、石油大手、防波堤に(国際石油情報)

河成鎮作 1986/09/03

 「消費者だけでなく、メジャー(国際石油資本)をはじめとする米国の大手石油会社も原油価格急落の恩恵にあずかった」と、米デンバー大学の石油政策専門家ダグラス・ギル氏は分析する。

 「大手石油会社の営業報告書の奥の奥まで見通すと、大手企業間の取引から生じたキャッシュフローは、現在の原油供給過剰のなかでも健全な経営を維持していることを示している。さらに財務面で強い大手石油系のガソリン量販店が小売市場で競争力を維持する限り、一九九〇年代でもガソリン価格の暴騰から消費者を保護するだけの力があることを暗示している」という。

 一般大衆が神話のように信じ込んでいるものの実態を次々と暴露することで有名になった同氏は産油国、石油生産会社、石油の消費国と消費者について最近鋭いメスを入れ始めている。

 同氏によれば一般大衆は大手石油会社の役割に対する認識が不十分で、石油情勢全般の理解も適切さを欠く。大手石油会社は原油生産国と消費者の間をつなぐ役割を担い、世界の石油ビジネスの中心なのだ。

 原油価格の大幅下落はOPEC(石油輸出国機構)と独立系石油生産者に石油収入の減収と収益の悪化という打撃を与えた。しかし大手は、ガソリンやディーゼル油など石油製品の販売中心に置き、原油は単なる原材料と見なしている。もしメジャーが原油を安値で仕入れれば、その差益は一般のマイカー族に還元する。従って、大手石油会社と消費者の利害は一致する。

 大手石油会社と消費者が利害関係を共にすることで、多くのアナリストが予測したのとは反対に、OPECの「マイカー族搾取」を防ぐことができる。つまり大手石油会社は原油開発を世界中で展開し、北米の原油埋蔵量だけでなく中東、欧州の油田にも権益を持つので、OPECが一方的に原油価格を引き上げようとしても、比較的安く原油を調達できる。米国内外の油田取得と掘削活動展開の二面作戦で、大量の原油確保を可能にした結果、製油所への原油卸価格を低くでき、末端の石油製品価格も抑えられるわけ。

 大手ディスカウント業者のサウスランドは、将来の原油価格を安くするため、これまで保有していたシトゴ石油会社の精製、販売活動の権利を、ベネズエラ政府に「同国産原油を今後も安く供給する」との条件で売却した。

 「だれ一人としてメジャーをはじめとする大手が消費者の最善の友であることを認めようとしない」と同氏はなげく。しかし大手石油会社がOPECに対して最強の防波堤となっているのは「厳然たる事実なのだ」


米BN、石油・ガスを新会社メリディアン・オイルに統合(国際石油情報)

河成鎮作 1985/03/20

 英国シェルは下流部門の競争激化と収益性の悪化から、次の二年間にスタンロー精製・化学工場で千人の人員整理を行う計画を明らかにした。

 この工場は同社最大の規模を持ち、三千三百人を雇用している。「英国の石油製品需要は、過去十年間に三五%も落ち込み、回復の見込みはほとんどない」と、同工場のマネジャーはいう。「シェルUKの精製部門と石油化学部門は、現在、全くペイしていない」。

 欧州の石油化学産業はサウジアラビアの欧州市場への参入にあわてふためくには及ばない――。これは、昨年民営化された英BP(ブリティッシュ・ペトロリアム)のピーター・ウォルターズ会長が英国化学産業協会で行った発言で、石油化学メーカーは、それぞれ特定の強みを持った少数製品にあらゆる努力を集中することにより、中東製品の流入に対抗することができるだろうという。

 「しかしEC内の垣根は、西欧企業が国際的ライバルとの競争に重点を置けるよう撤廃されねばならない」と、同会長は強調したうえで、生産能力の縮小をなお一段と強化する必要性を訴えた。

 国際エネルギー機関(IEA)に参加している大半の米国石油会社は、「政府の役割は、将来の石油不足に備える負担が公平に分担されるよう決定することにある」と考えていることが、米国会計検査院(GAO)の調査結果で明らかになった。

 この調査は「公平分担」計画の推進者であるイリノイ州選出のマイク・サイナー議員(環境・エネルギー小委員会議長)の要請によって行われたもの。

 GAOの調査結果によれば、IEAに参加している米国石油企業十七社のうち十五社がこの調査に回答しており、そのうちの十二社が、IEAに対する米国の役割を果たすために、少なくとも特定の状況下では、石油を確保する負担を米国政府が背負うべきだ、と考えている。

 また十二社のうち四社は公平な分担プログラムに賛成し、四社は国内石油割り当てに賛成している。残りの四社は戦略石油備蓄(SPR)への参加保証を求めていた。

 また十五社のうちメジャー(国際石油資本)を含む八社が、ある形態の政府・公平分担プログラムに賛成し、残りの七社は、この種のプログラムが適切でないとすれば、米国の国際的石油分担義務を果たすための石油供給を買って出る必要はないとしている。

 米国シェルはWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)の買い取り価格を六十五セント引き下げて一バーレル当たり二十七・三五ドルとする、と発表した。一方、同社はその他の異なった等級の原油公示価格を、一バーレル当たり二十五セントから五十セントほど値上げした。

 シェルによると、南ルイジアナのスイートおよびサワー原油をそれぞれ五十セント引き上げて、二十八・三五ドルおよび二十七・三五ドルに、また南ルイジアナの重質スイート原油も公示価格を一バーレル当り二十八・六五ドルに引き上げた。

 米アラパホ・ペトロリアム(本社コロラド州)はバーレンに本拠を置くイントオイル社の全額出資子会社であるイントオイルINCに株式の五四%を売却する契約を結んだ。この契約により、アラパホの全授権資本に相当する普通株四百万株をイントオイルINCが買い取ることになる。この四百万株が、アラパホの全発行株式の五四%に相当する。

 ●ベネズエラ原油 ベネズエラ政府の石油生産・輸出統計を検証するために、中立的な監査員チームが同国に到着した。この訪問はOPECの決定に従っているかを確認すると同時に世界の需要変動に即応できるよう、メンバー国の産出量、輸出および価格水準を点検するという昨年十二月のOPECの合意に従ったもの。オランダの監査会社KMGクリンベルド・クライエンホフから派遣されたチームは、石油省、国営石油会社のメンバーと技術的な打ち合わせに入り、船積みターミナルと製油所を訪れた。

 米バーリントン・ノザーン社(BN)は石油とガスの探査生産事業を、新しい全額出資子会社メリディアン・オイルに統合した。

 新会社の社長は、かつてスーペリア・オイルの社長で一九八四年にバーリントン・ノザーンに参加したジョセフ・E・レイド氏。メリディアン・オイルは、約九千の生産井に権利を持ち、一九八四年の売上高は四億ドル、利益は一億八千万ドル。さらにこの新会社は、二兆五千億立方フィートのガスと、四千五百万バーレルの石油の埋蔵量を持っている。また一九八五年の投資予定は三億二千万ドル(前年比四五%の伸び)となっている。

 米テキサコは原油処理能力を削減するため、テキサス州アマリロの日産二万一千バーレルの製油所を閉鎖する模様。業界筋が明らかにしたもので、テキサコのスポークスマンは一切のコメントを避けたが、同社は昨年十一月に、ある種の資産と埋蔵量の簿価引き下げを反映するため、一九八四年度の決算で七億八千五百万ドルの特別償却を行う計画を発表している。その際、同社は、この金額がイリノイ州エルパソのローレンスビル、テキサス州のアマリロおよびテキサス州ポート・アーサーの三製油所を含む米国精製活動の問題に対応するためのものと述べていた。

 米サウスランドの子会社シトゴ・ペトロリアムはこのほど、原油の引き取り公示価格を一バーレル当たり三十五セント引き上げて、米国産代表油種のWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)を二十六・一五ドルから二十六・五〇ドルにした。「この価格改定は、製品価格が一段と改善されたことを確認して行われたものである」と、シトゴの社長ロン・E・ホール氏は語っている。「精製業者のマージンは十分というにはほど遠いが、改善された市場の恩恵の一部をわれわれ原油サプライヤーに分けるのが重要だと、シトゴは考えるものである」。

 WTIの今回の値上げは、二月二十八日の二十五セントの値上げに続くもの。

 米フィリップス・ペトロリアムとシェブロンの子会社シェブロンUSAは、カリフォルニア沖合のP・〇四〇八リース海域にあるサンタマリア海盆・探査井テストで、日量三千八百八十バーレルの原油が湧(ゆう)出した、と発表した。API(米国石油協会)比重は、一二前後。この油井は、一九八三年一月にシティーズ・サービスおよびその他が原油を発見したP・〇四〇九リース海域の半マイル東に位置し、約五千三百フィートから六千八十フィートの深さまでの五間隔で原油とガスがテストされた。

 両社は一九八一年五月にこのリース権を取得し、それぞれ五〇%の権利を持ち、フィリップスがオペレーターとなっている。両社はまた、埋蔵量を確定するために追加の掘削を計画しているが、このP・〇四〇八に隣接したその他のリース区域も所有している。



米の戦略原油備蓄増加(国際石油情報)

河成鎮作 1984/07/11

 DFSC(米国防衛燃料供給センター)は、戦略備蓄用原油として英BP(ブリティッシュ・ペトロリアム)の子会社と二件の原油スポット(当用買い)契約をした。いずれも北海ニニアン油田渡しでバーレル(百五十九リットル)当たり二七・七ドル、数量は五十万バーレル。七月中に出荷する。

 米国の戦略用原油備蓄量は六月二十二日現在で四億八百七十万バーレルと、前週より三十万バーレル増加した。

 OPEC(石油輸出国機構)数カ国の石油精製・販売施設への投資が、OPECの力学を変えつつある。ベネズエラ国営石油会社の子会社社長が語ったもので、近い将来、OPEC内に第二OPECが生まれるだろうと予測している。同氏によると、サウジアラビアやクウェートなど裕福な国々は、精製・流通施設と非石油産業に巨額の投資をしており、単なる産油国とコングロマリット産油国の分化が組織の力学を変化させ、価格への柔軟な対応を促すという。

 スタンダード石油カリフォルニアは、七月から百年以上も使っていた社名をシェブロン・コーポレイションと変えた。新社名はすでに五月一日に株主の承認を得ている。変更の理由はスタンダード・オイルを名乗る会社が非常に多く、過去にさまざまな混乱を生じたためである。

 英蘭系メジャー(国際石油資本)のロイヤル・ダッチ・シェルとエクソンのオランダ子会社NAMは、北海に大型コンプレッサーを装備したガス・プラットホームを共同で建設する。建設費は約一億七百万ドルで一九八六年から操業を開始する。

 このプラットホームは、K7をはじめとする四ブロックから産出されたガスを圧縮する。海洋ガス田で圧縮方式を使った初めての試みである。

 英エネルギー省はシェル/エクソンが北海南部のガス鉱区で一億四千万ドルを投じて開発する計画を承認した。この計画は二千四百億立方フィートのガスを採掘するもので、実現すれば北海南部の総生産量は五%増加する。生産開始は一九八五年一月の予定。

 カナダのドーム石油は、石油とガス事業に集中するためダビー造船会社をバーサトル社に売却する。この取引は七月三十一日に終了するが、バーサトル社の満足のいく条件でカナダ政府の確認が得られるかどうかが最大のポイントである。

 バーサトル社は、農業機器と石油産業向け部品のメーカーだが、ケベック州とブリティッシュ・コロンビア州で造船所も経営している。

 エクソンは一九八四年に全世界で、昨年より四十本多い三百の探査井を掘削する。掘削の増える地域はメキシコ湾で、昨年の五割増しの四十井となる。

 同社によると、これまでの探査の結果、証明ずみ埋蔵量として公表していない埋蔵量は、一九八三年末に報告した証明ずみ埋蔵量に匹敵するという。エクソンが昨年末に発表した証明ずみ埋蔵量は、石油が七十二億バーレル、ガスが四十七兆立方フィートである。

 ナイジェリアは七月一日から暫定的にフォルカドス原油に一バーレル当たり二五セント、ボニー・メディアム原油に五〇セントのプレミアム(割増金)を上乗せした。

 フォルカドス原油の正式価格は現在一バーレル当たり二九ドル、ボニー・メディアムは二八ドル。二種類の原油の産出量は一日当たり五十万バーレル。なお全ナイジェリアの産出量は一日当たり百三十万バーレルである。

 業界筋によると、ナイジェリア政府は必ずしも全顧客に新レートを適用しない。しかし、今回の値上げは現在の経済危機を乗り切るために石油収入を最大限に活用しようとしている新しい軍事政権の最初の動きとして注目される。

 米国のシトゴ・ペトロリアムはこのほど、レイク・チャールズ製油所(ルイジアナ州)での原油処理量を削減した。原油と石油製品市況の関係が混乱しているため、市場で製品を購入した方が得策との判断による。削減量は一日当たり三千バーレルで、これにより同製油所の原油処理量は同二十六万五千バーレルとなる。米国の石油製品卸売市場ではガソリンや軽油がこのところ値下がりを続けている。

 米国の独立系石油会社テキサス・イースタンとペトロレーンの両社はテキサスが一株当たり二十ドルでペトロレーンを買収することで最終的に合意した。テキサスにとってはLPG(液化石油ガス)販売量の拡大と石油掘削技術の入手につながる。テキサスはまず五二%のペトロレーン株を取得したあとさらに一八・五%の同株を手に入れる予定。ペトロレーンはロングビーチ(カリフォルニア州)に本社を置く独立系の有力LPG卸販売会社で、特殊な海域用掘削装置の販売なども手がけている。

 相次ぐタンカー攻撃で緊張が高まっているペルシャ湾で、危険地帯を通過しないパイプラインによる原油輸送の強化案が出始めている。なかでも脚光を浴びているのが、エジプト経由のスエズと地中海とを結ぶスメドパイプラインの強化案だ。 全長三百二十キロメートルの同パイプラインは現在年間八千万トンの輸送能力しか持たないが、これを約五〇%拡大して同一億千七百万トン(日量二百三十四万バーレル)にすることが取りざたされている。スメドは現在エジプトが五〇%を出資、残りをサウジアラビア、クウェート、アブダビ、カタールが出資しており、アラブ産油国の共有パイプラインであることからかねて戦略的な重要性を帯びていた。

 とりわけペルシャ湾で生産される原油はホルムズ海峡経由を除くと大半がスメドパイプラインとスエズ運河を経由して輸出される。しかし、ホルムズ海峡の封鎖懸念が常に存在し、またシリアが二年前にイラクからのパイプラインを閉鎖して日量五十万バーレルのイラク原油の輸出を封じたことへの対抗の意味合いなどからスメドの強化案が急速に浮上しているのである。

 株主は基本的に同意しており、建設資金のメドがつき次第、着工されるのは確実な情勢だ。この強化が実施されればアラブ諸国からボイコットされた格好のエジプトがアラブ陣営に復帰する道が開けることになろう。

大丈夫?ソニー電池 デルとアップルの計590万個回収

河成鎮作 2006/08/26

 米デル製ノート型パソコンに使われているソニー製電池のリコール(回収・無償交換)騒ぎが、米アップルコンピュータ製パソコンにも「飛び火」した。リコール対象のリチウムイオン電池パックは計590万個。ソニーは「デルとアップル以外は大丈夫」と火消しを急ぐ。しかし、本業のエレクトロニクス事業の立て直しを急ぐソニーにとって、異例の大規模となるリコールの痛手は軽くはなさそうだ。

 ●2社以外は「安全」

 「まず、パソコンから電池を外して下さい。交換するまではアダプターを電源に使って下さい」

 アップル日本法人のコールセンターでは、25日午前9時のサービス開始から問い合わせの電話が相次ぎ、担当者が説明に追われた。

 代わりの電池が届くまで4?6週間かかるという。通常の交換の倍ほどの期間だ。アップルは「在庫が足りないため」と説明する。その間は、持ち運びのできるノート型パソコンなのに、電源コンセントにつながないと使えなくなる。

 デルは世界最大手とあって、リコールを発表した14日だけで、世界で10万件もの問い合わせ電話を受けた。交換の申し込みも同日だけで9万件。交換まで何日かかるかについては、日本法人は詳しい説明をしていない。

 一方、ソニーは25日、「今回のリコール対象の電池については、これ以上の回収が行われることはないと考えています」との談話を発表。リコールの「打ち止め感」をにじませようとしている。

 中国レノボや米ヒューレット・パッカード(HP)は自社製パソコンに同種のソニー製電池を使っているが、「リコールの予定はない」と表明した。仮に電池内でショートが起きても、それを感知して充電が止まり、過熱や発火が起きない仕組みが働くためという。ソニーも自社の「バイオ」では「安全設計が施されており、使用に問題はない」と説明している。

 富士通や東芝は、ソニー製電池を使っているものの、リコール対象の電池は含まれていないと確認。NECや松下電器産業などは、ソニー製電池ではないという。

 米国では、パソコンの構造上の違いが安全性の差につながったことを、各メーカーが重視している。電子機器の業界団体IPCは、デル、アップル、HP、レノボの4社を中心に、パソコン・携帯機器向けのリチウムイオン電池の標準設計を検討することになった。

 ●復調の矢先、冷や水

 ソニーは世界で初めてリチウムイオン電池の製品化に成功。世界で2?3割のシェアを持ち、電池本体のほとんどを国内で生産している。エレクトロニクス事業の立て直しを急ぐソニーにとって、今回のリコール騒ぎは、4代ぶりの技術系トップとなった中鉢良治社長の掲げる「技術・現場・顧客の重視」を揺るがしかねない問題だ。

 問題の電池を生産したのは、福島県郡山市にある子会社のソニーエナジー・デバイス。切断などの工程で金属粒子が電池内に混入するのを防ぐため、掃除機のような装置で吸引している。ソニーはリコール発表以前から問題を把握し、今年2月までに吸引力を強化していたという。

 「混入があってもパソコンのシステム構成次第では事故には至らない」とソニーは主張するが、入ってはならない物が入ったことは確か。たとえ混入しても不具合が起きないように、デルやアップルと事前に情報を交換しておくことが不十分だった可能性もある。

 業績への影響も小さくない。今回のリコールに伴う費用は07年3月期の予想営業利益の約23%の最大300億円になる見込み。それに加え、リコール対象の電池パックは計590万個で、交換用電池をソニーエナジーだけで生産するには2カ月前後かかるとみられる。他の電池の生産や売り上げにも響きかねない。

 液晶テレビなどが好調でようやく復調してきたソニーにとって、厄介な難題を抱え込んだ形だ。

 ◆リチウムイオン電池 世界シェア、日本7割 電子機器に搭載、急増

 リチウムイオン電池は、小さくても1回の充電で長くもつのが強み。最近は電子機器向けの需要が急増し、身近な製品に使われる充電池の主役の座をニッケル水素電池から奪った。デジタルカメラや携帯電話、携帯音楽プレーヤーなどに、幅広く搭載されている。

 ただ、品質の管理が難しいうえ、デジタル家電の高機能化で、高い技術力が必要とされる。現在は三洋電機やソニー、松下電池工業など、日本勢が世界シェアの約7割を占めるが、最近は韓国・中国メーカーの追い上げが激しい。

 電池の中に満たされた電解液に、リチウム金属化合物で出来たプラス極と、炭素などを使ったマイナス極が入っており、両極間でリチウムイオンを行き来させて電気を起こす=図。問題の電池では、混入した金属粒子が仕切り板に付着し、両極間で激しい放電が起きたとみられる。

 ◇キーワード

 〈ソニー製電池の回収問題〉 今月14日に米デルがノート型パソコン用のリチウムイオン電池パックについて、全世界で410万個のリコールを発表。24日には米アップルコンピュータも180万個のリコールを公表した。

 6月には大阪市内の会議場でデル製パソコンが炎を上げる映像がネット上で流れるなど、発火の危険性は以前から指摘されており、主因が電池だったことが判明した。

 米消費者製品安全委員会(CPSC)によると、デル分では発火も含めて6件の異常過熱が報告されている。アップル分では9件の異常過熱があり、2人が軽いやけどを負ったという。

 ■主なパソコンメーカーの対応

 社名       採用の有無 対応

 NEC          × ソニー製電池は搭載していないことを確認

 富士通          ○ リコール対象製品がないことを確認

 東芝           ○ 同上

 ソニー          ○ 独自の安全設計を導入しており、発火はないと確認

 ヒューレット・パッカード ○ パソコン内部に過充電の制御装置があり問題ないと確認

 レノボ          ○ 同上

 デル           ○ 410万個を自主回収

 アップルコンピュータ   ○ 180万個を自主回収

 

ソニー製PC電池、アップル180万個回収

河成鎮作 2006/08/25

米アップルコンピュータと米消費者製品安全委員会(CPSC)は24日、アップル製ノート型パソコンに使われているソニー製のリチウムイオン電池180万個に発火の危険があるとしてリコール(回収・無償交換)すると発表した。米パソコン最大手のデルが14日にソニー製電池410万個の回収を発表したのに続く措置だ。=3面に関係記事

 アップルの回収対象は、03年10月以降に発売したノート型パソコン3機種の内蔵電池と交換用電池。モデル番号は「12インチiBook G4」のA1061▽「12インチPowerBook G4」のA1079▽「15インチPowerBook G4」のA1078、A1148。110万個が米国、残り70万個が日本など米国以外で売られた。

 電池は、ソニーの子会社ソニーエナジー・デバイス(福島県郡山市)製で、混入した金属粒子が電池内で別の部品と接触してショートする恐れがあるという。CPSCによると、これまで9件の異常過熱がアップルに報告され、2人が軽いやけどを負い、周辺の器物が損傷する例もあった。

 

ノートPC用充電池大量リコール*製造のソニーが苦境*中韓と激しい市場争い*他社は「飛び火」を懸念

河成鎮作 2006/08/19

 パソコン最大手の米デルが、同社ノート型パソコンに搭載しているソニー製充電池が過熱・発火の恐れがあるとして、約四百十万個の電池のリコール(回収・無償交換)を開始した。回収費用は数百億円にのぼるとみられ、相応の負担を強いられるソニーの業績への影響は必至。日本のライバル会社からは「日本製全体の信頼性を損ないかねない」との懸念の声も出ている。

*重い費用負担

 ソニーによると、回収されるのは同社子会社のソニーエナジー・デバイス(福島県郡山市)が製造したリチウムイオン電池。二○○四年四月から○六年七月にかけて、米国内で二百七十万個、米国外で百四十万個がデル向けに出荷された。

 ソニーは今後、デル側と協議し、電池の回収費用の負担割合を決める方針だが、製造過程で混入した金属片が事故につながったことから、大半がソニーの負担になる可能性が高い。回収費用の総額について、大和総研シニアアナリストの三浦和晴氏は「百五十億円から二百五十億円」と予想。モルガン・スタンレー証券アナリストの小野雅弘氏は「三百億円から五百億円に達する可能性がある」とみている。

*日本発の技術

 リチウムイオン電池は一九九一年、ソニーが世界で初めて商用化した日本発の技術で、ノートパソコンのほか、携帯電話やデジタルカメラなどに使われている。経済産業省の機械統計によると、日本メーカーの二○○五年の同電池の販売数量は九億三千万個で、販売額は二千八百九十一億円。販売数量は二○○○年からの五年間で一・九倍に拡大している。

 最近は韓国や中国などのメーカーも参入し競争が激化。「日本以外のメーカーが、リチウムイオン電池を生産できるようになったのは、ほんの数年前」(電池工業会)だが、安さでシェアを伸ばしている。一時は日本メーカーが市場をほぼ独占していたが、現在、他国メーカーが三割程度を占める。

*信頼性に疑問

 ソニーはリコールの原因となった事故についての責任を認めているが、「混入した金属片は通常ならば、動作不良がまれに起こる程度の微小なもの」(広報センター)と釈明する。リコール対象の電池をデル製PCと組み合わせて使った場合にのみ、発火などの危険があるとし、ソニーの「バイオ」をはじめ、デル製以外のPCでの事故の可能性は否定している。

 アジアの後発メーカーに比べ、日本製への信頼性は高く、電池工業会も「海外メーカーとの価格差は性能の違い」と胸を張る。それだけに、異物混入による今回のリコールには、業界内から「考えられない」と批判の声が出ている。パソコンメーカーも「一部品の不良でも、消費者は完成品の信頼性に疑問を持つ」と厳しい見方だ。

 

ソニー製電池発火問題――電池大容量化、リスクも。

河成鎮作 2006/08/17

 今回の問題はパソコン、携帯電話、デジカメなど様々な携帯機器を動かすのに欠かせない大容量電池がショートした時の危険性を浮き彫りにした。

 リチウムイオン電池は正極にリチウム金属酸化物、負極に炭素などを使い、両極間でイオンを行き来させることで電気を起こす。ニッケル水素電池などに比べ、一度充電すると長持ちするのが最大の特徴。パソコンを十時間以上使える大容量製品もある。使用年月とともに充電容量が減る「メモリー効果」も起きにくい。

 今回の問題は、ソニーの電池生産子会社であるソニーエナジー・デバイス(福島県郡山市)の工場で、正負極間に微小な金属片が混入したのが原因とみられる。この電池をデルのパソコンで充電すると、樹脂製セパレーターで仕切られている正極と負極の間でごくまれにショートが起き、異常過熱により発火する恐れがあるという。

 デルのパソコンは急速充電がうたい文句の一つ。ソニーは「(電池に大きな電圧負荷がかかるなど)デルの充電システムとの相性が良くなかった可能性がある」と説明。他社のパソコンで同じ電池を使っても問題は起こらないと見ている。

 ソニーは今回のトラブルを昨秋ごろ把握したようだ。回収対象の電池は、今年二月まで過去二年間の製造分。ソニーはすでに金属片の混入を防ぐため部品洗浄を徹底するなど「必要な対策を取った」としている。

 最近の電池は大容量化しており、ショートした時の被害が大きくなりやすい。京都大学大学院の小久見善八教授はリチウムイオン電池の原理自体は安全と強調しつつ、「電池に蓄えられているエネルギーは打ち上げ花火に匹敵する」と話す。最近はアジア製の模造電池も出回り、パソコン各社は事故防止のため純正品使用を呼びかけている。

 

ソニー充電池回収 米政府機関がデル以外も調査へ 経営に影響の可能性

河成鎮作 2006/08/17

 パソコン世界最大手の米デルが、同社製ノート型パソコンに搭載されたソニー製充電池(リチウムイオン電池)に発火の恐れがあるとして、世界の約410万台を対象に大規模な自主回収を始めた問題で、米政府機関の消費者製品安全委員会は米時間の15日、デル以外のメーカーに搭載されたソニー製充電池の安全性に関する調査に乗り出した。高いブランドイメージを武器に再建を進めるソニーにとって、問題が拡大すれば経営に痛手を受ける可能性もある。

 ■不安の波及 

 ロイター通信によると、米アップルコンピュータ、米ヒューレット・パッカード、中国の聯想(レノボ)のパソコンにもソニー製充電池が採用されており、同委員会は発火の危険性がないか調べるという。

 ソニーは発火の原因として、製造過程で微細な金属粒子が充電池に混入したことを認めているが、「デル向けのバッテリーの形状と、デル独自のパソコン内部の充電回路の組み合わせで生じた」とし、トラブルがデル社向け製品に限られるとの見方を示唆している。

 ただ、リチウムイオン電池は、パソコンだけでなく、携帯電話や音楽プレーヤーなど用途が広いうえ、米国の公的機関が調査に動き出したことで、消費者や顧客企業のソニー製品に対する不安が広がる可能性も出てきた。

 ■部品ビジネス 

 リチウムイオン電池は1990年代初頭にソニーが初めて実用化し、世界シェア(占有率)は業界推計で2割弱と三洋電機に続いて2位を占める。

 高電圧化や小型化が容易なために需要は拡大している。ソニーは2004年に福島県に生産子会社「ソニーエナジー・デバイス」を設立し、売上高は04年度の1500億円から06年度は1700億円に拡大すると見込んでいた。

 充電池などの電子部品事業は、連結ベースでソニーの売上高の11%、営業利益の16%(05年度)を占めている。同事業にも受注の減少などが及ぶ可能性がある。

 ■行方 

 ソニーはデルに対し、一定の損害賠償に応じる姿勢を示している。デルによると対象の充電池は外販価格で60?180ドル(6960円?2万880円)で、回収対象台数が多いため、賠償額が高額に及ぶことも予想される。

 大和総研の三浦和晴シニアアナリストは、回収費用を最大300億円と試算している。これは、ソニーの電子部品事業の年間営業利益(06年3月期)に匹敵するが、「ソニー全体の業績は回復基調にあるため、賠償がデル向けのみなら、ソニーの経営面への影響は限定的」と見る。問題が他のパソコンメーカー向けにも波及するかどうかで、経営への負担は大きく違ってくるとみられる。

 

デルPCの充電池回収 ソニー業績圧迫懸念

河成鎮作 2006/08/17

 米パソコン最大手デルが、ノートパソコンに搭載したソニー製バッテリーの無料回収・交換(リコール)を始めた問題で、対象のバッテリーは約四百十万個に上り、米国からの報道や電機業界関係者によるとパソコン関連では最大規模のリコールになりそうだ。薄型テレビの好調などで業績が上向いてきたソニーだが、対策費用の負担による業績圧迫や他の製品への信頼低下を懸念する声が出てくる恐れがある。

 リコール対象はソニーの子会社ソニーエナジー・デバイス(福島県郡山市)製のリチウムイオン電池で、製造過程での金属粒子の混入などのため「極めてまれだが発火の恐れがある」(デル)という。

 負担額や業績への影響などについてソニーは「調査中」としているが、ソニーが費用をすべて負担する場合、「三百億―五百億円の負担の可能性がある」(米モルガン・スタンレー証券)。米ゴールドマン・サックス証券も、回収対象製品の過去の売上高を三百九十四億円などと試算している。

 ソニーが立て直しを急ぐ主力のエレクトロニクス部門は、二〇〇六年三月期連結決算の営業損益が三百九億円の赤字と、赤字幅は前年同期から三十四億円縮小した。

 〇七年三月期には黒字転換を見込んでいるが、今後、リコール費用の計上を迫られることになる。

 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズの長尾房子主席アナリストは、ソニーの経営課題について「中長期的な事業基盤強化には、利益率の高い商品の開発と、品質の信頼性を高める両方が必要。品質問題の発生は今後の懸念材料だ」と指摘している。

 

リコール費用300億円か ソニー 業績圧迫の恐れ

河成鎮作 2006/08/17

リコール費用300億円か ソニー

業績圧迫の恐れ

 デルがソニー製バッテリーの無料回収・交換(リコール)を始めた問題で、米国からの報道や電機業界関係者によるとパソコン関連では最大規模のリコールになりそうだ。薄型テレビの好調などで業績が上向いてきたソニーだが、対策費用の負担による業績圧迫や他の製品への信頼低下を懸念する声が出てくる恐れがある。

 リコール対象はソニーの子会社ソニーエナジー・デバイス(福島県郡山市)製のリチウムイオン電池。負担額や業績への影響などについてソニーは「調査中」としているが、ソニーが費用をすべて負担する場合、「三百億―五百億円の負担の可能性がある」(米モルガン・スタンレー証券)。米ゴールドマン・サックス証券も回収対象製品の過去の売上高を三百九十四億円などと試算している。

 ソニーが立て直しを急ぐ主力のエレクトロニクス部門は、二〇〇六年三月期連結決算の営業損益が三百九億円の赤字。赤字幅は前年同期から三十四億円縮小した。〇七年三月期には黒字転換を見込んでいるが、今後、リコール費用の計上を迫られることになる。

 

◎ソニー、業績圧迫の懸念も デルPCのソニー製充電池回収で アメリカ

河成鎮作 2006/08/17

 米パソコン最大手デルが、ノートパソコンに搭載したソニー製バッテリーの無料回収・交換(リコール)を始めた問題で、対象のバッテリーは約四百十万個に上り、米国からの報道や電機業界関係者によるとパソコン関連では最大規模のリコールになりそうだ。薄型テレビの好調などで業績が上向いてきたソニーだが、対策費用の負担による業績圧迫や他の製品への信頼低下を懸念する声が出てくる恐れがある。リコール対象はソニーの子会社ソニーエナジー・デバイス(福島県郡山市)製のリチウムイオン電池で、製造過程での金属粒子の混入などのため「極めてまれだが発火の恐れがある」(デル)という。

 

 

東京の一極集中是正

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1988年1月22日、「国の機関等の移転について」との閣議決定が行われた。

東京への一極集中是正に、国が初めて先導的な方針を打ち出したものとして注目された。

東京プロブレムが専門家を中心に認識され始めたのは一九六〇年前後といわれる。

以来、東京の扱いをめぐって、"遷都""展都""分都"と、それぞれの立場に立った主張、議論が続いている。

とくに東京都心三区を引き金に地価暴騰が首都圏全域に広がるにしたがって、その議論は切迫してきた。

その数年前から首都圏の問題に取り組んでいたのは国土庁だった。

一九七九年から始まった調査は、一九八三年、「首都改造素案」として芽吹き、翌年には「首都改造基本構想」に、その翌年には「首都改造計画」に、そして一九八六年六月に首都圏整備法に基づく「首都圏整備計画(第四次)」として確定した。

この何年かの間は、みなとみらいにとって一つの試金石の期間だった。

一九八二年、住都公団の特定再開発事業に採択され、国家的プロジェクトを名乗ってはいたが、みなとみらいの"街づくりの哲学""目標"が公認されたというわけでもなかった。

同じような事情は、千葉、埼玉両県はもちろん、首都機能の受け皿を抱える神奈川県、川崎市にもあった。

ここで脚光を浴びたのが「六都県市首脳会議」、いわゆる「首都圏サミット」だ。

東京都、神奈川、千葉、埼玉三県、横浜、川崎両市の首長が一堂に会して、その時々の政策課題について、意見交換する会議で年に二回、六都県市が持ち回りで座長を務めていた。

この六都県市と国土庁の二人三脚が行われた。

国土庁の調査開始と時期を同じくして、「首都圏サミット」が始まった。

当初、議題の中心は廃棄物処理や東京湾の環境問題だった。

首都機能問題がメーン議題として浮上したのは一九八二年十一月二十四日、藤沢・江の島の神奈川県立婦人センターでの第八回会議。

神奈川県知事長洲一二が座長を務めたこの会議には、国土庁大都市圏整備局長も出席、参加自治体が首都改造の受け皿として「埼玉中枢都市圏構想」「千葉新産業三角構想」「多摩都心立川計画」「川崎駅周辺都市整備構想」をあげ、「これらのプロジェクトを首都機能分散の受け皿として位置づけることで合意」した。

会議後、合同記者会見した各首長は「国との間に基本的な考え方の違いはないとの感触を得た」と口々に語った。

この時、横浜市があげたプロジェクトは、みなとみらいと新横浜地区整備構想。

横浜がその再生をかけて打ち出した"二つの都心"だ。

そして、翌一九八三年、この都市の九、十回首都圏サミットの座長当番は横浜市だった。

「四全総に盛りこまれるかどうかがカギ」。

かつて自治事務次官を務め、国にどう動いてもらうか、どう動かすか予算、法制の裏を知りつくした細郷は、みなとみらい成否のカギは国土づくりの総合指針となる『全国総合開発計画』に盛り込まれることの重大さを考えていた。

その第四次計画策定が迫っていた。

それにはまず首都圏のなかでの位置づけを確定、首都圏の各自治体が"応援団"となって、働きかけていくー。

これが細郷の、横浜市の戦略だった。

各自治体の企画部門同士での、すり合わせが続いた。

問題は東京だった。

東京を除く県市のスタンスは"展都"。

一歩間違えば首都機能の分捕り合戦が始まり、足並みが乱れかねない。

六月八日、横浜のホテル・ニューグランドで開かれた第九回サミットには、国土庁長官加藤六月も出席した。

テーマは首都改造素案。

約二時間にわたった会議の結果は、「素案を大筋で了承」「首都東京の超長期的展望を踏まえての分散」「地方自治を損なわない」などの意見も具体的に明らかにされた。

総論賛成、各論で立場を堅持。

もちろん、意見のなかには「四全総などの法定計画に反映させていく」こともしっかり入った。

続く第十回も、その秋、同じ会場で開かれた。

ここで"応援団"の態勢が固まる。

国への提案。

?新設する政府機関などは東京都心部以外の各都市に優先的に立地する?業務、管理、情報機能の各都市への立地を促進するため、東京都心部へこれ以上の集積を行わない。

しかし、都心部の空洞化防止などには留意する?工業制限三法の見直し?四全総に各都市育成を明示、育成のための立法の検討記者会見では、各首長のにこやかな顔が並んだ。

しかし、都知事鈴木俊一は、あらためて「都心部の空洞化防止と都市再開発の保持に留意することが重要」と発言、固い一枚岩というところまでは至っていないことをうかがわせ、背景説明をした横浜市企画調整室幹部は「具体的な機能の話は出たの?」との質問に「きょうは、生臭い話はなし」とニヤリと笑ってみせた。

この"複合二人三脚"の仕上げは、埼玉県浦和市で行われた。

加藤から国土庁長官の座をバトンタッチされた河本喜久蔵が出席、六首長に「首都改造計画」を提示した。

新しい地域社会としての「自立都市圏」、首都圏全体としての「連合都市圏」、自立都市の中核となる「業務核都市」とそれに準じる「副次核都市」。

横浜市は業務核都市に位置づけられ、みなとみらい地区と新横浜駅周辺地区は核都市の"拠点"となった。

シナリオはクライマックスに入った。

一九八七年六月二十六日、第四次全国総合開発計画が閣議了承された。

首都圏の"展都"でのスクラムに対して、地方の揺りもどしも強烈だった。

しかし、"東京圏域"の考え方は残った。

「世界の中枢都市の一つとして、わが国および国際経済社会の発展に寄与する圏域」として。




崎陽軒

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崎陽軒は構内販売を目的に明治41年に横浜に設立された。

同社が産んだシウマイは昭和3年の開発で多くのエピソードを生み横浜名物に育った。

今「新横浜料理」を提案する食品文化企業である。

崎陽軒は駅売弁当事業としてスタートした。

しかし、東京とは至近距離にあって事業の成長には限界がある。

静岡のわさび漬、小田原の蒲鉾のような横浜名物の販売を企画したが、開港であけた横浜にはまだ名物らしいものはなく、名物づくりは自社で進めるしかなかった。

当時の横浜には、すでに多くの中華料理店が進出して、ひとつの特色を持っていたこともあってテーマがここに絞り込まれる。

鍋物や汁物は折詰には向かず点心の中のシウマイがテーマとなる。

温かくして食べるからおいしいというシウマイを、さめてもおいしいという商品にすることは、そう容易な道ではなかった。

中華街から専門職人を招聰し、海老や蟹などいろいろな素材をもとに試作研究を重ねたものの、結果は簡単には得られなかった。

社長(先々代)の陣頭指揮のもと、豚肉と貝柱の調合によって漸く完成を迎える。

商品デザインや包装を決め販売許可を得て昭和3年に発売した。

横浜名物「シウマイ」として押しも押されぬ現在の地位を築くには、70年にわたる多くの知恵と努力が重ねられている。

発売当初は知名度が低く一向に売れない時期が続いたとも、飛行機に吹き流しをつけて宣伝、ビラをまいて引換サービスを行う。

戦後の昭和25年には赤い洋服にタスキがけの「シウマイ娘」を横浜駅頭に登場させて話題を生む。

まもなくこの「シウマイ娘」が小説のヒロインとして登場して一段の名を広め、映画が大ヒットして横浜名物「シウマイ」は全国版周知の名物となる。

その後も「シウマイ弁当」の発売、漫画家横山隆一氏描くユーモラスな醤油入れ陶器、真空パックによる保存法の開発が市場をいっきに拡大する。

シウマイ年賀状も話題となり事業拡大に貢献した。

名物シウマイの伸びとともに弁当事業も成長し、2事業が大黒柱となった。

昭和40年代から第3の柱のレストラン事業を展開し成長中、現在の話題は平成8年に建設した本店ビルの第4の柱、8階建フロアの2階の中国料理店「嘉宮」がその中心にあり、テレビ料理の鉄人に出演の総料理長が和・洋・中華の融合した「新横浜料理」をつくりあげた。

ネライは横浜の新名所づくりにある。

第5の柱となる点心も成長を続け、名物・名所づくりの崎陽軒の攻めはつづいていく。河成鎮

金沢区に大規模マリーナ

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横浜市ではまた海洋レジャー人気の高まりを受けて、一四四〇隻のヨットを収容する国内最大級のマリーナを建設中だ。

建設場所は横浜市金沢区にある金沢材木港跡地。

木材輸入がなくなったため、跡地を有効活用するのが狙いだ。

マリーナの面積は約四二ヘクタール。

このうち海面は約二八ヘクタール。

残りの約一四ヘクタールは埋め立てて整備する。

埋め立て部分にはマリーナ施設、クラブハウス、修理工場のほか、マリングッズなどを扱うショールームなどを計画。

すでに埋め立て工事に着手しており、九五年春までには完了する見込みだ。

またマリーナ建設には、市内の河川や運河などに放置されているプレジャーボートを一掃しようとの狙いもある。

市港湾局の調べによると、九三年三月現在で約一四五〇隻のプレジャーボートが放置されているという。

市ではマリーナ建設を進めるため九三年二月に、第三セクターによる新会社の横浜ベイサイドマリーナ(社長、広瀬良一横浜市助役)を設立した。

出資者は横浜市のほかに、マリン関連企業八社(ヤマハ発動機、日産自動車、東亜建設工業、オンワードマリン、トヨタ自動車、マリナ・ベンチャーズ・ジャパン、石川島播磨重工業、出光マリンズ)、銀行三行、地元の四企業団体など。

資本金は四〇億円九四年度に三四億円を増資する。

同マリーナの総事業費は当初計画で二〇〇億円。

九六年三月の一部共用開始を目指している。

回復のきざし見える倉庫

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港の風景に欠かせないのが貨物を保管しておく倉庫。

ここ数年、倉庫需要は低迷していたが、やや回復しつつある。

食べ物、特に最近は野菜の輸入が増加しており、冷凍・冷蔵倉庫の需要が拡大している。

全般的に見ても輸入貨物は増加しており、保管は底を打っている。

しかし、倉庫は依然供給過剰気味で、単価は下がっており、料金面でも荷主主導の状況が続いているという。

日本倉庫協会(会長・宮崎毅三菱倉庫社長)によると、九四年一〇月の三菱倉庫・三井倉庫など大手二一社の倉庫統計(全国ベース)は前年同月比八・二%増の二八〇万八七〇〇トンとなり、五月から六カ月連続で前年同月を上回った。

九四年は一〇月まで、前年実績を割り込んだのは一月と四月だけとなり、数量では市況は回復基調にあると言える。

鉄鋼や紙・パルプの荷動きが減少している分を、食料品の増加が支えている状況だ。

横浜港でもおおむね同じような傾向となっている。

九三年の横浜港の輸入貨物量は三六三ハ万九〇〇〇トンで、このうち八五五万四〇〇〇トン(シェアニ一二.五%)を原油が占め、石油製品が四〇二万九〇〇〇トン(同一一・一%)を占める。

こうしたエネルギーは長距離大量輸送に適した内航海運に頼っている。

日本の国内貨物輸送量に占める内航海運の割合は、世界でも類を見ないほど高いという。

内航海運業は内航海運業法で三つの業種に区分されている。

丙航運送業Lは+望との契約で貨物を運搬をするが、この業者は船舶を運航することから「オペレーター」と呼ばれることが多い。

「内航運送取扱業」は貨物の取り次ぎや出荷の代行をする。

「内航船舶貸渡業」は船舶を運送業者に貸し出す事業で、業者は「オーナー」とも呼ばれる。

ただ、多くの企業は複数の業種にまたがって企業経営しているうえ、子会社を利用して他の分野に多角化していることも多い。

内航海運の大手の一角を占める上野運輸商会を頂点とした上野運輸グループを例にとってみよう。

上野運輸グループは昭和シェル石油の製油所から出荷される製品の九割を運搬する。

外航タンカーが原油を昭和シェル石油に運び、出来上がった石油製品をグループ企業が全国の油槽所まで運ぶわけだ。

石油製品の運搬には昔から、いわゆるコ店一社主義」というのがあって、一つの企業の製品の運搬は一つの業者が手掛けるのが伝統となっている。

このため、一度請け負った仕事が簡単に減ることはないという。

上野運輸商会は一般タンカー六四隻のほか、アスファルトタンカー、LPGタンカーなど合計八〇隻を駆使する。

石油製品の輸送が下火となる夏場は、食品用のタンクに取り換えて、消費の著しいビールを運ぶこともあるという。

上野運輸グループの場合、石油化学製晶は子会社である上野ケミカル運送(東京・千代田区)が海上輸送する。

石油類、石油化学製品の陸上輸送は上野輸送(横浜市中区)が分担し、タンクローリーを利用して製油所から内陸の油槽所へ、油槽所から給油所へ配送する。

上野石油倉庫輸送(横浜市中区)は横浜港で荷役される原油や石油製品、石油化学製品、潤滑油などの通関業務、保管、配送といったサービスを手掛けている。

航空貨物も港から

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船に貨物を積み込んだり、船から貨物を降ろしたりするのは、横浜港では当たり前の風景だが、トラックで運ばれてきた貨物がそこで関税手続きを済ませ成田空港に運ばれていることを知っている人は意外と少ないかもしれない。

横浜港では海上輸送の伸び悩みに反比例するかのように伸びている航空貨物に対応するため、八九年四月に航空貨物の通関業務をおこなう横浜航空貨物ターミナル(YAT)を開設した。

横浜市、横浜税関、関東運輸局、地元経済界や航空業界の協力で実現した施設である。

これまで横浜市内はじめ首都圏の航空貨物の通関業務は、成田空港か千葉県市川市にある東京エアカーゴシティターミナル(TACT)でおこなわれるのが一般的だった。

しかし航空貨物の急増で両施設の混雑が著しいため、荷主や物流業者は順番待ちをしなければならなかった。

こうした混雑を緩和するためにつくられたのがYAT。

神奈川県内の荷主や物流業者はわざわざ成田空港やTACTでまたなくてもスムーズに通関手続きを済ませることができるようになったわけだ。

YATは開業当初はみなとみらい21地区の新港埠頭地区にあった。

九二年九月には利用増に対応するため、山下公園近くの山下埠頭に地上七階建ての事務棟と四階建ての上屋棟からなる新ターミナルを建設し引っ越した。

同ターミナルには航空貨物代理店一八社と航空会社二社が入居、航空貨物の業務をおこなっている。

同ターミナルの荷さばき能力は年間約四万八〇〇〇トン。

初年度はわずか二八〇〇トンの利用にすぎなかったが、その後、急速に伸び、九三年度は前年度比六六%増の二万八三三七トンにものぼった。

YATが扱う航空貨物の九五%は輸出向け。

品目別では事務用機器、自動車部品、ゲーム機器、写真用品、半導体などが多い。

利用者の大半は神奈川県内だが、中には成田空港やTACTの混雑を避けるためわざわざ出向いてくる業者もいるという。

新システムで手続き迅速九三年二月からは航空会社や通関業者、銀行、税関などの端末をオンラインで結び通関手続きを迅速にする航空貨物通関情報処理システム(Air-NACCS)が稼働し一段と通関手続きの迅速化が進んでいる。

例えば、YATに夕方までに荷物を持ち込んだとすると、その日のうちに通関手続きを終え、午後一〇時ごろに成田空港を出発する航空機にも間に合うようになった。

横浜港では九四年一二月に東京方面に向かう高速湾岸線が開通したことから、YATの安藤昭専務は「一段と航空貨物の利用客が伸びる」と見ている。

同社ではこうした動きをにらんで、九四年夏に成田空港を利用する一六航空会社の貨物担当部課長らを招いて、横浜港の施設見学会を実施した。

山下埠頭に完成した新ターミナルや高速湾岸線の建設状況などを説明、YATの利用を呼びかけた。

同社は今後も航空貨物の取り扱いが大幅に増えると見ており、現在、中区本牧沖で建設中の南本牧埠頭に、月聞取り扱い能カ一万五〇〇〇トンの新ターミナルを建設する構想も進めている。

横浜港では陸海空の総合物流体制が整いつつある。



歴史の港湾荷役


港に届いた物資を国内各地に運んだり、一時的にストックする内航海運、港湾運送、倉庫などの業種は国内外のモノが集中する港ならではの仕事だ。

中でも港湾荷役は長い歴史の中で培われた細かい分業体制で成り立っている。

ただ、コンテナ輸送が一般的になるにつれ、荷役関連業者の中でも"はしけ"を利用して物資を運搬する「回漕店」の仕事は減少傾向にある。

全般的に労働者の高齢化が進んでいるうえ、若い労働力と入れ替わる新陳代謝が進んでいないなどの問題も抱えている。

港湾荷役業者の一部は海貨業者と呼ぼれる。

海貨業者と一口に言っても、いわゆる元請け業者から下請け、孫請けまで、手掛ける仕事内容(免許の種類)によって様々だ。

一般に「一種業者」と呼ばれる業者は商社などから荷物を受け取り、通関から倉庫の手配、はしけまで、すべてをこなす元請け業者。

大手では三井物産や大阪商船三井船舶が出資する宇徳運輸のほか、三菱倉庫、住友倉庫も一種業者に数えられる。

ただ、こうした大手企業は二種(船内荷役)など、複数の免許を所有しているのが一般的だ。

反対に、例えぼ通関だけを手掛ける「限定」業者もある。

二種業者は、港に入ってきた外国船の荷物を降ろしたり、逆に荷物を積む船内荷役を手掛ける。

岸壁から倉庫まで荷物を運搬したり、はしけに荷物を積んだりする四種業者を兼ねているところも少なくない。

横浜の代表的な大手港湾関連企業が藤木企業。

二種と四種を兼ねている同社の場合、三菱倉庫と契約して三菱倉庫関連の仕事を一手に引き受けている。

はしけ運送業者、または回漕店と呼ばれるのは三種業者。

一種業者から荷物を受け取ったり、沿岸運輸を分担する四種業者に荷物を渡す。

コンテナでは輸送できない大型の建築資材や建設機械などを運搬する。

こうした業者は横浜港だけで三〇社以上あると言われる。

これまでは紙・パルプの運搬も手掛けてきたが、パルプ専用船の出現や紙輸出のコンテナ化で仕事は減少傾向にある。

現在使用されているはしけは六〇年代半ばから七〇年代に製造されたもので、当時の価格で一隻四〇〇〇万円から五〇〇〇万円程度。

老朽化も指摘されているが、建造費が高くなっているうえ、はしけ運送需要自体も減少する中、思い切った投資に踏みきれないのが実情だ。

こうした一?四種業者のほか、積み荷の重さを調べる検量業者、数を数える検数(チェッカー)業者などもある。

港もハイテク情報化

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屈強な港湾労働者たちが額に汗を垂らしながら働く、といったイメージの強い港にもハイテク化の波が打ち寄せている。

船舶の大型化やコンテナ輸送の浸透に伴う大量輸送時代を迎えたいま、書類や伝票での情報伝達は電算化によって効率化されつつある。

横浜市が九五年から導入した新しい港湾管理システムは、港内全域に構内情報通信網(LAN)を敷き、入出港する船舶の動きや公共埠頭の利用状況を把握する。

大型コンピューターを利用したこれまでのシステムに比べ、情報処理速度は約一〇倍になった。

埠頭と同市港湾局管理ビルをつなぐ伝送容量は一三倍に大幅アップ。

新時代の物流を支える情報網が整った。

新システムの対象業務は、船舶管理、上屋荷さばき地管理、荷役施設管理のほか料金管理、統計管理など。

必要に応じて情報検索もできる。

主な機器構成は従来システムが大型汎用コンピューター二台、端末四六台を一五カ所に設置していたのに対し、新システムはワークステーション四台を中心にパソコン七六台を二三カ所に設置するなどシステムを大幅に小型化した。

大型コンピューターに全面的に頼ったホスト集中システムからパソコン中心の「クライアント/サーバ型」のシステムに脱皮、ネットワークを、サービスを利用する側であるクライアントとサービスを提供する側であるサーバとに分けることで情報処理を効率化した。

性能的には磁気ディスクが従来の一〇ギガバイト(一ギガ=八〇億)から三六・四ギガバイト、ホスト機器のメーンメモリーはそれぞれ一ニギガバイトから同九六ギガバイトに向上している・コンピューター問の通信制御手順であるプロトコルは、これまでメーカー専用のものだったのを「TCP/IP」と呼ぶ国際標準型に変更するなど、将来のシステム変更や機能追加に対応しやすくした。

さらに、新システムの導入で港の利用者に対するサービスも充実した。

これまで港湾関係機関に手渡ししていた様々な情報を、直接ファクシミリで提供するサービスを開始した。

また、上屋からの物の出し入れやコンテナの出入りを紙に記録し、手渡していたのをフロッピーディスクでもやり取りできるようにした。

さらに、港湾施設使用料の支払いでは、請求書を銀行に持っていって現金で支払っ第2章時代を映す港の風景ていたのを廃止、口座振替制度を九五年四月から導入する。

?方、市から借り受けた埠頭をユーザー独自のアイデアで効率化する動きも活発だ。

日本郵船の横浜港での主力バースである大黒埠頭Ci4号バース(九四年一一月稼働)は同社にとって神戸の六甲アイランドRC-6、同7(同年六月稼働)に次ぐ高規格のターミナル。

電算化で大幅に省人化、省力化している。

その柱となっているのが、コンテナヤード内でのコンテナの保管場所や状況、数量をコンピューターで把握する「ターミナル・オペレーション・アンド・プランニング・システム(TOPS)」と呼ぶターミナル運用システム。

「トランスファークレーン」や「トップリフター」といったコンテナを運搬する機械に車載端末を搭載しており、画面にコンテナの置き場所が指示される仕組み。

これまでドライバーが紙を片手に、または無線で声を張り上げながらコンテナを取りに行ったり、置きに行ったりしていたのを改善した。

コンテナを運搬するトラックの搬出入手続きも簡素化した。

搬出入手続きをするゲートには、日本郵船が沖電気工業と共同開発した新ゲートシステムを導入。

ゲートにテレビカメラとプリンターなどを組み合わせた機器を設置し、担当者はターミナルビル内からゲート業務をこなせる。

トラックの運転手は「チェッカーブース」でいったん停止し、搬入票、搬出依頼票を作業員に渡すと、テレビカメラを通じて書類の情報がターミナルの管理部門に送られる。

運転手はさらに「プリンターブース」に進み、コンテナの置き場所が示された用紙が自動的に出力されるのを待ってヤード内に入る。

これまでゲートであたふたと動き回っていた運転手は一度も車から降りる必要がない。

運転手が書類にいちいち署名していたのも廃止されたため、埠頭でしばしば見られたトラックの長蛇の列は過去のものとなった。

コンテナヤード内で働く女性の姿も目立つようになった。

ハイテク化で港の風景は確実に変わりつつある。

装い新た国際客船ターミナル

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横浜港の玄関となっている大桟橋の客船ターミナルが、国際港にふさわしい最新式の大規模ターミナルに生まれ変わろうとしている。

これまでの客船ターミナルが老朽化したため、建て替えをきっかけに、三万総トン級の大型客船が一度に四隻接岸できる本格的な施設にする計画だ。

横浜港では貿易を中心とした国際化の動きだけでなく、かつてのにぎわいを取り戻そうと客船クルーズ時代に対応した港づくりが着々と進んでいる。

市港湾局によると、新しい国際客船ターミナルは大桟橋にある幅五〇メートル、長さ四八〇メートルの桟橋と既存の客船ターミナルを撤去し、その後、埋め立て幅を倍の一〇〇メートルにした桟橋を建設する計画。

現在ある大桟橋埠頭は一八九六(明治二九)年に完成し、横浜港唯一の外国客船埠頭としてその役割を担ってきた。

新しい桟橋は大型船が両側にそれぞれ二隻ずつ接岸できるようにするのが大きな特徴で、総事業費は国の直轄事業と合わせ約四〇〇億円にのぼる見込み。

九八年度の全体完成を目指している。

なかでも目玉となる国際客船ターミナルは敷地面積約三万三〇〇〇平方メートルに、延べ床面積四万八〇〇〇平方メートルの大規模施設を建設する。

総事業費は約二三〇億円になる見込みで、国際建築設計コンペを実施したのち、九五年度中には基本設計を終え、九七年度から本体工事に取り掛かる計画だ。

この国際客船ターミナルは出入国管理や税関、検疫、送迎デッキなどの基本的な機能に加え、レストランや多目的ホールなど市民交流を目的とした施設も建設する計画だ。

最終的なデザインは国際建築設計コンペの結果によって決まることになるが、市港湾局では「周辺からの眺望や見通しを妨げず、寄港した客船の姿を引き立たせるようなターミナルにしたい」と話している。

この国際客船ターミナル建設にかける横浜市の期待は大きい。

横浜港に入港する一万トン以上の外航客船は六七年の延べ九一隻をピークに減少、海運業者や旅行業者を集めた「横浜市外航客船誘致協議会」で外航客船の寄港を働き掛けているものの、九二年には三五隻まで落ち込んでいるからだ。

市はこの国際客船ターミナルを外航客船誘致の起爆剤にしたい考えで、細川和範港湾局長は「クイーンエリザベス?号など豪華大型客船が寄港するのにふさわしい施設にしたい」と意気込んでいる。

その力の入れようは、同ターミナルの設計を海外の設計事務所なども参加できる国際建築設計コンペでおこなおうとしている点からもわかる。

市が国際建築設計コンペを実施するに先だって、コンペへの参加予定者を募ったところ、国内外を合わせて三一三二件の応募登録があった。

これは奈良市が実施した奈良市民ホールの国際設計コンペの応募登録者数(二九一八件)を抜き、これまで国内で実施された国際設計コンペとしては過去最高の応募登録者数となった。

なかでも外国勢の参加意欲は強い。

六一力国から合計一三七八件(全体の四四%)の応募があり、横浜港のシンボル施設となる同ターミナルの人気の高さを裏付けている。

外国勢で応募登録が最も多かったのは、アメリカで三三七件、次いでイギリス(一七五件)、イタリア(一四九件)の順だった。

市港湾局によると、外国の応募登録者のなかには世界的に有名な建築設計事務所も名を連ねているという。

この国際設計コンペの最終結果は近く発表される予定だ。

すでに桟橋の撤去作業など新客船ターミナルの建設に向けての準備が八八年度から始まっている。

これまでに新客船夕ーミナルが完成するまでの代替客船ターミナルなどが完成している。

ただこの代替ターミナルも仮の施設とは言え、建設費に約三四億円をかけた五階建ての立派な施設。

外観もかなりユニークで「大桟橋に逆ピラミッド形の巨大な屋根が出現」と言われるなど、横浜港の新しい観光名所となりつつある。

このユニークな外観について横浜市港湾局は、「一風変わったかたちの屋根は世界各国からやってくる人を歓迎する意味で『WELCOME』の『W』を表現した」と説明している。

この代替ターミナルは新客船ターミナルができれぼ、その役目をバトンタッチすることになるが、横浜市港湾局では恒久的な施設として利用していくことを考えている。

ワールド・トレード・マート

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輸入港から生活港へ

輸入製品が増える横浜港
横浜港の九四年の輸入額は速報値で六・七%増え、九〇年以来四年ぶりに増加に転じた。

ドル表示では一六・四%の大幅増となった。

これに対し、同年の輸出は一・四%減と二年連続の落ち込みを記録した。

アメリカを中心とする海外からの大幅な貿易黒字解消の要求の高まりや、産業空洞化などの影響を受け、横浜港はこれまでの輸出中心の貿易港から輸出入のバランスのとれた生活港へと徐々に姿を変えている。

輸入の内訳を見ても、電気機器や自動車、衣類、食料品、事務機などが増え、製品輸入比率は六六・三%と前年よりニポイント上昇し、全国平均の五五・三%を大きく上回っている。

いわば自動車などの完成品を輸出し、原材料.半製品を輸入するこれまでの産業港の役割に変化が生じていることを裏づけている。

横浜税関長は、この動きを「横浜港の新しい特徴」と位置づけた。



ワールド・トレード・マート構想始動

横浜港は九四年三月、国から輸入促進地域(FAZnフォーリン・アクセス・ゾーン)の指定を受けた。

FAZとは聞きなれない言葉だが、このFAZに指定されると、輸入促進のための大規模施設などを整備する際に、国から出資や融資が受けられる利点がある。

横浜市が現在、FAZ施設として計画しているものはいくつかあるが、目玉となるのは「ワールド・トレード・マート」である。

計画地はみなとみらい21地区・新港埠頭の約二ヘクタール。

横浜市の構想によると、延べ床面積約八万平方メートルの大規模施設を約二八〇億円をかけ建設、海外製品の常設展示場や、輸入関連の流通業者の店舗や事務所、さらには総合保税地域のメリットを生かした製品加工機能などを整備し、横浜港に入ってくる輸入製品を広く市民に紹介する場にもなる。

輸入貨物情報などを発信する港湾情報高度化センターも併設する予定だ。

市はワールド.トレード・マートの整備を促進するため九四年六月、横浜商工会議所、神奈川県のほか、日本貿易会、日本荷主協会、日本百貨店協会、日本チェーンストア協会、日本電信電話(NTT)、日本開発銀行、横浜銀行、日本貿易振興会(ジェトロ)などの代表者らを集めた促進委員会を発足させ、準備を着々と進めている。

九五年春までに基本計画をまとめるとともに、出資企業を募り運営主体となる第三セクターを設立する。

その後は、政府機関などから出融資を受け、早ければ九六年度にも着工、九七年度の完成を予定している。

横浜市はこのワールド・トレード・マートにとどまらず、地元企業の国際化支援や海外企業の受け皿となるワールド・ビジネス・センターや、国内外のファッション関連企業などを集める新産業文化センター(検討中)、横浜港流通センター、国際展示場などがある横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)、横浜航空貨物ターミナルなど、市内にある他の輸入促進施設を連携させて、横浜港周辺を輸出中心から輸出入バランスがとれた世界的な交易ゾーンに再整備していくことも考えている。



個人の輸入相談もOK


輸入促進施設として注目を集めているのは、ワールド・トレード・マートだけではない。

輸入品の展示即売から企業活動までを総合的に支援する目的で一九九四年六月に開業した「ジェトロ・インポート・スクエア横浜」もその一つだ。

この施設は、横浜駅東口から徒歩一〇分ほどのヨコハマ・ポートサイド地区にある「横浜・クリエーション・スクエア」の二階から四階のフロアに開業した。

二階と三階には、輸入品販売の実験店として、横浜をはじめ東京や神戸などから一二団体が出店。

北米、欧州、アジア、アフリカなどの衣料品や雑貨、アクセサリーなど実験的に販売している。

このフロアは輸入品を扱う店舗を育てるのが狙いで、ジェトロ横浜などが一年契約で無料で貸しているのが特徴だ。

三階の一部には情報コーナーがあり、一般消費者の間で関心が高まっている個人輸入をはじめ、海外の製品情報について、専門スタッフが相談に応じている。

約二八〇種類の海外ショッピングカタログなどの資料も用意し、いつでも気軽に閲覧できるのが楽しい。

開業から七月一七日まで開いたオープニング記念イベントの「ヨーロピアン・ギフト・ショi」では、ジェトロが対日市場への有望商品として集めた約一〇〇〇点の装飾品やギフト用品などが人気を集めた。

同施設では、輸入品を紹介するイベントを引き続き開催し市民に関心を持ってもらうことを考えている。

企業活動の支援では、海外企業の対日輸出を支援するビジネス・サポート・センターも設けている。

来日ビジネスマンに一時的なオフィススペースを提供し、専任アドバイザーが日本企業との商談などで相談にのっている。

日本のハブ港

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一八五九(安政六)年以来、海外との貿易窓口として発展してきた横浜港で、異変が起こった。

一九六七年以降、輸出入を合わせた貿易総額で二七年連続全国一位の座を、九四年に成田空港に明け渡した。

宝石類をはじめ軽量で高額な商品が航空貨物で成田空港に輸入される傾向に拍車がかかったからだ。

九四年の横浜港の貿易総額(横浜税関調べ、速報値)は輸出入合計で九兆一一四七億円。

輸出は六兆七三九三億円で、前年比一.四%減とやや不振だったものの全国一位。

ただ、二位の名古屋港(五兆一五四三億円)が同一.]%増、三位の成田空港(四兆九八五八億円)は同=二・六%の大幅増となった。

輸入は二兆三七五四億円で、同六・七%増。

成田空港(四兆六七五五億円、前年比一四・五%増)、東京港(三兆四六五二億円、四・四%増)、神戸港(二兆四三=二億円、八・二%増)に次いで四位だった。

横浜港の貿易の特徴の一つは貨物量の多さである。

横浜市港湾局の調べによると九三年の貨物取扱量は六八二四万トンで過去最高を記録した。

特にコンテナ船の利用が著しく伸びており、九三年は年間三〇〇〇万トンの大台を超えた。

コンテナ取り扱い個数も二〇フィートコンテナ換算で一=七万個に膨らみ過去最高だ。

また全国一の貨物取り扱い港であった神戸港が九五年一月の阪神大震災(兵庫県南部地震)で壊滅的な打撃を受けたことが、横浜港の今後にも大きな影響を与えそうだ。

横浜の経済・産業は港とともに拡大し、発展した。

しかし、開港から=二六年、産業構造の転換点にさしかかったいま、横浜港はその姿を大きく変えようとしている。

その一つは後背地に控える京浜工業地帯の衰退に伴う輸出港から輸入港への転換、もう一つはコンテナ船の大型化に伴うハブポートへの対応である。

横浜市は、海外製品を展示販売するワールド・トレード・マート構想や大型コンテナ船に対応した埠頭建設計画などに取り組んでおり、"新たな開港"に向けた大型投資が続いている。

しかし同港にとってコンテナ貨物量の増大は喜んでぼかりはいられない。

京浜臨海部の工場で生産された製品を積み込む埠頭はあっても、大型コンテナ船が接岸し、コンテナをさばく専用ヤードがある埠頭の整備が大幅に遅れているからだ。

横浜港が扱うコンテナ貨物は六三年から七〇年に建設された本牧埠頭と、横浜ベイブリッジを渡った対岸にある大黒埠頭ぐらいのものだ。

九三年はこの二つの埠頭で、横浜港全体の九九・七%を占めた。

また九二年から九三年にかけての両埠頭のコンテナ貨物取扱量を見ると、本牧埠頭が八二.八%から六九・五%に減ったのに対して、大黒埠頭が一六・九%から三〇.二%と増え、コンテナ貨物が徐々に大黒埠頭にシフトしていることがわかる。

大黒埠頭が、手狭となった本牧埠頭であふれかえるコンテナ貨物の引き受け先となっていることを物語っている。

大黒埠頭ではポストパナマックス型の大型コンテナ船に対応できるコンテナバース建設が急ピッチで進められてきた。

これまで同埠頭には九二年秋に完成したC-3コンテナバースだけだったが、九四年一一月にはその隣接地にC-4コンテナバースが誕生した。

この二つのコンテナバースは岸壁延長三五〇メートル、水深一四メートルの規模を持ち横浜港では最大規模を誇る。

九三年のコンテナ貨物量の割合が大黒埠頭で伸びた背景には、このC-3コンテナバースに、東京の大井埠頭を使用していたデンマーク最大の船会社、マースラインを誘致することも奏功したようだ。

C-4コンテナバースには、日本郵船が本牧埠頭から引っ越してくる予定だが、バースの規模が大きいだけに、大井埠頭での使用の一部をこのバースに切り替える可能性もある。

しかし大規模コンテナバースは当面はこの二つだけ。

九三年には本牧埠頭のB、C突堤間を埋め立てコンテナターミナルを拡充する計画を進めているが、これだけでは今後増え続けるコンテナ貨物への対応には追い付かない状況にある。

この解決策として計画されているのが、中区本牧沖の約二一七ヘクタールを埋め立てて建設する南本牧埠頭だ。

この埠頭は岸壁延長三五〇メートル、水深一五メートルの大規模コンテナバースを合計四つ整備する計画だ。

各バースにはコンテナ貨物を積み降ろす大型ガントリークレーン三基を設置し、一バース当たり年間二〇〇万トン、埠頭全体では年間約八〇〇万トンのコンテナ貨物を扱う同港の中心的なコンテナ専用埠頭となることが計画されている。

バースの後背地には流通加工、展示、港湾物流情報など多様な機能を持つ複合物流ターミナルの建設が予定されている。

総事業費は五二〇〇億円で、九一年から埋め立て工事が始まっている。

ただ供用開始にはまだ時間がかかりそうで、第一号バースが出来上がるのは、早くても九七年以降になりそうだ。


大黒埠頭のC13、C-4コンテナバースの後背地では「横浜港流通センタi」の建設が始まっている。

船から積み降ろされたコンテナを大量にさばく施設で、この種の施設としては国内最大級となる。

事業主体は横浜市、財団法人横浜港埠頭公社、日本開発銀行、横浜銀行、日本電信電話(NTT)など六一団体・企業が出資する「横浜港国際流通センター」(池沢利明社長)。

総工費約六五〇億円をかけ九六年六月の完成を目指している。

この横浜港流通センターは敷地面積九.三ヘクタールに、地上五階建ての物流棟(延べ床面積約三二万平方メートル)と地上八階建ての事務棟(同約一二万平方メートル)を建設する計画。

このうち物流棟は荷さばき、保管、流通加工、配送などに対応できる機能があり、なかでも最大の特徴は、各階に四五フィートの大型コンテナトレーラーが直接乗り入れることができるランプウェイ方式を採用している点だ。

事務棟には流通関連業者などが入るオフィスフロアがあり、在庫管理や経理情報処理システムなどを導入し、物流棟とオンラインで直結することで、物流の効率化やスピードアップを図る。

このセンターでは年間四二五万トンのコンテナ貨物をさばく計画で、池沢利明社長は「横浜港の物流機能の強化や経済活性化に必ず結び付くはず」と自信を見せている。

同センターは民活法(民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法)の物流高度化基盤施設に指定され、NTT株無利子融資などの資金導入で整備を進めている。

輸入促進地域(フォーリン・アクセス・ゾーン=FAZ)に基づく対象施設ともなっており、輸入促進を目指す横浜市の目玉事業の一つになっている。

さらに「外国企業の大型公共事業への参入機会等に関する我が国政府の措置」に基づく特例措置対象プロジェクトになっており、海外からはアメリカ・フランスや韓国の共同企業体が建設工事に参加している。


横浜港が東京港に比ベコンテナ貨物への対応に遅れたことは否めない。

しかし七九年にはコンテナ船の入港実績で東京港を抜き、八二年には取り扱い貨物量でもリードした。

しかしコンテナ貨物への対応は何も国内間の港での船会社誘致競争にとどまらない。

いま、横浜港が目指しているのは、アジアを視野にいれた国際ハブポートへの飛躍であろう。

船会社にとって輸送コストの削減とサービス向上を狙うなら、今後さらにコンテナ船の大型化と共同運航が進むに違いない。

そのとき、大型コンテナ船に対応できる十分な埠頭がないとしたら、国内間を結ぶ船舶が寄港するだけのフィーダーポートに成り下がってしまう可能性がある。

横浜港で始まった大型投資は世界有数のコンテナ取り扱い量を誇るシンガポールや香港には及ばないが、太平洋航路などでは地理的に優位な立場にあるといえる。

第二ベイブリッジが完成

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道路整備では、九四年末に東京湾を外周する東京湾岸道路の一部となる高速湾岸線が開通した。

横浜港の大黒埠頭(鶴見区)から羽田空港までの一六・四キロで、交通混雑が激しい首都高速横羽線のバイパス道路として期待されている。

この道路整備によって、大黒埠頭と扇島の間にある鶴見航路には、横浜ベイブリッジと並ぶ巨大で美しい橋が完成した。

名称は「鶴見つばさ橋」。

一面吊りの斜張橋としては世界最大で、全長は一二〇〇メートルにもなる。

横浜ベイブリッジから市南部の金沢区並木までの区間(延長一四・六キロメートル)についても現在、一部で建設工事が始まっている。

横浜港の港湾物流機能の強化にもつながる道路として期待は大きい。

横浜市の中心部から半径一〇ー一五キロの地域を環状に結ぶ横浜環状道路計画もある。

市中心部の交通渋滞の解消と郊外部の交通ネットワーク強化を目的にした道路で、横浜市は九八年度までに事業着手したい考えだ。

これまでに首都高速横羽線生麦インターから第三京浜・港北インターまでの八・三キロのルート案などが公表されているが、いずれの計画区間でも沿線住民の反対などがあり、計画は大幅に遅れている。

このほか放射環状型の幹線道路や、住宅地と幹線道路や駅を結ぶ地区幹線道路の整備にも力を入れている。

幹線道路は九三年現在約三二九キロ整備されているが、これを二〇一〇年までには五〇〇キロに伸ばす考えだ。

地区幹線道路も一九キロを一〇〇キロにする計画を立てている。

この地区幹線道路の整備に合わせて、駅前広場やバスターミナルの整備なども、副都心や地域拠点を中心に積極的に進める。

九八年度までには、新たに合計一〇カ所で駅前広場やバスターミナルを整備する予定だ。

横浜の鉄道

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横浜市は東京都区部に次ぐ大都市でありながら、都市を支える交通基盤の整備では著しく遅れている。

横浜駅周辺の都心部はもちろん、郊外部での道路事情の悪さはよく聞く話である。

こうした整備の遅れは横浜市の地形にも原因があると言われている。

横浜駅周辺や関内地区などの都心部は、山手、野毛、三ツ沢という三つの丘陵地帯に囲まれた谷の部分にあり、その独特の地形が、街づくりや道路整備の支障となっている。

二つ目の原因は米軍による都心部の接収である。

敗戦後の横浜には約九万人の占領軍が進駐し、関内、伊勢佐木町周辺、本牧地区など九一八万平方メートルの土地が接収され、その後の都市整備を大幅に遅らせることになった。

三つ目が、五五年代から六五年代にかけての高度経済成長による定住人口の急激な増加だ。

とりわけ東京のベツドタウンの役割を果たしてきた郊外部での人口増加が著しく、その宅地開発の猛烈な勢いに、都市基盤整備が追い付けなかった。

横浜駅を中心に放射状に鉄道が伸びているものの、その多くの路線は東京に直結する形となっており、副都心や郊外部を横につなぐ連絡線などの整備はこれからの課題となっている。

「最寄り駅まで一五分、都心まで三〇分で行けるような道路や鉄道を整備していきます」。

九四年春の横浜市長選で再選を狙う高秀市長は新たな交通網整備について、市民にこう語りかけた。

この交通網整備計画は横浜市が九三年暮れに発表した新総合計画「ゆめはま2010プラン長期ビジョン」(目標年次二〇一〇年)に盛り込まれた。

「快・速・安・信ネットワーク」とうたった基本方向に基づいて、市民生活を支える鉄道や道路網を整備して行こうという長期計画だ。

すでにいくつかのプロジェクトが動き出しているが、高秀市長再選後の八月には、この計画を実現していくため「横浜都市圏総合交通計画研究会」を発足させた。

この研究会は運輸省、建設省、神奈川県などの関係行政機関と学識経験者ら約二〇人で組織。

市だけでは解決できない交通システムのあり方や財源確保、鉄道と道路の一体的な整備などについても検討してもらい、市が目指すべき総合交通計画の方向性や重点的に取り組むべき課題などを、今後一、二年かけまとめてもらうことにしている。

別表の新総合計画に盛り込まれた鉄道新線計画のうち、すでに事業着手している路線は高速鉄道一、覆(戸塚駅⊥湘南ム・駅)と相鉄いずみ野線(いずみ中央駅湘南台駅)だ。

高速鉄導号線は延長七.四キ。

で、横浜駅方面から戸塚駅まで伸びる市営地下鉄をさらに延伸し、小田急江ノ島線に接続する計画。

建設費は約一四〇〇億円で、九八年度の完成を予定している。

相鉄いずみ野線は相鉄線二俣川駅1いずみ中央駅まで短く伸びている"盲腸線"を解消するのが狙い。

小田急江ノ島線が走っている湘南台駅までの約三ニキ・を新設する計画で、建設費に約四七六億円をかけ、九七年度をめどに完成させる予定だ。

開通すると横浜駅-湘南台駅間は二九分で結ばれることになる。



一方、みなとみらい21線の工事も始まっている。

この路線は横浜駅ー元町付近の四・四キロだが、途中には大規模開発が進むみなとみらい鮎区があり、同地区の生命線としても注目を浴びている・横浜駅では地下ホームで東急東横線(渋谷駅ー桜木町駅)と接続し、相互乗り入れを実現する。

ファッションの街として若者に人気がある元町と東京の渋谷が;の線路でつながる。

ちなみに元町駅から渋谷駅まで急行で約四〇分。

事栄王体は横浜市などが出資する横浜高速鉄道(山局木文雄社長)。

総事業費は約二〇〇〇億円を見込んでいる。

当初は九八年度の開業を目指していたが、地下駅となる横浜駅の構造調整などに手間取り・二年遅れの二〇〇〇年度となる見込みだ。

またこの鉄道が開通することで、現在ある東急東横線の横浜駅」桜木町駅間は廃止される予定。

このほか新総合計画のなかで九八年までに完成(実現)、もしくは事業着手する路線は、こどもの国線の通勤線化とドリームランド線の運行再開。

新設路線では、横浜環状鉄道の日吉ー港北ニュータウンー中山などが挙がっている。

この横浜環状鉄道は、横浜市が副都心として整備を進めている港北ニュータウン、二俣川・鶴ヶ峰、戸塚、上大岡、鶴見など五地区を結ぶ最重要路線の一つで、総延長は三〇数キロ。

全体完成は二〇一〇年度をめどとしているが、市は九四年度の補正予算で、先行整備する区間として、日吉ー中山間(約一三キロ)の調査費を盛り込んだ。

九八年度までに着工したいと考えている。

特に、この区間には大規模開発が進む港北ニュータウンがあることから、先行整備に踏み切ったものと見られる。

二俣川の再開発計画

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市北西部にある相模鉄道線の二俣川駅と鶴ヶ峰駅でも、新たに副都心に位置付けられたことで街づくりが加速している。

西の交通の要所となっている二俣川駅の北口では、地上一四階建ての再開発ビルが着工した。

事業主体は権利者五二人で組織する「二俣川北口地区市街地再開発組合」。

長崎屋が核店舗として出店する予定で、九六年二月の完成を目指している。

再開発ビルは、六〇〇〇平方メートルの敷地に建設。

長崎屋などの商業部分は一階から五階で、売り場面積は約一万四〇〇〇平方メートル。

このうち長崎屋は約一万一〇〇〇平方メートル(大店法三条申請)を予定。

六階からは一二〇戸の住宅となる。

ビルの二階には歩行者デッキを取り付け、道路を挟んだ駅やバスターミナルと接続し、駅北口周辺の回遊性を高める考えだ。

総事業費は一七九億円を見込んでいる。

このほか横浜市内では、新鶴見操車場跡地周辺、上大岡、東神奈川、新子安、港南台、星川・天王町、杉田・新杉田、金沢八景、金沢文庫、綱島、日吉、中山、長津田、あざみ野、たまプラーザ、東戸塚、本郷台、大船、瀬谷などの駅周辺地区で開発整備の検討、または事業が進んでいる。

戸塚駅の再開発

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横浜市のJR東海道線と横須賀線、市営地下鉄線が集まる戸塚駅でも駅前再開発が動き出した。

横浜市都市計画審議会が九四年五月、戸塚駅西口第一地区の約四・三ヘクタールを対象とした市街地再開発計画を了承したため、九七年の着工に向け大きく前進した。

この再開発計画では二五階建ての高層複合ビル(延べ床面積一八万五〇〇〇平方メートル)を建設、都市型百貨店を核とした商業施設やオフィスをはじめ、住宅(二〇〇戸)、駐車場(八〇〇台)を一体的に整備する。

また二層式の駅前広場(一万一〇〇〇平方メートル)を整備、バスターミナルと一般車両の出入りを分け駅前交通を円滑にする。

このほか、ビルと駅を結ぶペデストリアンデッキや二五メートル幅の駅前道路なども整備する。

に権利変換する形で進める。

総事業費は一三〇〇億円にのぼり、完成は二〇〇〇年度の予定。

市はこの再開発事業によって、西の副都心としての機能をもともと西口第一地区の再開発事業は三〇年以上も前に土地区画整理事業が都市計画決定されていた。

しかし地権者調整に手間取っていたため、丸井などの専門店ビルがある東口と比べ開発が大幅に遅れていた。

戸塚駅の一日の乗降客数は二四万人。

バスを含めると三二万五〇〇〇人が利用している。

九八年度には、市営地下鉄が藤沢市の湘南台駅まで延伸することから、同駅や同駅周辺の商店街の利用客が増えるものと予想されている。
宅地開発の遅れを挽回するかのように好調なのが、企業の研究所や研修所の進出だ。

リコー、日本コダック、デュポン・ジャパン、チェース・マンハッタン銀行などが相次いで進出した。

九四年八月には、フォード自動車(日本)(東京・港区、鈴木弘然社長)が、自動車部品の技術開発研究所を建設することで、住宅・都市整備公団と用地取得の契約を結び話題となった。

この研究所は広島市にあるアジア太平洋地域自動車部品部門の機能を移すとともに、オーディオやナビゲーションシステムなど高付加価値製品の研究開発を中心に進めるのが狙い。

九六年一月に開所予定で、従業員は当初四〇人だが、二〇〇〇年までに倍の八〇人に増やし研究開発機能を強化することになっている。

同社の進出は、横浜市が一九九二年秋に米国のデトロイト市で開催した海外企業誘致セミナーがきっかけ。

港北ニュータウンへの海外・外資系企業の進出は同社が八番目となる。

ニュータウンは企業立地でも注目を浴びている。

大型の公共施設も九五年来春までに続々と誕生する。

国内最大級の住宅情報センターとなるIRICプラザ、二万年前から横浜の歴史を紹介する横浜市歴史博物館、ニュータウンの顔となる都筑区総合庁舎などだ。

横浜市は民間開発のテンポが遅れ気味となっているだけに、公共施設の整備を積極的に進めてきた結果と言える。

IRICプラザは市営地下鉄中川駅近くの約一万九〇〇〇平方メートルに九五年三月に完成。

横浜市が出資する第三セクターの日本住情報交流センターが約一○○億円をかけ、住まいづくり体験館をはじめ、高齢者住宅や三世代住宅など約二七棟のモデルハウスなどを建設する。

歴史博物館は、地下鉄センター北駅の隣接地に九五年一月に開館。

地上六階建て(延べ床面積約九三〇〇平方メートル)で、劇場や展示室、映像コーナーを設け、約二万年前から近・現代までの横浜に関する資料約二〇〇〇点を展示する。

建設費は九三億円。

また都筑区総合庁舎は、センター南駅前で約二四〇億円をかけ九五年春に完成。

延べ床面積三万一〇〇〇平方メートル。

市内では最大規模の区役所で、公会堂や図書館なども一体的に整備する。

港北ニュータウン

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三〇万人が住むニュータウン。横浜市の中心部から北へ車で約三〇分。

緑豊かな丘陵地帯で、港北ニュータウンの建設の槌音が高まっている。

総面積は二五三〇万平方メートル。

東京の多摩ニュータウンの広さには及ばないものの、約三〇万人が住む横浜市の副都心に変貌を遂げようとしている。

港北ニュータウン開発は、飛鳥田市長時代の六五年に、横浜市の六大事業の一つとして打ち出されたのが始まりだ。

人口急増に伴う乱開発を防止し住宅地を計画的に開発するのが狙いで、これまで住宅・都市整備公団の区画整理事業(約一三一七ヘクタール)を中心に開発が進んできた。

しかし構想から約三〇年。

この間、オイルショック、地価高騰、バブル経済の崩壊などの影響を受け開発は大幅に遅れた。

住宅・都市整備公団の土地区画整理事業は、用地買収に手間取り一〇年以上も遅れた。

その遅れに加え、道路や鉄道の整備も遅れたため、マイホームを求める人々の評判も決して良いとは言えなかった。

分譲マンションなどに住民が入居し始めたのは八三年から。

人口は開発の遅れから伸び悩み、九四年一月現在でも五万六〇〇〇人と将来目標には遠く及ばない状況が続いている。

このため、人を呼び込むための苦肉の策として八五年には、集合住宅用地の一部を企業用地に転換するなどの対策も講じられた。

しかし最近では街づくりが活発となっている。

そのきっかけとなったのが、九三年春の市営地下鉄の延伸だ。

新横浜や横浜市中心部への交通の便が飛躍的に改善されたためだ。

さらに同タウンは、これまで港北区と緑区にまたがるように位置していたが、九四年2月に両区から分離し、新しい名前の都筑区となった。

これに伴い区総合庁舎や、歴史博物館などの大型公共施設が相次ぎ完成している。

また西南東急百貨店が同地区へ出店する。

新横浜都心を拡大

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新横浜駅前でホテルやSCなどが開業したのはいずれも北部地区。

その反対にある南部地区では・横浜市が港北区篠原町など約三七ヘクタールを対象に土地区画整理事業を実施し駅前整備や道路整備などをおこなう計画を持っていたが、地元地権者らの反対があり進んでいなかった。

しかし九三年一二月の神奈川県都市計画地方審議会で同案が「施工者(横浜市)は関係住民の理解と協力を得られるよう誠意をもって十分努力すること」との付帯意見を付け原案通り認められたことから、南部地区の開発も今後進むことになる。

新横浜地区では駅北部地区だけでなく都心地域を拡大する計画が相次いでいる。

その一つが、隣接する新羽地区での業務集積の推進だ。

市は九一年に鶴見川を挟んで新横浜地区と相対する新羽町南部の約二〇ヘクタールを新たな業務ゾーンと位置づけ整備する方針を固めていたが、新総合計画ゆめはま2010プランの中でも継続して推進することを決めた。

このゾーンには新羽地区に集まる中堅.中小企業の研究開発や人材育成を目的とした産業イノベーションセンターを建設す「る構想があり、現在、建設が進んでいる市営地下鉄新羽車両基地(約七ヘクタール)の上部を有効利用する案が有力となっている。

同センターは約一〇〇〇社の中堅・中小企業が集まる市内有数の工業地帯である新羽・新吉田地区に計画されていることから、市内の産業基盤を強化するうえでも大きな役割を果たしそうだ。

また残りの約一三ヘクタールは農業専用地域となっていたが、地元地権者との調整が終わり区画整理事業がスタートしている。

このほか新横浜地区周辺の羽沢、小机地区などでもオフィスや研究開発施設、レジャー・文化施設などを集積することが新総合計画に盛り込まれている。

新横浜には大型ホテルとSC

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東海道新幹線が開通した六四年、JR横浜線と交差する場所に新横浜駅が誕生した。

以来、新横浜駅は横浜駅と並び市内の広域交通ターミナルとして発展することになるが、駅周辺の開発は遅々として進まず、長い間、見渡すかぎりの野原が広がっていた。

それから約三〇年。

市営地下鉄が開業、新幹線ひかり号の停車本数が増え、オフィス、ホテル、ショッピングセンター、多目的ホールなどが集まる横浜第二の都心に変貌を遂げた。

なかでもオフィスの集積は著しく、横浜市の資料によると、新横浜駅周辺では八七年から九二年】月までに着工された延べ床面積五〇〇〇平方メートル以上の大型オフィスビルの床面積は合計約三〇万平方メートルにも上っている。

さらに九八年に開かれる神奈川国体のメーン会場となる横浜国際総合競技場の建設なども進んでおり、一段と都心機能が強化されることになる。

JR新横浜駅前で九二年三月二〇日に開業したのが、プリンスホテルが運営する新横浜プリンスホテルだ。

地上四二階建て高さ約「五〇メートル。

円筒型をしたユニークな高層ビルは新横浜地区のランドマークタワーとなっている。

客室数は一〇〇二室、四五〇〇人が収容できる大宴会場など大小二三の宴会場があり、横浜最大のシティーホテルである。

同ホテルは場所柄、東海道新幹線を利用するビジネスマンらの宿泊が多い。

しかし最近では「東北・上越新幹線の東京駅乗り入れをきっかけに、東北・上越方面からの観光客も増えている」(山宮公彦支配人)。

新横浜が広域交通ターミナルの役割を担っていることを示す良い例だろう。

西武鉄道グループはホテルの隣にグループ初の大型高級ショッピングセンタi(SC)の新横浜プリンスペペも同時期に開業した。

地上一〇階地下一階建て。

ヨーロッパの街並みをデザインコンセプトに、ゆったりとした通路や間接照明を取り入れて重厚感を出しているのが特徴だ。

店舗は地下一階から地上四階まで(売り場面積は一万八五〇〇平方メートル)。

ミッソー二、クリスチャン・ディオール、カルティエなど輸入高級ブランドなど一五五店が集まっている。

なかでもにぎわっているのが生鮮食品や総菜などが充実している新横浜食品館(地下一階)。

これまで新横浜地区には大きなSCがなかったため、港北区や緑区などの主婦はわざわざ百貨店などが集まる横浜駅周辺に出かけることも多かったという。

また同SCには約八七〇台収容できる駐車場がある。

車で五分ほど行ったところには第三京浜の港北インタチェンジがあるため、東京・世田谷区、目黒区などからの買い物客もターゲットにしている。

横浜プリンスホテルと並んで新横浜の顔となっているのが八九年四月に市制一〇〇周年を記念してオープンした多目的ホールの横浜アリーナ。

収容人員一万七〇〇〇人と国内最大級の規模を誇る。

JR新横浜駅に近いことからコンサートをはじめ、スポーツ、集会、企業の物販展示会などに利用されている。

同施設を運営しているのは横浜市などが出資する第三セクターの横浜アリーナ。

九三年一〇月からは利用者を増やすため、市内を中心に活動するアマチュアスポーツや文化団体などの基本使用料を大幅に下げている。

従来は四五〇万円だったが、予約が入っていない日に限り二〇万円にした。

こうした利用拡大策は景気低迷から企業の利用が減っているのを補う狙いもある。

横浜駅

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JR各線、東急東横線、京浜急行線、相鉄本線、市営地下鉄線の五つの鉄道が乗り入れる横浜駅。

一日当たりの乗降客が一七〇万人を超える市内最大のターミナル駅。

駅前周辺には、地元企業の本社ビルや金融機関の支店が集まっているほか、横浜高島屋、三越横浜店、横浜岡田屋、横浜そごうなどの大型百貨店がひしめき、全国でも屈指の規模を誇る商業地となっている。

この駅前周辺の街づくりが慌ただしくなっている。

駅西口では地元企業である相模鉄道のホテルを核とした再開発が、東口では横浜そごうの隣接地で丸井を核店舗とした商業・業務ビルの建設が始まったからだ。

また、みなとみらい(MM)21線の横浜駅乗り入れ計画に伴う駅の大改造計画も動き始めており、駅によって分断されていた東西地区を結ぶ新しい自由通路の建設も始まった。

駅西口再開発は、相模鉄道の本社ビル跡地と、横浜高島相鉄ホテルが入る相鉄・高島屋共同ビルの完成予想模型屋の立体駐車場や、東京建物と安田信託銀行が所有する業務ビルの敷地を合わせ、ホテル、業務ビル、バスターミナルなどを建設しようというもの。

このうち相模鉄道と横浜高島屋が約五〇〇億円をかけ建設する相鉄ホテルは、地上二七階地下六階(延べ床面積約六万九〇〇〇平方メートル)。

対馬好次郎相模鉄道会長は「横浜にふさわしいハイグレードな国際水準のシティホテルにする」考えで、客室は約四〇〇室を予定している。

また業務ビルは地上一五階建て。

東京建物と安田信託銀行が建設する。

いずれの完成も一九九八年。

ぽっかりと空いていた一等地に"西口の新しい顔"が誕生することになる。

駅東口では横浜そごうの隣接地で九四年二月から専門店が集まっていたスカイビルの建て替え工事が本格化している。

同ビルは横浜スカイビル(細川小弥太麗社長)が約四四〇億円をかけ建設する商業業務ビルで、地上三三階建て(延べ床面積一〇万二六〇〇平方メートル)。

目と鼻の先にあるMM21地区の高層ビル群にも引けを取らないビルとなる。

新たなテナントとして丸井が出店する。

着工が二年遅れとなったが、ようやく九六年秋の完成にめどがついた。

新しいタイプの専門店ビルができることで、横浜そごうしかなかった東口の活性化に一役買うことは間違いない。

旧中心街に五〇階建てビル

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ヨコハマ・ポートサイド地区と並んでMM21地区の隣接地でおこなわれている再開発事業として注目を浴びているのが、関内にある北仲通地区。

なかでも横浜銀行本店跡地がある南地区には、住宅.都市整備公団が高さ二三〇メートル、地上五〇階建ての超高層ビルを建設する計画がある。

総事業費は三四〇〇億円に及び、MM21地区と一体となって都心のオフィス機能を担うビッグプロジェクトだ。

完成は九八年度の予定で、九四年度末にも本格着工する見込みだ。

地区内にはMM21地区とつながる片側三車線の都市計画道路(栄本町線)も整備される。

この道路を隔てた北仲通北地区でも、業務、商業、住宅などを集積する構想がある。

すでに、関東運輸局、関東財務局横浜財務事務所など国の行政機関が入った横浜の地方第二合同庁舎(地上二三階建て)が完成している
横浜駅東口の横浜そごうから歩いて一〇分ほどの臨海部で、全国でも珍しい都市づくりが進んでいる。

ヨコハマポートサイドと呼ばれる地区で広さは二五ヘクタール。

工場や倉庫が立ち並んでいた一帯を再開発し、住宅一八〇〇戸(居住人口六五〇〇人)、業務、商業などの機能を備えた職住近接の街づくりを目指している。

街づくりのコンセプトは「デザインとアートの街」。

横浜市が目指す「デザイン都市」の先駆けとなる場所としても注目される。

九四年三月、中央地区と呼ばれる約四ヘクタールの再開発が完了した。

横浜市が総事業費八八三億円をかけ再開発したもので、全体開発の先導的な役割を担う地区だ。

相模鉄道と三井不動産が管理するオフィスビル、横浜・クリエーション・スクエア(YCS、地上二〇階建て)や住宅・都市整備公団が分譲するロア壱番館(同三三階建て)など合計七棟もの中高層ビルが立ち並ぶ光景は、MM21地区に引けを取らない。

このYCSは、不況の影響で企業の入居が心配されたが、相鉄建設本社と三井不動産横浜支店のほか、第一生命保険、日本貿易振興会(ジェトロ)、インテリア関連企業などが入居した。

ビルには、街のコンセプトに合わせ、現代美術を企画展示するギャラリー、国内外で活躍するデザイナーの作品情報などが検索できるデザインライブラリーなどもある。 いわゆる横浜デザインは大きく変貌を遂げている。

同地区の全体完成は九六年度以降になりそうだが、将来は、オフィスや百貨店が集まる横浜駅周辺とはひと味違う芸術の香りが漂うおしゃれな街になるはずだ。

市民の求心力を目指す

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横浜には野球の横浜ベイスターズ、サッカーの横浜マリノスと横浜フリューゲルスが本拠地を置く。

東京、大阪を除くとこれだけプロ球団が集中している所はない。

Jリーグの理念は、発足当初から地域との密着にあり、例えば伊勢佐木町商店街は町を挙げてマリノスをサポートしている。

一方・最古参のベイスターズも、九三年のシーズン以来、企業名を入れた「横浜大洋ホエールズ」から新しく地元名を前面に押し出した現在のチーム名に変え、地元へのアピールを始めた。

市でもこれだけのスポーツ資産を市民の心をまとめる手段に生かせないかと検討している。

"横浜都民"と言われ、とかく地元に対してクールになりがちな市民の心をスポーツを通じて一つにまとめる試みである。

市教育委員会の大久保体育課長は、五輪やW杯の開催などもにらみながら・「横浜をスポーツコンベンション都市にする」と意気込む。

ちなみに浜銀総合研究所が県産業連関表を用いて試算したところ、Jリーグが神奈川県内経済にもたらす波及効果は九四年一年間で七〇億三四〇〇万円にも上る。

県内にはヴェルディ川崎・ベルマーレ平塚を加え四チームが本拠地を構えており、一試合当たりの観客数も増えていることから、九三年の四〇億五〇〇〇万円に比べて一.七倍の規模に膨らんでいる。

試算の対象は公式戦の観客が競技場内で消費する物販代と飲食代、競技場への交通費、チームの運営費(選手の人件費をのぞく)から発生する波及効果で、競技場周辺の商店街の売り上げ、広告代、チケット売り上げなどは含んでいない・経済効果もさることながら、市民の一体化の助けになることが、五輪やW杯誘致に腕まくりをする高秀市長の本音なのかもしれない。

ハイテク機能の競技場

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ゆめはま2010プランでは、新横浜の横浜国際総合競技場をはじめ、総合体育施設の整備計画が目白押しだ。

横浜の港北ニュータウンには国際公認の競泳プールや飛び込みプールを備えた室内水泳競技場を建設する。

また国際的なスポーツイベントに対応できる総合体育館を合計五館整備するほか、市内一八区すべてにスポーツセンターを整え、身近なスポーツ振興を目指す。

柔道、剣道、弓道などの大会を開くことのできる武道館建設も盛り込んでいる。

「これらの計画が実現すれば、施設面では五輪開催にも困らない」(市教育委員会社会教育部体育課の大久保正美課長)という。

特にW杯のメーン会場にしようとしている横浜国際総合競技場は、収容人員七万人で国内最大。

国際サッカー連盟(FIFA)は「六万人以上収容」「観客席の半分以上が屋根で覆われている」などをW杯主要試合用スタジアムの条件にしているが、W杯誘致に手を挙げている全国一五の県・市のうち、FIFAの主要試合用の要件を満たしているのは現段階では横浜だけである。

この横浜国際総合競技場は、九八年に神奈川県で開く第五三回国民体育大会「かながわ・ゆめ国体」の主会場になる。

そのリハーサルに間に合うようにと、完成は九七年度を目指している。

ここでサッカー大会を開く場合にゴールキーパーが西日でまぶしくないよう、フィールドの方向を東西軸からずらしている。

ラグビーや陸上競技などサッカー以外のスポーツにも広く利用できる。

陸上競技場としては第一種公認を受ける予定で、五輪やアジア大会の開催も可能だ。

場内に光ファイバーの通信網を張り巡らせたハイテク・インテリジェント競技場でもある。

ハイビジョンカメラ、衛星中継施設に加え、選手の動きを屋根の先端から追う自走式カメラ、写真電送装置、同時通訳ブースなどを備えている。

世界の茶の間からでも競技の情報にアクセスできるような双方向通信システム導入も検討中だ。

設計の基本理念として「プレーしやすい、観戦しやすい」に加え、特に「報道しやすい」を据えた。

横浜市緑政局横浜総合運動公園整備室は「観客席が全部埋まってもせいぜい七万人。

これに対してW杯のテレビ中継は世界中の何億人という人が見る。

それにふさわしい施設にしたい」と語る。

世界の目を大いに意識しているのだ。

さらに市内のJリーグニチーム、横浜マリノスと横浜フリューゲルスがホームグラウンドを移すことも期待されている。

屋内プールやクアハウス、スポーツ医科学センターなど市民の健康管理施設も併設する。

ビッグゲームがないときには、市民向けの健康施設として開放する。

サッカーワールドカップ誘致

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横浜にサッカーのワールドカップ(W杯)を誘致しようという動きが90年代に盛り上がった。。

九四年一月から新横浜で建設が始まった横浜国際総合競技場を、二〇〇二年W杯の開幕戦か決勝戦の会場にしようという運動である。

横浜はプロサッカーJリーグの2チームが本拠地を置く都市でもあり、市内のサッカー人口は推定七万人に達している。

W杯は五輪を上回る世界最大のスポーツイベントと言われ、その主要試合の開催が決まれば「スポーツ都市・ヨコハマ」の名は一挙に世界に知られることになる。

JR根岸線関内駅前、市役所隣の通称くすのき広場には「二〇〇二年サッカーワールドカップを横浜で!」というスローガンを掲げた三角塔が立っている。

九三年一〇月、W杯アジア最終予選の開催に合わせて登場した。

横浜スタジアムへ観戦に出掛ける野球ファンもこのわきを通っていく。

それなりのPR効果を上げているようだ。

高秀市長をはじめとする、市の幹部らもサッカーボールと日の丸を組み合わせたW杯誘致バッジを胸元につけて、トップセールスに努めている。

W杯の主要大会を開催するためには、W杯そのものを日本に誘致することが先決だ。

すでに日本招致委員会も走り始めており、高秀市長は九四年六月、その実行委員会の副委員長に就任している。

2002年ワールドカップには、韓国も誘致に意欲を示しており、横浜にとっては手ごわいライバルと言えそうだ。

幻の「横浜オリンピック」

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1994年5月20日の横浜市議会の全員協議会。


答弁に立った横浜市の高秀秀信市長(たかひで ひでのぶ、2002年死去)は「オリンピック開催を視野に入れた体系的な施設整備を進めたい」と発言した。


「横浜五輪」について初めて公の場で言及し、誘致に向けた最初の一歩を踏み出した瞬間だった。


実は横浜五輪への意欲そのものは、93年6月の時点で、市の総合計画の最終案という形で示されていた。


その後、「ゆめはま2010プラン」としてまとまった横浜市の総合計画のひな型には、2010年ごろの暮らしを想定した小説風の導入部がある。


そこにはこう記されている。


「横浜オリンピックは、東京、札幌、長野に続き、日本で開催される四度目のオリンピックだ。開催まではあとわずか。歓迎ムードもたかまっている」


高秀市長はこのひな型を発表した記者会見で、記者から「五輪やサミットなど、だいぶ夢がありますね」と問われ、「いや、夢とは言いたくない2010年を目指して明るさや魅力、願いを込めたプランだ」と答えた。


そのころから横浜五輪は高秀市長の中では決して絵空事ではなかったのである。


高秀市長が目指していた開催時期は2004年か2008年。


しかし、該当する五輪の誘致には、2000年の夏季五輪誘致でオーストラリア・シドニーに敗れた中国・北京が本格的な巻き返しを図ろうとしていた。国内でも大阪市が議会決議までして誘致に取り組んでいた。


実際に誘致ということになれば強力なライバルが立ちはだかっていた。


五輪誘致は、高秀氏は、建設省のお役人的発想を象徴する一つの事件であった。もちろん、横浜オリンピックは実現しなかった。


そして、高秀氏は、2002年の市長選で、ほぼ全政党の推薦を受けながら、頭がすっからかんの若造・中田宏に敗れたのである。

透明性

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透明性は、映画のなかで機能している約束事やその過程に観客が比較的気付かないでいるような映画様式を作り出す。エグゼクティブディーリングによると、首尾一貫したディエジェシス、インヴィジブル編集、論理的なプロットの展開をそなえた古典的ハリウッド映画のスタイルは、こうした操作を観客に気付かせることなく、それが自然に起こっているように見せる。マシスによると、それとは対照的に、言及的映画を見ると、観客はそこで働いている約束事やその過程に気付くことになるだろう。エグゼクティブディーリングによると、登場人物または俳優が直接観客に語りかけると、それ以外の点ではイリュージョニズムの映画であっても、透明性が打ち破られることになろう。

自分の文章のでき具合を客観的に把握するためには、しばらく間をおいて読むことをお勧めします。一定の期間を経て、何度か読み返す機会をもつのもよいことです。ライターマシス洸一郎氏によると、そのときどきの感想を一言二言添えておくと、文章についての批判力を養うのに役立ちます。もちろん、実際に直していくともっと勉強になります。